たいてい3連休は，
近場でもいいから，
旅行をすることにしていたが，
体調が良くない．
先週末，微熱を発症してから
テレワークで１週間を
やり過ごしていたが，
強烈な鼻炎が襲い掛かり，
それ以来，嗅覚と味覚が失われた．
簡易キットではあるが，
一応，抗原検査をしたところ，
結果は「陰性」．
まあ鼻炎はよくあるので，
すぐに治るだろうと
高を括っていたが，
中途半端にしか
感覚が戻ってこない．
不思議なもので，
味覚が無くなると
食事もする気がなくなる．
凝ったものを作ったり，
高いものを食べたとしても
金の無駄だと思い，
結局，そうめんやうどんで
済ましていた．
土曜日，いよいよまずいと思い，
近所の耳鼻科に行くことを決めた．
しかしその耳鼻科は臨時休診．
他に2か所ほどあるが，
その場所から1.5kmぐらい
双方反対方向の場所にある．
つまり次の１つがだめなら，
3㎞かけてもう1つの耳鼻科に
戻ってくることになる．
スマホで確認をしたところ，
どちらも診療している．
さて，どちらに行くか．
自分は東に進むことにした．
歩くこと20分，受付に行くと，
「予約が無い場合，13:00からの
診療になります」
時刻は10:00前．
混み具合は相当だ．
しかたない，
もう1つの耳鼻科に行くか．
そこから歩くこと約30分程度．
10:30に受付に着くことができた．
「えっと，これからですと
だいたい2時間後になります．」
「お願いします．」
「では問診票を記入してください」
必要事項を記載し提出すると
「外出（待ち）になりますので，
順番が近くなりましたら，
こちらの携帯の方に
お電話をいたします」
そりゃそうだよな．
待合室がこんなに
空いている訳がない．
仕方なく，併設されている
ブックカフェに向かった．
最近は電子書籍しか
買っていないため，
書店に行くのは久しぶりだった．
昔は店内を回るだけでも
ワクワクする気持ちになったが，
今やネットで取れるような
つまらない内容の本だけが
置かれている．
自分はカフェに向かい，
スマホで電子書籍を
読むことにした．
それから2時間が過ぎた頃
スマホが鳴った．
「はい，今からすぐに向かいます！」
呼び出しがやっと来た．
自分はクリニックの
待合室に戻っても
電子書籍を読み続けた．
うん？ 何？
えっ？何の声？
何が起きている？
周りを見渡してみると，
ある母親が，3歳ぐらいの子供を
膝に乗せて，バカでかい声で
絵本を読み聞かせていた．
まるで自宅にいるかのようだった．
発声から
「おにぎりぼうや，ぱんどろぼう」
という単語が繰り返されていた．
さらに読んでいる最中，
子供が何度も質問をする．
そのたびに母親は，朗読を止め
内容をかみ砕いて教えている．
とにかくうるさい．
母親は周りには目を向けず，
絵本と子供の顔だけを見ていた．
自分は体調が悪かったので，
すこしイライラしてきた．
なぜ子供に公共の場である
ということを教えないのか．
読んでもかまわないが，
どうして待合室中に広がるような
音量で読まなければならないのか．
自分はその母親の隣に座って
「それで，それで？
おにぎりぼうやはどうなったの？
教えて！教えて！」
とでも言ってやろうかと思ったが，
通報される可能性もあるため，
思いとどまった．
せめて
「もう少し，静かに読んでくれませんか．」
ぐらいは言いたかった．
10分後，その親子は
診療室に呼ばれた．
やっと待合室に平静が訪れた．
診療後，これでもかと言うぐらいの
薬が処方された．
帰宅途中，安売りスーパーの
トイレに入ったが，いつもなら
鼻が曲がるほどの臭いが，
ほぼ無臭．ただ目には染みそうな
感じが伝わっていたため，
やばさは変わっていないことを知った．
薬を飲み始めて2日，
感度としては，通常の50%ぐらいの
臭いと味がわかるようになった．
ただ時より，感度が下がる時もある．
医師からは，1週間飲み続けて
完治しなければ，別の治療法が
選択されると言われた．
味覚が戻らなかったら，
人生の8割ぐらいの楽しみが
無くなるんだろうな．
そうなったら生きてても
しょうがないかな．
まあ祈るしかないか．
