ELTON MOTELLOの1978年リリース、1stアルバム。隠れ名盤なんですけど、誰もそんな風に思っていない。ELTON MOTELLO自体がうさん臭く思われているからなんですけど、色々と話が複雑になるので、昔あるところで少し触れたことがあるものの、まあ、こういうのは知っている人だけが勝手に知っていて、それでいい、そんなやつです。だって話が長くなるから...。
前提として、少なくともこの時点ではELTON MOTELLOはバンド名です、ベルギーの。英国人のヴォーカリストが同じ名前を名乗っているので、JONNY MOPEDみたいなパターンですね。
で、ELTON MOTELLOと言えば、Jet Boy Jet Girl、つまりPlastic BertrandのÇa Plane Pour Moiの英語ヴァージョン、もちろんこのアルバムにも入っているのですが、Plastic BertrandってそもそもベルギーのプロデューサーでミュージシャンのLou Deprijckのプロジェクトで、彼はTWO MAN SOUNDでブラジル音楽を、LOU & THE HOLLYWOOD BANANASではレゲエ/スカをやったりして、いかにも商業的ではあるけれど、優れた作曲家でシンガーであることは間違いなく、多くの人に愛されている。ただ、ヒゲのおっさんですから、上記の2グループとは違って、パンク・プロジェクトとしてのPlastic Bertrandでは自ら顔出しせずに、バックバンドを務めたELTON MOTELLOのドラマー、Nobby Goffをピンナップ・ボーイとしてジャケに出して、テレビ出演の際はNobbyが当時の慣習に従って口パクで対応した、ということなんだと思います。
ただ、Nobbyは別名でHUBBLE BUBBLEのドラマーもやっていて、そっちではツインヴォーカルの一人として歌っているので、Plastic Bertrandが思ったよりも売れてしまい、その後の音源では自分で歌っています。Louは結果として自身の最大のヒットの一つとなったÇa Plane Pour Moiを本当は自分が歌っていたというのを主張したくて、後にセルフリメイクしてバラしたりしてます。
ということで、VICTIM OF TIMEに戻ると、裏ジャケにプロダクション・アシスタントとしてクレジットされているLouというのが、もちろんDeprijck、ELTON MOTELLOのヴォーカリストの正体は有名なスタジオエンジニアのAlan Ward、DAMNED以前のBrian Jamesがベルギー時代にやっていたBASTARDのメンバーで、Brianが帰国して残った人たちで発展していったのがELTON MOTELLOですね。1980年の2ndアルバムPOP ARTは、バンドはELTON MOTELLO BANDというクレジットになっているので、ソロ名義のつもりかもしれません。そっちで正式メンバーになっているMike Butcherは1stでも作曲やギターで全面参加してます。Mike Butcher = Jet Staxxです。彼もAlan Wardと同じくモーガンスタジオのエンジニア。Jet Boy Jet Girlはカバーというよりは、Alanのヴォーカルを入れたELTON MOTELLOヴァージョンでしょう。この組み合わせが本来のバンドの姿ですからね。
パンクのパロディーとかフェイクとしてとらえるとバカバカしいものなんだけど、このアルバム自体はスタジオワークに精通した人たちが作った、いかにも音の良いアルバムで、聴く価値のあるものだと思います。当時のテレビの出演映像とか見ると、顔を白塗りして悪ふざけしてるような、あまりセンスの良いものではないけれど、そんな感じが本来裏方の人っぽい。アルバムの音だけで評価すべきですね。個人的にはパンクには元来ある種の作り物要素を許容する余地があるものと考えてもいます。マジメにやっている人には怒られるかもしれませんけど。
私の手元にある写真のやつはPinballのドイツ盤、TELDECプレスです。ドイツのパンクのレコードとかも、意外とTELDEC系のレーベルから出てるんですよね。
