まず、今回アルバイトを辞めるのは、
人間関係やお店に不満があったからではありません。
「そんなにいいバイト先なのに、もったいないよ」
と周りに言ってもらうこともありました。
私も、アルバイトそのものを苦だと感じたことは、
今までありません。
ただ、以前のように頑張れなくなっていく自分が、
すごく悲しかったです。
レッスンの合間にアルバイトをすることが当たり前になり、
気持ちを切り替える余裕がなくなっていきました。
お客さんの前ではいつも通りでいたいと思うほど、
気を張るようになりました。
疲れてしまう日が増えたり、お客さんを笑顔で迎えたいと思う気持ちにも、余裕がなくなっている自分に気づきました。
そんな自分に気づくたび、
周りの人にも申し訳ない気持ちになることがありました。
それでも、辞める予定だった9月末から、
少しだけ退職の時期を伸ばしてもらいました。
すぐに離れたかったわけではありません。
終わりが見えたからこそ、あと少しだけ、
ここで過ごす時間を大切にしたかったんです。
正直に言うと、最初はこの辞め方がすごく悔しかったです。
自分がこうしたいと思って決めたタイミングでもなく、
「どうしてこんな形で離れなきゃいけないんだろう」
と思いました。
ここで出会った人たちや、積み重ねてきた時間が、
自分が思っていた形ではないところで終わることが、
やっぱり悔しかった。
でも、少しずつ、
今回のことを別の角度から考えられるようにもなりました。
もしこのままアルバイトを続けていたら、
いつか自分自身が活動との両立について、
同じように悩む時が来ていたのかもしれない。
そう考えると、このタイミングでアルバイトを辞めて、
これからの活動に向き合うきっかけをもらえたことは、
ありがたいことなのかもしれないと思うようになりました。
「ここで働けてよかった」と思ったまま、この場所を離れる。
そう考えると、私にとってこれは、すごく幸せな辞め方です。
そして、アルバイトで出会った人たち。
ここからは、そこで出会えた人や過ごした時間、そして別れを前にして、今の私が感じていることを書こうと思います。
私は一度アルバイトを辞めたあと、
もう一度この場所に戻ってきました。
もしあのとき新しいアルバイトを探していたら、
きっと違う場所で、違う人たちと過ごしていたと思います。
それでも、もう一度ここで働きたいと思えたのは、
2年前に出会えた仲間がいたからです。
そして、戻ってきてよかったと思えたのは、
以前から知っている人たちだけではなく、
ここで新しい人たちにも出会えたからでした。
思えば8月頃から、私は自然と人に、
「何を大切にしているのか」
「どんなことを考えているのか」
そんなことを聞くようになっていました。
今思えば、アイドル活動を始めてから、少しずつアルバイトを辞める心の準備をしていたのかもしれません。
2年前、私がレジをしていた頃から、
お店に来てくださっていたお客さんがいます。
その方は、当時の私の接客を覚えていてくださっていて、
私がいる土曜日の夜によく来てくださっていたそうです。
私が一度アルバイトを辞めてからは、私を見かけなくなり、
お店に来ることも少なくなったそうです。
そして、久しぶりにお店を訪れてくださったある日、
私を見つけて、
「まだいらっしゃったんだ!」
と声をかけてくださいました。
その一言が、すごく嬉しかったです。
2年前の自分のことを覚えていてくれたことも、
「接客の空気感が好き」と言っていただけたことも、
思っている以上に心に残っています。
自分がしていたことが、時間が経ってから、
思いがけない形で返ってきたような気がしました。
ここで過ごしてきた時間が、
ちゃんと誰かの記憶に残っていた。
それを知ることができただけで、十分嬉しかったです。
その後、今までやったことのなかった場所の掃除をしながら、
「ああ、私、本当に辞めるんだな」
と、少しずつ実感していきました。
そして、店長。
兄弟のことや、大学のこと、新しい環境での生活のことなど、仕事とは関係のない話をたくさんしました。
「誰に何を話してるの?」
と、自分でも思います。笑
でも、いろいろな話をする中で、その人が何を大切にしていて、どんなふうに物事を考えているのかを知ることが、
私は好きなんだと思います。
話をするうちに少しずつ信頼が生まれて、
気づけば、いろいろなことを相談するようになりました。
私の話を聞いて、一緒に考えて、言葉を返してくれていたこと。
「ここには頼れる人がいる」と思えたことは、
私にとって大きなことでした。
以前、店長に、
「新しい環境や生活になることに、不安はないんですか?」
と聞いたことがありました。
私自身、これから環境が変わることに不安を感じているのだと思っていたからです。
でも、あとになって、
自分が本当に感じていた気持ちに気づきました。
私は、新しい環境そのものが
不安だったわけではなかったのかもしれません。
今まで当たり前のように過ごしてきた場所がなくなること。
当たり前のように会えていた人たちと、
これまでのようには関われなくなること。
そんな「今まであったものがなくなること」への
寂しさの方が、強かったんだと思います。
店長と話していると、
「自分の中には、こんな言葉が眠っていたんだ」
と気づくことがあります。
うまく説明できないことでも、
一緒に考えながら言葉にしていく時間があって、
普段は自分でも気づかないような気持ちに気づくこともありました。
以前、店長が「人を見るとき、その人の言葉を見る」と話していました。
そんなふうに、言葉や伝え方を大切にしている人と話す時間は、私にとってとても温かいものでした。
そして、人と話すことは、相手の考えを知るだけではなく、
自分自身の考えを知ることでもあるのだと思います。
敬意を持っている人の考えに、
「確かに」、「なるほど」
と感銘を受けることもあれば、
「この人はそう考えるんだな。でも、私はこう思うな」
と感じることも増えました。
それは、相手の考えを否定したいわけではなく、
相手の考えを尊重しながら、自分はどう思うのかを考えられるようになったからだと思います。
誰かが自分に何かを伝えようとしてくれるなら、
その気持ちを、今この瞬間に全力で受け取りたい。
そして、感銘を受けることも、違う考えを持つことも、
どちらも大切にしながら、
少しずつ自分の軸をつくっていきたいと思っています。
今回のことでも、自分の考えを持ちながら、
周りの言葉を受け取ることの大切さを強く感じました。
私たちはまだ18歳、19歳です。
これからも、たくさんの人に教えてもらって、支えてもらって、たくさんの言葉を受け取っていくんだと思います。
きっと、まだ自分たちだけでは見つけられない答えもたくさんあります。
だから、いただいた言葉はちゃんと受け取りたい。
でも、その言葉を受け取ったあとに、
「私たちはどうしたいんだろう」
と、自分たちでも考えていたいです。
「18歳だから」「19歳だから」と見てもらうことも、今の私たちだからこそ与えてもらえるものの一つだと思っています。
その若さも大切にしながら、今の私たちだからこそ感じることや、やってみたいことも、自分たちの言葉で伝えていきたい。
誰かの言葉をそのまま返すのではなく、
もらった言葉を自分たちの中で考えて、悩んで、選んで、
最後は「私たちはこうしたい」と言える8人でいたいです。
そして、私たちの言葉もまた、
誰かに受け取ってもらえるものになったらいいなと思います。
支えてくださる方たちと一緒に、たくさんの言葉を交わしながら、私たちらしい形をつくっていきたいです。
離れることは、すべてを失うことではなく、そこで受け取ったものを抱えて、次へ進んでいくことなのだと思います。
出会って、経験して、離れて。
そのたびに自分の一部が増えて、
少しずつ世界が広がっていくのかもしれません。
これからも、もらった言葉や、自分の中に生まれた気持ちを大切にしながら、たくさんの考えに触れ、自分自身の軸を育てていきたいです。
賢く、強く、美しく。
そんなアイドルに。
そして、そんな素敵な女性になりたいと思います。
出会った人たちのことも、交わした会話も、一緒に笑った時間も、これからも覚えていたいです。
些細な日常が思い出として残り、そんな時間が私は好きでした。
受け取ったたくさんの言葉を、これからの私の中で大切に育てていきたいと思います。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
音