6月22日(土)、
いよいよ今日出産か、もしくは昨日のようにまた家に帰らされるか、、、
でもベイビーだってずっとお腹の中にいるわけにはいかない…。
とりあえず、昨日先生に言われた通り、朝一、9時に電話でナースのリーダー(看護婦長?)と話すこと。
何時でも出動できるように、朝6時に起きて身支度を済ませる。
電話口で看護婦長からは、「13時半に来てください。」と言われた。
家でランチを食べ、いざ病院へ行ってみると、、、
また… 超待たされたぁ……
「昨日は結構待ってもらっちゃったみたいですね!
今日は、そんなに待つことはないと思いますよ!!」
って、期待させるようなことを言ってたのは、あなた達ですよ
結局昨日と同じくらい、、いや、、それ以上待ってますよ
待合室でマジ眠りかけましたよ…
分娩室へ呼ばれたのは結局17時くらい。
部屋に入って、病院着に着替えをして、
17時半頃からInducement(陣痛促進剤)の点滴を始めた。
注射が大嫌いな私は、それだけでかなり汗をかいて、
ナースに心配されるほど
促進剤が効いてくるまで、15~20分くらいだった。
効いてきても、最初のうちは
“ちょっとお腹が痛いかなぁ”
くらいで、全然余裕(→相変わらずドキドキだけど。)
そして19時過ぎくらいに、担当ナースが夜勤のナースに交代になった。
名前は忘れたけど、ちょっと変わったオモロい韓国人のおばちゃん。
この時点で陣痛の痛みは、結構辛くなってきていた、、、のに、
それを知ってか知らないのか、
自己紹介と同時にこのおばちゃんがベラベラと話し続けた。
以前に九州に行って、めちゃめちゃ良かった!
ラーメンがすごく美味しかった!
綺麗な場所を色々巡った!
…
ちょっとで済むと思っていたおばちゃんの旅行話は、
結局10分近くにも及んだ
まだ“社交辞令”という無駄な言葉が意識上に存在していたので、
陣痛に必死に耐えながら、無理やりの作り笑顔と相槌を送っていた。
陣痛の痛みは益々増していき、、、
ついに20時を過ぎた頃、私の中で“無痛分娩”にしようという決断を下した。
職場のおばちゃんらに、
「無痛分娩用の麻酔はあまり良くない。」
「後遺症が怖い。」
などと言われていたので、できる限り自然分娩でいきたかったけど、、、、
この痛みが出産までしばらく続く、いや、もっと痛くなっていくと思うと、、、、
“もう無理~~~~~!!!!!”
結局、麻酔専門の先生に来てもらい、無痛分娩用の部分麻酔をしてもらった。
(※カナダでは、自然分娩よりも無痛分娩のほうが主流!!)
麻酔によって、温度や痛みは感じなくなるけど、
子宮にかかる陣痛の圧は感じられて、何だか不思議な感覚だった。
「これから長くなるから、寝ておいて!」
とナースは言い残して部屋をあとにした。
えっ、陣痛中に寝るのっ?!
と、何だか変に聞こえたけど、
確かに麻酔が効いているので、ちょっと眠ることができた
“長くなる”って、どれくらい時間がかかるのかなぁ…
今日生まれてくれたら“6月22日”で覚えやすいよね……
とか考えていたけど、結局日付を跨ぎ、6月23日になってしまった…。
「そろそろ子宮口も開いてきたので、4時15分からいきんでいきましょう。」
と、この日担当のスピッツァー先生に言われたのが朝4時前。
ついさっきまで寝ていたけど、いよいよ緊張してきた~
ちょっと早めの、4時10分から
「もう始めちゃいましょう!」
と韓国人のおばちゃんナースに言われ、私の出産がスタートした。
(先生は、出産ギリギリで合流する、カナディアン方式… 笑)
母が「携帯でビデオ録画しよう」と携帯を徐に出すと、
「ちょっと、あなたも手伝ってよ!」
と母を呼ぶ、韓国人ナース。
私の右足を旦那、左足を母に持たせて、
いきみ方と姿勢を伝授すると、
「それじゃぁ、あなた達だけでしばらく頑張ってて
私はやることがいっぱいあるから!」
と言って、同じ部屋の中にあるパソコンを使い、データ入力を始めた。
カナダで出産経験のある友人からある程度聞いていたとはいえ、、、
放置かぁ~~~
そして、いきみ始めて30分ほどたった頃だった…
突然、
パーン
という音とともに、部屋中が真っ暗に!!
稀にみる、病院の停電~~~~
キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
ベイビーの心拍をトラックする機械と、陣痛促進剤の機械はすぐにバックアップ電源で動きだした。
しかし、その他の電源は落ちたままで、勿論部屋は真っ暗のまま。
私たち3人もビックリしたけど、一番ビックリしてたのは、
なんと韓国人のおばちゃんナース
部屋をウロウロした後、徐に自分の携帯をポケットから出し、
「ライト、ライト、ライト…」
と携帯のライト機能を必死で探す。
ライト機能がないと分かったおばちゃんナースは、なんと、、、
アプリストアから“ライト”を探し、迷うことなくインストール
(↑私は出産に真剣だったので、この話は後に目撃者である母から聞かされた)
そして彼女はインストールしたてのライトを使って私を照らし、
「Puuuuuuuuuuuuuush!! Puuuuuuuuuuuuuush!! (もっといきんで!もっと!)」
と叫んでいた。
何だかこれ、傍から見たらマジでお笑いコント状態……
その後も我々が暗い部屋の中で頑張り続けていると、
別のナースが部屋に入ってきて、すんなりとスイッチを押して電気を付けた
…えっ、結構早く付くんじゃん。
おばちゃんナースちょっとテンパり過ぎ…
聞いたところ、病院内での停電は、本当に滅多にないらしい。
このおばちゃんナースにとっても初めてだったのかな。
朝5時15分くらいに、
「もうすぐだよ!もう頭が見えてるよ!!」
とナースに言われ、もうすぐゴールなのは分かったけど、
自分ではゴールの感覚が全く分からず、何だか終わる気がしなかった。
ゴールの全く見えないマラソン走っている気分。
5時25分頃に、もう本当にもうすぐだということで、
スピッツァー先生+アシスタントドクター2名が呼び戻された
もう12時間近くベッドから動いてないから、
本当に本当に体がしんどい!
特に腰痛は今までに感じたことのないくらい酷いものだった
そして、6月23日午前5時32分、、、
ついに!
3540gのビッグベイビーが生まれた
ベイビーはすぐに毛布に包まれ、
「はい、娘さんですよ。」
と、私の胸元に置かれた。
“お、重っっ。”
大きくて温かい宅配便の荷物をドンっと置かれた感じだった。
彼女は最初は泣いていなかった。
…が、すぐに外の世界を認識し、小さく泣き始めた
何だか不思議な感じで、、、
お互いにお互いの存在は分かっていたのに(←少なくとも私は)、
今日が初対面。
上手く言い表せないけど、
顔の見えない文通相手に初めて会った時のような、、、感じ?
“あなただったの?私のお腹の中にいたのは!”
私を見つめる娘。
“無事に生まれてきてくれて、私たちの元に来てくれて、本当にありがとう!
これから大事に育てさせてもらうね”
ー 完 -