2022/12/15の戦場は新宿BLAZEにて戯曲『でんぱぁかしっくれこーど』。世界記憶を意味する同タイトルのEPを歌劇形式で表現する趣旨となり、秋葉原そのものを主人公として、00年代以降の秋葉原の歴史を舞台とするループものとなります。満員のフロアを前に秋葉原のシンボルのひとつ、中央通りの映像が舞台装置として投影されて開幕します。

アングルは総武線高架を背に末広町を臨む感じでしたので、サンプリングの時期によってはこのように、AKIBAアミューズメント館に空野さんビルボードが掲載されていた状態の画となっていた可能性もありました。更に歩を進めて明神通りまで出ると、名作「3xザ・ライド」のジャケ写スポットとなることも記して残します。

全体を通じてプレスコアリングの音声に役者さんの動作が重なり、場面が変わる度に全員登場して歌唱する流れとなります。配役の中でもとりわけ異色なのが空野さん。成瀬さんのオタク役として、メガネにディアステ法被でDS店舗の風景を背にご登場。クセ強なムーブとアドリブでフロアの笑いを誘います。共演者との絡みを受けて、触られた袖の匂いを嗅ぐ動作は、普段の行いを考えるとどこまでが役でどこからが素なのか判じかねるほど。本作のディレクションをご担当になったのは、以前にARCANA PROJECTさんが歌劇を開催した際にもご担当になった長田氏。前作と本作の触れ幅の大きさを見事に飲み込む怪演振りに感銘を受けておられます。

3.11や通り魔事件・コロナ渦と、電気街として栄えた街のあり方を大きく変えた過去の事象を行き来するうちに、夢を見つけてループから解放されるところがクライマックスとなります。全員登場して石丸電気のテーマを筆頭に秋葉原各所で響いた名曲たちをカバーしたり、その歌詞を朗読したりなさいます。からの現体制初「アキハバライフ♪」。こちらはEP収録曲ではないのですが、MVそのものが歴史の証人となっていることから窺える通り、あるべき所に収まっている感がします。

 

 

アンコールに応えて全員ご登場になり、全体振り返りからの締めは未来に向かって「Future Diver」。サビのアドリブにて熱心なファンを演じる空野さんとJK役藤咲さんの絡みは、ぜひ映像化してほしいと強く願うほどにハマっていました
#軍記 #でんぱ組

 

文責 えふ