ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ユナイテッド93

人災、といいようがない、事実。

本当かどうか分からないけれど、防げた出来事だったということをこの映画の特典映像での遺族の話でも聞いて、正直いたたまれなくなる。


最愛の人達を、形のない大義名分のために失った人達の思いで、この映画は出来ている。


決して癒えることはないだろう、痛みをそれでもなんとか抱いて生きている遺族たち。


それもある日突然に、彼らは 夫を、妻を、子供を……失った。





出来るだけ、残るものを頼りに作られたこの映画は、かなり即興の部分があるらしい。

それを考えるのは、名もない俳優たち。

彼らは演技を越えたドキュメントを見せてくれたように思える。





まったく見も知らずの人々と、生き残るためにテロリストに立ち向かった人達、どうしてこんなことが起きたのか分からないまま、それでも自分たちの命を守るために戦う様は、見ていて、もしかしたら助かるのかもしれないと思った。

制御を失った操縦桿を皆で掴んで、飛行機を立て直そうとしたあのシーンはどうして未来がそこに存在していなかったのか、神に呪いたくなる。


国が国民を守ってくれなくなったのなら、その国はおしまいだ。

誰を信じればいいのだろう。


そして、国のために国民を犠牲にしてもいいという思想を持つ国は、存在して欲しくない。

国のためにと命を投げ捨てるテロリストもまた悲しい。


彼らの命はなんの意味もなさないというのに。

人を傷つけて得るものなんて何もない。

そんなことをすすめる神なんて存在しなくていい。


愛する人と一緒に歩んで行ける、人が人である世界こそが、大切なものだというのに。