
OSHO 講話DVD [道元 シリーズ ⑤]
「水に 月の やどるがごとし」DOGENN 5 より抜粋
・・・道元は ある点を強調している
それは 全面的な注意と考慮に値する
道元は あなたの悟りを妨げる者は 誰もいない と言っているからだ
それなら なぜ あなたは 悟っていないのか
この存在するもの すべての中で 誰一人
あなたの障害となることに 関心がある者など いない
では なぜあなたは 悟っていないのか
これは 理解すべきことの中でも とりわけ重要なことだ
経文に 入っていきながら
妨げているものとは何かを 明らかにしていきたい
もちろん あなたは妨げていない
存在は それを 愛し
その中で 喜ぶ
あらゆる人の 悟りの中で 全宇宙は踊る
暗闇の中を 這い回っていた その一部が
家に 帰って来たのだ
栄光に満ち溢れて
全存在が 花を降り注ぎながら その人を迎える
だから 明らかに 存在からは いかなる妨げもない
あなた自身についても 問題はない
では 誰が 妨害しているのか
妨害は 確かにある
さもなければ 悟る必要はない
あなたは すでに 悟っているはずだ
どんな師も あなたに 語る必要は ないはずだ
それは 少し込み入っている
しかし 理解や克服ができないほど 込み入っているわけではない
道元によると
【人が悟りを得るのは ちょうど 水に月が反射するようなものである】
とても 平和に満ち 静かだ
月は 水面に 反射している
実際には 何も起こっていない
月は もとの場所にあり
水に向かって 1インチも 動いていない
水もまた 少しも乱されていない
しかし 静かな湖の中では
月の反射は 月そのものよりも さらに美しくなる
それは
湖もまた ある美しさを 付け加えるからだ
もっと 生き生きとしたもの
もっと はかないものにする
道元の言う悟りは
私も まったく同感なのだが
それは 水に月が反射するようなものだ
水の側には 何の努力もない
月が……必ず反射されねばならない というような
従うべき戒律は 何もなく
修行すべき 教義もなく ヨガのポーズもない
月は……水に反射することができる
そこには 欲望すらなく
切望さえ 切望の影すらない
同じことは 月の側にも言える
月は 反射されたいとは 思っていない
両方とも 無欲だ
だが反射は ひとりでに起こる
悟りも 同じだ
静かで 平和な 意識の中にあって
それは 突然 あなたの仏性を 映し出す
しかし 湖水は 静かでなければならない
湖面に 多くのさざ波や 波紋があると
月影は 砕けてしまう
月影は 散り散りに砕け
あなたは 月を 見られなくなる
ただ銀色の線が 湖面いっぱいに 広がるだけだ
それは 本当の反射ではない
月を 反射しているとは言えない
湖水が静かで 静止し
何も動かず 波一つない時
月は 反射する
あなたの意識は 独自のやり方で 波や さざ波を作り出す
あなたの思考とは 湖面のさざ波以外の 何だろうか……
あなたの 感情や気分や情緒は 何だろうか……
あなたの マインド全体とは 何だろうか……
ただの 騒動だ……この騒動ゆえに
あなたには 自分自身の本性が 見えない
あなたは 自分自身を 見逃し続ける
あなたは 世界のあらゆる人に会いながら
決して 自分自身に出会わない
【月は濡れず】
言うまでもなく
月が濡れる という問題はない
月は 湖面に反射しているのだから
【水は破れない】
なぜなら
月は 水に投げ込まれた石のようなものではなく
反射にすぎないからだ
あなたが 鏡の前に立つ時 鏡を 乱すことはない
あなたは 来ては去るが
鏡は 乱されず 同じ状態のままだ
【月光が いかに広大であろうとも 寸尺の水にも反射する
月も空も全体が 草の露にも反射し
一滴の水にも 反射する】
【月が 水を破ることがないように
悟りが 人を破壊することもない】
これは 実にすばらしい表明だ
悟りは 人を破壊しないが
あなたが 自己同化している人の 影を破壊する
それは 偽りのものすべてを 取り去り
本物であり 真正なもの 偽りなきものだけを残す
【露のしずくが 月の反射を妨げることがないように
人が 悟りの到来を妨げることもない
月が水の中に深く反映するほど 月は高くにある
時間の長短は 水の大小 月の広狭と まったく一つだと 知るべきだ】
あなたの現実を 妨げている影とは 何か……
あなたの影について 完全に理解しないといけない
それは あなたの人格だ
それはあなたが そうなるようにと 企てられ
そうなるようにと 躾けられて来たものだ
それはすべて 母親や 父親や教師たちの声だ
彼らが あなたの人格を形成する
彼らが あなたのまわりに 虚偽性をつくり出す
あなたの 知識……
それが あなた自身のものかどうか 誰も問い正したことはない……
・・・略・・・
道元は 正しい
悟りは あなたの 自然な在り様だ
月が 静かな湖水に映るのと同じように 自然なことだ
どちら側にも 努力はなく
どちら側にも 欲望はない
それは 起こることだ
でも あなたは 澄んだ静かな湖のままではない
多くのがらくたが 宗教-政治-社会 という名のもとに
あなたに押し付けられてきた それこそが障害の元だ
そして かわいそうな月は あなたに反射できない
あなたは この壁を すべて破壊しなければならない
それが あるがままに見ることの 妨げになっている
教えられたように 見るのではなくだ
あなたは すべてのイデオロギーを 取り除かなければならない
あなたに植え付けられてきた
すべての 条件付けも
・・・略・・・
しかし
人間には あらゆることに関して 実に多くの層が 押し付けられているから
こうした考えは 全部 自分のものだと思っている
探求者は 注意深く 区別しなければならない
自分自身のものと 人から押し付けられてきたものとを
そして それを区別し始めた途端
自分のものは 何一つ無いと知って あなたは驚くだろう
あなたはただ 沈黙の湖だ
そして その沈黙の湖の中から
あなたの仏性が 湧き上がる
あなたの本性は その純粋さの中に
その輝きの中に
その至福の中にある
誰も
あなたが悟るのを 妨げようとする者は いない
これらの人々 教師たちや両親は 気付いていなかった
彼らは 無意識だった
彼らもまた 自分の両親や 教師たちの犠牲者だったのだ
彼らのラビ パンディット シャンカラチャリア 法王たちの
彼らは 犠牲者だった
彼らは あらゆる苦痛や 惨めさを 財産として あなたに相続させてきたのだ
今あなたは それらの重荷をすべて 脇に置かねばならない
仏性は あなた本来の自己だ
ただ すべてを降ろしなさい
あなたの内側に 湧き上がってこないもの
内側に 開花しないものを
あなたは 始めのうち
ある意味 貧しく感じるだろう
あなたの知識が すべて去り 迷信が すべて去り
宗教が去り 政治的イデオロギーが去り
あなたは 非常に貧しく感じるだろう
だが この貧しさには 途方もない価値がある
なぜなら この貧しさの 中でのみ
あなた本来の 豊かさが湧き上がり
あなた本来の花が 本来の歓喜が 湧き上がるからだ
本来の人が 悟りによって破壊されることはない
だが あなたは本来の姿ではない
あなたは 汚染されている
誰もが 他の誰かを 傷付けている
数々の 条件付けによって
より良い社会では
子供たちは どんな宗教も政治も 教えられることはないだろう
子供たちは 教えられるだろう
いかに考え いかに疑うかを
いかに信じるかではなく
子供たちは 教えられるだろう
もっと聡明であることを
もっと思慮深くあることを
そうすれば 世界中が 悟りを得た人々で溢れるようになる
悟りとはただ あなた本来の姿だ
これが 禅の偉大な貢献だ
他のすべての宗教は 信仰体系だが 禅は違う
他のすべての宗教は 神を 天国を地獄を信じることを求める
他のすべての宗教には 千と一つの信仰がある
禅には 信仰体系がない
禅の 全努力は 本来の自己を発見することにある
それは 埃に覆われている
あらゆる種類の 善意や
美しい思想 偉大な信仰といった埃に
この埃をすべて 取り除かねばならない
そうすれば あなた本来の姿だけが 残される
・・・略
OSHO 講話DVD(日本語字幕付)「DOGEN ⑤」【水に月のやどるがごとし】より抜粋
