記録的な降雪の中ですが、面白い写真が取れたのでご紹介。



ウチの事務所の北側の屋根です。



基本的に、全く同じ作りの5軒の貸家ですが、一番手前の当事務所のみ、明らかにつららや雪の巻き込みが少ないのがわかるでしょうか。



日の当たらない北側屋根が顕著ですが、南側屋根もついでに。



手前のウチの屋根が一番雪が残っていますね。隣は軒先に雪が巻き込み、近寄ると大きなつららができています。



これは、先日の天井のプチ断熱リフォームの効果。

以前書きましたが、元々のグラスウール10kg品100mmの上に、さらにもう一枚乗せて200mm断熱にしたアレです。

最も安い断熱材と言ってもいいグラスウール10kg品ですが、厚みが倍であれば単純に断熱性能も倍です。

高性能GW16kg品はGW10kg品の1.2倍ほど高性能ですが、高性能GW16kg100mm1枚とGW10kg品100mm2枚では、はるかに後者が高断熱。まぁまぁの断熱性があります。



北海道や青森市など本当の雪国は、無落雪のフラット屋根や、勾配屋根でも雪止めを設けなかったりしますが、八戸のような中途半端な雪国は勾配屋根で雪止めがあるのがあたりまえ。



ですので、雪の巻き込みやつららの量が、家の断熱性能のバロメーターになります。



この辺は、断熱について詳しい人にとっては常識ですが、ちょっと解説。



●天井断熱の悪い家



天井断熱が薄いと、暖かい室内の熱が小屋裏に逃げてしまいます。そうすると、屋根面が暖められ、積もった雪の下が解けて水になります。

下の水が潤滑剤となり、上の雪全体が滑り落ちます。

一気に滑るため、雪止めを乗り越え、雨どいも乗り越えた状態で、冷たい外気にさらされてまた凍ります。

先端は雪に水がしみ込んで固まった状態ですので非常に硬く、落下するととても危険です。

また、その部分から水がしたたると、溶けた水が氷点下の外気に触れてまた凍り、つららとなって、どんどん成長してゆきます。



●天井断熱の良い家



これが天井断熱の良い家になると、小屋裏に熱が登らず、冷たいままです。

わずかに上った熱も、小屋裏換気で排出されますので、小屋裏はほとんど外気と変わりません。

日があたる部分の屋根では、屋根板金の熱伝導で屋根が暖まり多少下から解けることもありますが、北側の屋根では気温が高くなるまで雪が乗ったまま、という状態になります。

気温が高くなっての雪解けは、上のほうから順番に溶けてちゃんと雨どいから排出されます。



当事務所の屋根は、所詮グラスウール10kg200mm程度ですが、Q1.0住宅となると高性能断熱材を300mm程度が当たり前。単純に断熱性能は倍です。

つららの量はさらに減るか、ほとんどない、という状況になります。



去年建てられた新築住宅でも、見てみるとおお~~きなつららが下がっている家もあります。この話は天井・屋根断熱に限ったことですが、天井断熱だけを真面目にやるということはほとんどないので、全体の断熱性能が推定されます。



雪道の渋滞でなかなか車が進まない時は、廻りの家の屋根のつららをながめてみると、ちょっと暇つぶしになるかもしれません。