心理教育や、カウンセリングによる支持的精神療法以外に、

下記などの精神心理療法があります。

 

その治療効果につきましては、後日ご紹介させていただきますが、

がん患者さんの不安、うつなどの様々な精神症状をはじめ、

疼痛、疲労、嘔気・嘔吐などの身体症状に対しても有用となる場合があります。

 

 

 

1)認知行動療法(Cognitive behavioral therapy:CBT) 

 

認知行動療法は、

精神科医や、医師の指導下での看護師などの治療者と一緒に、

患者さんご自身も考えてゆく精神心理療法で、

薬物療法と併用して実施される場合もあります。

JMIR Res Protoc 2016;5(4):e215

Trials 2016;17:1712014;15:309 2013;14:82

Psychiatr Clin North Am 2009;32:525–47

J Am Acad Child Adolesc Psychiatry 2004;43(8):930–59

 

うつ病をはじめ、様々な精神疾患や心身症等に対して実施されています。

 

自己非難、否定的な決めつけ、過度な一般化、

全てか無かの極端な考え方をするなど、

出来事に対する偏った否定的な思考を検証します。

 

出来事に関する情報を収集して、

それに代わる合理的な考え方を促進し、とらえ方を変えることで、

否定的な思考による悪循環を断ち切り、健全な思考や行動をとれるようにします。

 

ご自身の考え方のパターンを認識することにより、

偏った否定的な思考の再発予防にもつなげます。

 

癌患者さんのご家族に対しても、認知行動療法が実施されています。

Fam Process 1999;38(2):175-91

 

 

2)催眠、瞑想(めいそう)、マインドフルネス

 

昔から現在まで、精神科医などによる催眠や瞑想は、

癌患者さんに対する精神心理療法として広く実施されてきていて、

多数の報告があります。

Psychiatr Med 1992;10(1):119-31Am J Clin Hypn 1995;37(4):316-25

 Fam Community Health 2003 Jan-Mar;26(1):64-73

Aust Fam Physician 1980;9(5):322-5

 

マインドフルネスは、

瞑想(めいそう)から宗教的な意味合いを除いたもので、気づく ことです。

詳細は、2017年1月8日のブログがご参考になります。

 

 

3)宗教・ヨガ・VRの利用

 

宗教的な行動に頼ることや、

精神心理療法とともにヨガや運動を行うことも、有用な場合があります。

Breast J 2009;15(6):615-22

 

コンピューターなどを利用したヴァーチャルリアリティ(VR 仮想現実)

による、末期がん患者さんの精神心理療法的なケアが試行されています。

Stud Health Technol Inform 1997;44:87-94