今回は、かなりディープな話です。
もう10年ぐらい前ですが、私と同じ巡回区の会衆の、20台後半の若い兄弟が自殺されてしまいました。
私もその兄弟とはあまり深い付き合いはなかったのですが、何回かは話したことがあったので、本当にショックでした。
後から、私と同じ会衆のある兄弟から話を聞くと、その兄弟は鬱病を患っておられたとのことです。鬱病は、本当に自殺を真剣に考えるほど辛い病気ですので、悲嘆に暮れながらも、ああ、そうだったのかと納得しました。
ところが、その兄弟が自殺した兄弟のことを、
「あの兄弟は、サタンの影響を受けていたらしいよ。よく幻覚や幻聴があったらしいから。」
と、私に顔をしかめながら言った時は、心底怒りと呆れが止まりませんでした。
幻覚や幻聴は、統合失調症でよく見られる症状です。まれに鬱病でもあるそうです。れっきとした脳という身体の臓器の病気が原因です。
ただでさえ、鬱の症状で苦しい上に、幻覚や幻聴で悩まされるのはさらに辛いと思います。
それに加えて、親や会衆の人たちから、はっきり言われていたかは不明ですが、
「幻覚や幻聴はサタンの影響」
と思われていたのなら、さらに絶望的になるのは想像に難くありません。
幻覚や幻聴で悩まされた時に、
「自分はサタンの影響を受けてしまった」
と、自分を責め、エホバに必死に祈り、それでもまた同じ症状が繰り返し出た時に、
「もうエホバは自分を見捨てられて、サタンに渡されたんだ」
と思い込んでしまったら、たとえ健康なJWでも普通に死にたくなるでしょう。
彼がそれを言った時、私はJWは今だに未開人であるかのような錯覚を覚えました。
私は、あの兄弟の自殺は、JW独特の
「サタンの影響」
の迷信が原因の人災だと、今でも思っています。と同時に、その時になぜ「サタンの影響」と言った兄弟に言い返せなかったのかと、今でも悔いが残っています。