海士のいえの広縁は、
改修前は浴室や便所のあったスペースです。
建物の最奥に位置していました。

その空間を広縁として
増築部分と改修部分を広縁で真っ直ぐに繋いでいます。

出窓のように見えるのは和室に設けた書院。
左手に見える和室は以前は続き間の奥の部屋で落ち着いた和室でしたが、
西日も強く寝室として使用されて居ました。

この改修で縁を通して南側に開くこととなり、位置としては続き間の手前の部屋となりました。

二つの和室の役割が入れ替わったのですね。
改修の面白いところです。

新たに耐力壁を設けましたので明かりとりとして、また和室側からも広縁側からも部屋に視覚的な楽しさを与える余剰スペースとして書院を設けています。



この写真は増築部、居間の見下ろしですが、
左手が広縁となっています。
見ていただくと分かると思いますが、
建具を開け放すと広縁はリビングの一部となります。



広縁でストーブのパーツを組み立てる住まい手のHさん。



広縁で店開きをするAくん。
窓の外には更にデッキが広がる予定。

このような廊下と広縁を兼ねた空間は
縁側が部屋の突き当たりにならない。
つまり物置になることもありません。
縁側であり廊下でもあるので奥の和室まで来客を生活スペースを通らずに導くことも可能です。

その部屋にいくルートがいくつもある、ということは実はとても大事なことだと思います。

奥の和室には台所からのサービス動線も設けています。

さて、私は聞き取りをしっかり(しつこく?)する方だと自分では思っていました。
ここ最近何度がこの部分にはこういう意味があった、実はこんな拘りがある、ともっと話してください!と言われることが重なりまして。

私は最初に住まい手さんによく話すのですが、建築士は優秀な通訳でなくては、と思っているので、
建物の形や空間の意味は何より住まい手さんがご存知だと思い込んでいたかも知れません。

こうして話すことで愛着を持って頂いたり、打合せ中のことを思い出して楽しめたりするのであれば、私はもっと饒舌でないと、と反省しているところです。

海士のいえの住まい手Hさんはどんどんブログに載せてください!と嬉しいお言葉を頂いているので、しっかりとレポートして行きたいと思います。

つぼくら