【乱世、夢幻の如し】上・下
講談社文庫
【著】津本 陽
織田信長を何度も裏切った、松永久秀の物語。
相当な曲者だな程度の認識だったので、なかなか興味深く、面白い作品。
ただ、一章分ほぼ畿内の情勢、状況説明になっていたり、織田信長が上洛する頃には織田信長に偏ったりと、個人的には松永久秀の物語としては少し残念な作品。
後半に行けば行くほど読み物と言うより、歴史資料に感じた。
松永久秀の最後もむしろ、他の織田信長ものの小説の方が熱かったかもと感じた。
畿内の状況としては、色々となるほどと思う事が多いが、もっと読み物感が欲しかった。
【剣樹抄】
文春文庫
【著】冲方 丁
ヤング水戸光圀と少年探偵団的な作品。
水戸光圀と大人達と水戸光圀に見出され、隠密組織 拾人衆に加わる主人公とその仲間たちが江戸の街を守る話。
江戸を舞台にした剣呑な少年探偵団的な話で読みやすく、面白い。
一冊で完結すると思って読んでいたので、最後は軽く驚きましたが続編があるようです。
イクサガミほど続きは気にならなかったので、機会があったら読んでみようと思います。
【イクサガミ】
講談社文庫
【著】今村翔吾
何処かで見たような、読んだようなデスゲームに身を投じる主人公の話。
そこに一子相伝の剣技を学び、義兄弟間で血で血を洗う宿命を持つ主人公。
当然、掟を破り宿命を放棄する主人公。
掟を破った者を抹殺に来る、裏流派的な妖怪じみた人物。
何故かデスゲームに参加している女の子。
弱点になり得るのにその子を助ける主人公。
助けて貰っているくせに無理難題を言い始める女の子。
そんな女の子がいるから味方してくれる人物達の登場。
一癖二癖ある登場人物の過去の話を盛り込み、感情移入し易くする構成。
何故か政府要人と知り合いの主人公。
何処かで見たような、読んだような展開と構成で既視感が凄いが、面白い作品。
これだけセオリーを盛り込んでるのだからそりゃ面白いだろうとは思う。
珍しく完結する前に間違えて手を付けた作品。
現在、天、地と来てるので、残すは人だけだと思う。
SPECのように結 ～編と人の上下巻にならないことを願いつつ完結編を待ちます。
