Avicii の「Heaven」を聞いていると
嫌なことがあっても
不思議と心が落ち着いてくる．
早いもので来週はAviciiの７回忌となる．
類まれなる才能を持ちながら，
なぜ自死を選んだのか，
凡人の自分にはわからない．
その日は部長との
今期の目標に関する面談だった．
「今期はこれまで経験したことのない
量をさばかなければならないため，
少し不安はありますが．．．」
自分は懸念を部長に伝えた
「エルサさん(グループ30代女性管理職)の
プロジェクト次第ということですか」
「そうですね，そちらがどれくらいの
負荷になるか読めないので」
昨年エルサは，創業○○周年に向けた
ブランディングプロジェクトに
自ら参加することを表明した．
当初は本業に支障が出ない範囲で
という約束であったが，
会社側は「参加した以上，
こちらを優先するように」と
方針を変えたため，
負担が増えてしまった．
自分はそのことを聞いて，
全社プロジェクトなのだから，
参加者個人の問題として矮小化せずに，
本部全体の取り組みとして，
各部署からサポート要員を
つけることを部長に願い出た．
それを受け，本部長と各部署長の
話し合いが行われ，それぞれの部署から
サポート要員がつけられることになったが，
エルサの負担が減っているかどうかは
怪しい所であった．
実はエルサは，企画系の仕事は
あまり得意ではない．
決められた枠組みの中での法令管理や
チェックなどは高い専門性を備えているが，
何かを更地から作っていくことは
向いていないと思っている．
ただ彼女は，高いプライドを持っているため，
自分に頼ることはしたくなかった．
そのためプロジェクトから
出された課題に対しても，
相当の時間をかけて対応していた．
しかしながら最後は諦めたらしく，
考えた内容を見て欲しいと，
夕方，資料が送られてきた．
「すいません，明日のプロジェクト会議で
使うかどうかはわからないのですが，
課題になっているので．
もし時間があれば見て欲しいのですが」
中身を確認したところ，
苦戦した後がすぐにわかるような
内容であった．
自分はそれから1時間かけて
できる範囲の書き換えを提案した．
部長との目標面談は，開始してから
1時間が経とうとしていた．
「グループの計画はこれでいいと思いますよ」
「ありがとうございます」
「他に何かありますか？」
自分はこの時を待っていた．
「実は来期，2025年度はエルサさんに
グループ長を任せたいと思っています
自分は世代交代をして，裏方に回ろうかと．．」
部長は少し考えてから
話し始めた．
「エイトさん(仮名：自分)，
一戦から外れるのは
まだ早くないですか」
「そうでしょうか？
彼女は管理職になってから，
問題提起をするなど
かなり意識が高まっています．
グループのまとめ役は
管理職の年数ではなく，
経験を積んで上達するものです．
早ければ早い程いいと考えています」
自分は少し抵抗を見せた．
「実はですね，本部長に新たな構想を
提案しようと思っています．
今の組織構造だと，エイトさんのグループが
限られたところにしか介入できないので，
本部全体を見れるように，
本部長直轄の部署を考えているんですが」
おお～，自分たちを
切り離しにかかったのか．
確かに部長直轄のグループと
自分たちのグループの内容は
遠くは無いが近くも無い．
前職だったら同じ部署に
収まる事は無かった．
「人数が減っているので，
いろんな部署と手を取り合わないと
回っていかないので，提案する形の方が
いいと思っているんです」
相撲のダメ押しを喰らったような気がした．
頭の中でAvicii の「Heaven」が流れた．
And I think I just died
僕は今死んだんだな
I think I just died
死んでしまったんだよな
Yeah, I think I just died
そうさ，僕はもうこの世にいないんだな．
And went to Heaven
天国に行ったんだ
went to Heaven
天国に
「エイトさん，大丈夫でしょうか？」
これ以上，抗っても無意味と悟り，
面談部屋を後にした．
I think I just, oh, たった今ね
I think I just died, oh 死んでしまったんだ
And went to Heaven そして天国に行ったんだ
And went to Heaven 天国にね
7回忌だもんな．頭よぎるわ，そりゃ．
坊主でも呼んで，法要でもするかな