こんばんは、茨城のひのきです。
先日、社長にお願いしてスズモクで建築したパッシブハウスの換気風量測定を見学させてもらいました。
スズモクでも風量測定は初めて見たいです。
現場には、社長と今回のパッシブハウスのために温熱のコンサルをされているArchiAtelierMA(株)の丸山先生とお施主さんがいらっしゃいました。
今回写真はお施主さんの手前、ブログに載せるのははばかられるので文章だけで。
測定業者の方が来るまで、1時間ほど丸山先生から現在計画中のパッシブハウスの話という、とても貴重なお話を聞かせていただきました。
これだけで来た価値あるなって感じです。
いやー、外付加断熱300mmだそうですよ?東北地方すごすぎ
外壁垂れないのか心配になりましたが、しっかり計算されているそうです。すごいな!
1時間ほどして測定業者の方が到着。
って、前に里山住宅博でお会いした換気のスペシャリストのMさんじゃないですか! ◆過去記事参照
前回お会いした時はお名前だけで名刺も貰わなかったのでわかりませんでしたが、Mさん、群馬で住宅向けの設備会社を経営されている社長さんだそうです。
社長自ら群馬から茨城までお一人で測定に来られたそうです。
なんという現場主義。
Mさん、あの日本初の鎌倉パッシブハウスから始まり、数々のパッシブハウスの換気設備を担当してこられた歴戦の設備屋さんだそうです。ご本人は田舎の電気屋だよと謙遜しておられましたが、森パッシブハウスジャパン代表との裏話等を聞くととてもそうは思えません。
話を聞く限り、パッシブハウスの換気はとりあえずMさんに任せていけば大丈夫くらいに信頼されてる方みたいです。
そんな人が地元では手間だけの簡単な工事もしているという。地元の人がうらやましい。。。
早速、換気風量測定が始まりました。
パッシブハウスは各換気口の風量を誤差10%以内に収めなければいけないそうです。
まず換気装置のダイヤルを計算上の目標風量に合わせて、ざっくり各換気口の風量を測定してきます。
その後、まず屋外の給気口(OA)の風量を目標値ぴったりに修正。
と、まずここでトラブル発生
換気装置のダイヤルを上げてもなかなか風量が上がらない。とうに目標風量が出てもおかしくないのになぜ?
Mさん『ひょっとしたらダクトから漏気しているかもしれないな』
現場の雰囲気が凍りました。
ソレ、ヤバイヤツナノデハ。。。。
お施主さんと社長が凍ってます。
とりあえずダイヤルを上げていくと目標風量には到達したのでいったん室内の測定をしてみることに。
屋内の給気口(SA)の風量を測っていくと、屋内の給気口風量(SA)の合計値=屋外の給気口(OA)風量になり、
Mさん『とりあえず漏気ではないだろう』
ほっとした空気が現場に流れました。
Mさん『だとすると、風量が出ないのはダクトの圧損が想定よりかなり高いのかもしれない』
再び凍る現場。
Mさんマジフリーザー(不謹慎
Mさんはダクトの圧損の計算結果を確認したり、メーカーに確認したりした後、
Mさん『社長さん、お施主さん、ダクトの施工写真見せてくれる?』
社長とお施主さんがスマホにあった施工写真を見せると、
Mさん『うん、これなら大丈夫。お施主さん安心していいよ』
現場にいた全員ほっと一安心よかったー
Mさん『だとすると機械かもしれないから後でメーカーに確認してもらって。もし故障で再測定が必要なら次はメーカーに測定費用出させな。その時はぼったくっておくから』
Mさんの冗談が出て、現場が和んだところで測定再開。
次は室内の各換気口を目標風量の10%以内になるように換気口内部のシャッターを開閉して調整。
ここでMさんの神の手発動!
ほぼ一回の調整で目標風量に入っていきます。
見た感じ手に当たる風の強さで風量を予測してるっぽいように見えました。すごい職人技!
Mさん『換気の神が降りた。もっと褒めてくれていいよ。誰もほめてくれないからさー』
強面で毒舌ですがおちゃめなMさんです
ただ、一つの換気口を変えると他の換気口の風量が上がったり下がったりするので、一度合わせても他をいじるとまたずれてくる。そのため何周も測定するのだそうです。でもほぼ2周で給気の調整終了。
次は屋外の排気口(EA)の風量を測定して、ダイヤル調整。EA側は計算値に近いダイヤルで調整できて一安心。
再び屋内の換気口(RA)の調整に。
そしてここでさらなるトラブル!
トイレとクロゼットの風量がMさんの神の手をしても、どうしても目標に入らない!
それもそのはず、トイレとクロゼットの目標風量は7.14㎥/h
誤差10%なので6.426~7.854㎥/hになればいい。
ただし!
住宅用風量測定器は小数点以下が四捨五入!
ということは、7㎥/h表示なら実際は6.5~7.5㎥h
目標値に入れるにはどっちも7㎥/h表示を出すしかない!!
それに加え同じダクトから分岐した換気口だから片方を上げれば片方が下がる。
どうしても片方7㎥/h、もう片方8㎥/h表示が限界。
一同、丸山先生をみる
心の声(もうこれでいいよね?分岐前のダクトの風量は目標内だよ?)
丸山先生『僕はいいと思いますけど、パッシブハウス的にはだめです』
鬼ー!
Mさん『俺にもプライドがある。絶対に目標にいれる!』
おお!Mさんが熱い!
粘り強く調整するMさん。
そしてついにその時が!
4㎥/h、 5㎥/h、6㎥/h、7㎥/h、、、、もう上がるな、上がるんじゃない、、、
そして、、、、
どっちも7㎥/h表示がでたぞー!
一同ガッツポーズ!
Mさん『シャッターの構造上、シャッターでの調整だけだと難しかった。換気グリルの蓋の取り付け向きを変えると奥のダクトの向きの関係から圧損が変わりそうだったので、それを使って最後の微調整をしました』
すごっ!なんだその発想!
これがプロか!
丸山先生『お疲れ様です。次から一つの換気口の風量が小さすぎないようにする必要がありますね。支部内で共有しておきます』
ほんとお願いします
というわけで、すべての換気口の風量が目標の10%以内に入って無事換気風量測定終了しました。
今回見学させてもらって思ったのは、パッシブハウス建築にはいろいろな専門家が今回のように関わってとても厳密に作られていくのだなと感じました。そりゃ国内で30件程度しか建ってないわけだ。
社長も今回のパッシブハウス建築でいろんな経験と人脈を得た様子なので、これからどんどん進歩していってほしいと思います(何様
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