草加市柿木付近


子供の頃、父親に連れられて、上野動物園へ行きました。


当時は地下鉄日比谷線が無いから、東武線で北千住へ行き、常磐線に乗り換え、上野へ行きます。

上野駅を降りて、西口を出れば広小路の街。前方にアメヤ横丁が見えます。

小学校にあがる前の小さな私は、そのあたりを車の激しく行き交う危険なところと、印象しました。

そんな駅前の北側の道路を渡り、動物園の在(あ)る上野の山に向って歩いていたら、頭上を浮かぶ、我が街には存在しない、二体の猛禽類を発見しました。

後に鳶(とび)であると知りましたが、そのときは時折図鑑で見る鷲(わし)あるいは鷹(たか)かと思いました。

二羽の鳶は翼を伸ばして、ゆっくり上野の山の上を旋回した後、ビル街へと滑って行き、松坂屋デパートの避雷針のあたりに降りて、姿を消しました。

その日、動物園の動物達にそれなりの関心を持ちましたが、それより空を舞う長い翼の鳥の姿が、印象に残りました。

その後幾度か上野動物園へ行きましたが、その度に(上記と同じ個体であるかはわかりませんが)鳶は、その華麗な舞を見せてくれました。

しかし大人になって、上野を訪れたら、鳶の姿は消えていました。

高度成長を迎えた都会は、野生を受け入れる余裕を失ってしまったのでしょう。

あの鳶達は、上野の山に、その生涯をまっとうしたのでしょうか。

それとも、何処か遠くの山へ移動して、果てたのでしょうか。🪶✨





凩(こがらし)が残しゆきたるふはふはの羽根は枯草(こさう)に乗つて日を浴(あ)ぶ をさむ