せっかくなんで、この機会を利用して、色々な団体のセミナーや、ご紹介いただいた方のところにご挨拶に出向いている日々です。
前々から指摘されていることなのですが、「曳家や家の傾き(沈下修正工事)の相場が判らない」「判らないので価格で選ぶ」と言われます。
そりゃそうですよね。価値を理解できないものに大金は払えません。
お酒のディスカウントショップで見かける無名ブランドの安い缶コーヒーと、バリスタの入れるスペシャリティコーヒーを同列に考える人はいないと思います。
同じ「土台揚げ」でも、
基礎補修において、「モルタル」で詰めるのと「コンクリート」で詰めるのでは強度が違います。
同じく基礎補修で、モルタルを団子に置いておき乾いてから化粧するのと、型枠を組んでおいて「コンクリート」を小手などを使って強く強く押しこんで固めるのとでも強度は違います。
みなさんが気にされるアンカーボルトの再接合も、
「プレート」で基礎と土台を繫ぐよりも、「溶接」。しかしそれよりも「長ナット」で繋ぐ方が、強度と「せん断力」は確保されます。
一つ一つ書いてゆく、キリが無いので・・詳細は「曳家岡本」hpを見ていただくとして・・
「安心を買うためには手間を掛けて強度の復元にこだわらないといけない」「それには費用がかかる」と云うことをご理解ください。
下世話な話ですが・・blogの検索機能を使って、どんなワードで。このblogを見に来てくださっているのか?見ることがあります。
すると「珍しい職業 曳家 儲かる?」と云う検索履歴が出てくることがあります。
いやいやいや(汗)珍しい=仕事の需要が少ないから職人が減っている。わけですから・・儲かっているわけではありません。
そもそもセミナーに参加して、初対面の大工さんたちに、尋ねられるのが「専業なんですか?」です。
「専業ですよ。他のこと出来ないんで(汗)」と答えると皆さん驚いてくださいます(苦笑)
ピカソではありませんから、短時間で高額な作品を生み出すことは出来ません。
私どもがしている仕事は、芸術ではありませんので、決して高額なものではありません。
純粋に手間と経費を積算させていただいております。
熊本地震以降、色々な方々が、「にわか曳家」のようなことをblogに書いているのを目にしてしまいます。
こんなんで良いのかな?自分で考案してみた料理のレシピを公開するのと違って、家を傷めている工事内容を拡散するのって悪意は無くとも「悪」では無いのか?