[東京 21日 ロイター] 外為市場関係関係者の2008年の相場見通しは大きく
割れている。サブプライムモーゲージ(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題の米実体
経済への影響に対する見方の違いが背景にある。米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和
スタンスが強まることで、日米金利差の縮小の観点からドル/円は13年ぶりに100円
を割り込む可能性が指摘されてる。その一方で、ドルは100円を割り込まずに反転し、
年後半にかけて緩やかに上昇するとの見方もある。
<日米金利差縮小で13年ぶりのドル90円時代>
FRBの金融緩和スタンスが当面続くとの見方はほぼ一致している。しかし、利下げ継
続姿勢の強さをどうみるかで相場見通しが変わってくる。みずほコーポレート銀行・国際
為替部シニアマーケットエコノミストの福井真樹氏は「FRBは年央までに複数回の利下
げを実施し、米政策金利は3%台半ばまで低下する」とみている。これに対し、ドイツ証
券のシニア為替ストラテジスト、深谷幸司氏は「サブプライム問題の解決の枠組みが固ま
ってくれば利下げをさらに続けるという環境にはない。長い目で見れば再び利上げの方向
に戻る」と意見が分かれる。
みずほコーポの福井氏は、米景気減速と米国の複数回の利下げなどを通じ、ドルは瞬間
的に95円まで下落する展開を予想、1995年以来13年ぶりに100円台を割り込む
ような円高を見込む。そのうえで「様々な側面で金融不安心理の強い状況が残る」と強調
する。
BNPパリバ銀行外国為替部長の好川弘一氏も、米金融不況が実体経済に波及すること
でFRBの利下げは不可避とし、日銀が2008年中に利上げできなくても日米金利差縮
小が進み円高基調になるとみている。三菱東京UFJ銀行チーフアナリストの高島修氏は
「年後半に米経済は持ち直すとみているが、大統領選が予定されているので金利の据え置
きが見込まれる」との観点から、同様に円高トレンドを予想する。
<金融機関の資本増強がサブプライム問題解決のカギ>
サブプライム問題が早期解決に向かいドル上昇を描くシナリオもある。米政府やFRB
など中銀5行が発表した対策で「解決に必要な手段はすでに動き始めている」(バンクオ
ブアメリカ・日本チーフエコノミストの藤井知子氏)ため、政府系ファンド(SWF)の
大手金融機関への出資や利下げによる流動性の供給がサブプライム問題の一段の悪化を防
ぎドル防衛になる、という。
ドイツ証券の深谷氏も「ネガティブな状況は今がピーク」と指摘する。サブプライム問
題は、金融機関の損失計上で発生した資本不足をどう穴埋めするかに尽きるとし「そうし
た措置が淡々と行われるなら混乱も何もないのではないか。ロスも発生するだろうが、相
場に影響はない」と予想する。
<米大統領選・インフレ対応>
2008年の注目イベントとしては、米大統領選が挙げられる。BNPパリバの好川氏
はこの点をリスクシナリオとし、新しい大統領が景気テコ入れの政策を打ち出すことでド
ルが反発、「ユーロ/ドルが1.35ドルに下落しても驚かない」という。一方、バンカ
メの藤井氏は「どの候補者が大統領になっても、強いドルは国益だと米国は言い続ける必
要があるため、外為市場に与える影響は限られる」との考えを示す。
また、長引く商品市況の上昇などでインフレ圧力が各国ともに強まり、実質金利の格差
が相場の変動率(ボラティリティ)やマネーフローに影響を与えるシナリオもある。JP
モルガン・チェース銀行チーフFXストラテジストの佐々木融氏は、世界的にインフレ率
が上昇することで「株や債券市場など資産価格の変動にも影響する」と指摘。インフレへ
の対応が2008年のテーマと位置づける。
さらに、円相場については、長引く円高地合いや金融商品取引法の施行で動きの鈍って
いる個人マネーが、どのタイミングで息を吹き返すのかも注目点のひとつとなりそうだ。
(ロイター日本語ニュース 基太村真司記者)
