その背中に5年間守り抜いた全日本の看板はもうありません!
今はただその目に焼き付けていた、三沢光晴の姿を思い浮かべます!
長い花道の向こうに三沢との再会の場が見えた、川田利明!
たった一言、「運命」という言葉のみが川田の足をノアのリングへと向かわせます!
そして、たった一言では片づけられない26年に及ぶ歴史の最後の扉が開きます!
足利工大付属高校の丸いマットで出会ってから始まった、三沢を追い求める川田の戦い!
坊主頭の15の春から、川田の前には常に三沢の背中がありました!
そして今、川田の目の前にあるのは四角い緑色の、三沢が作ったノアのリング!
さあ今、そのグリーンのマットが近づいてきた!
三沢が上がってくるグリーンのマットに今、足を踏みしめてロープをまたいだ!
ノアのリングに川田利明登場!
聞いたことのないピアノの旋律が、川田の耳に流れます!
今、川田の胸には三沢のどんな表情が浮かんだのか!?
そして今、5年の時を経て川田にとっては聞きなれた三沢コールのシャワーを浴びます!
これまで何度も、この三沢コールをエネルギーに変えてきました!
あの時が帰ってきた、川田が永遠に追い求める男、三沢光晴!
5年前、2人の別れは突然やってきました!
理想を求めた三沢、信念を曲げなかった川田!
出会ってから初めて違う道を進んだ2人が今宵、「運命」という名の同じ花道を歩みます!
誰よりも川田をかわいがったからこそ、リングの上では徹底的に川田を叩き潰しました!
命を削り合った戦いからだこそ、2人にもう次はありません!
5年間離れていた距離が今、10mを切りました!
三沢と川田、この2人が同じリングに立ちました!
「本日のメインイベント、シングルマッチ・時間無制限1本勝負を行います!」
「青コーナー、250パウンド、川田~利明~!」
看板は捨てた!しかし、歩む道は俺だけの王道!川田利明!
「赤コーナー、255パウンド、三沢~光晴~!」
区切りでも節目でもない!これは男のけじめの戦い!三沢光晴です!
(平成17年7月18日 東京・東京ドーム 三沢光晴VS川田利明 実況・平川健太郎)