夕方、行きつけの中華食堂(↓画像は別の食堂です。)に寄った。

注文をききに店員の女の娘が来た。

目鼻立ちのはっきりした娘だ。

器量良しで、客への応対も良いので、以前からなんとなく意識にあった。

年齢はきいていないが、はたち少し前ぐらいだろうか。

何度も顔をあわせているので、気さくに接してくれる。

ふと、彼女のピアスが目に入った。

無色透明の石が光っていた。

俺は、そばに来た彼女に「ピアスかわいいね」と言って、手をのばした。

彼女が顔をかたむけてじっとこちらを見ていたので、その耳たぶをさわった。

彼女は微笑みながら何か言った。

言葉は聞き取れなかったが、かすかに声が震えていた。

そんな彼女をみて、男の情が込み上げた。

一瞬の出来事だった。

かた焼きそばと焼き鳥丼を食って店を出て、小雨の中に、そろそろ恋人が欲しいな、などと思う俺がいた。



くちづけの恋にならばや夕焼(ゆやけ)橋 をさむ