今回と次回は、癌に対して好ましい可能性のある精神心理状態につきまして、

ご紹介させていただきます。

 

2017年5月6日、9日のブログでもご紹介いたしましたように、

健康維持に好影響を与える可能性のある精神心理状態は、

癌に対する免疫反応を増強させ、

癌の発症や進展を抑制し、予後を改善する場合があるかもしれません。

 

ご自身の癌や体調を改善させうる可能性のある精神心理状態や、

もしくは過去のご経験より、それらを改善させたと思われる精神心理状態を

誘導することが、癌対策としても役立つ可能性があります。

 

 

 

1)前向き、感謝、正直、信頼

 

治療により癌が消失した完全解寛(CR)状態が5~20年持続している

患者さんでは、人生や未来に対して非常にポジティブな態度で、

時間・人生・人々・対人関係に非常に感謝していました。

Cancer 1976;38(5):2184-91

 

予想される生存期間よりも長期間生存している癌患者さんでは、

協調的で相互の信頼関係を維持している傾向にありました。

Omega (Westport) 1975;6(1):61-75)

 

患者さんと治療者との関係性では、

正直、信頼、緊密なコミュニケーション、が重要という報告があります。

Semin Oncol 1975;2(4):285-92

 

ただし、5月11日のブログ内でもご紹介させていただきましたが、

乳癌の長期生存者では短期生存者に比較して、

精神心理療法を行う治療者に対する態度が悪かったという報告もあります。

JAMA 1979;242(14):1504-8

 

信頼関係を維持するために、

ご自身の感情を抑圧し、ご無理をすることは逆効果になる可能性もあります。

 

 

 

2)活動的、外交的、怒りや不安の低さ

 

乳癌患者さんにおける心理社会的項目に関する研究では、

自宅での活動性、外向性、低い怒り、の3項目が全生存期間に関連し、

自宅内での活動性、自宅外での活動性、不安の低さ、の3項目が、

癌の無再発生存期間に関連していました。

J Chronic Dis 1987;40(7):729-35

 

怒りや不安等の感情が少なく予後の良い癌患者さんでは、

もともとの性格以外に、それだけ心身の状態や、人間関係、

社会的・経済的な状況などが良いという可能性も考えられます。