桜田淳子さんの『ひとり歩き』

作曲:筒美京平

作詞:阿久悠


 

 

花の中3トリオでは、断トツで淳子さん推しのしべりあ。

 

サンミュージックの、その後松田聖子・早見優・岡田有希子・酒井法子…と続いていく正統派アイドルの血脈はこの方から始まったと言っても過言ではなく、まさに「サンミュージックアイドルの始祖」と呼ぶに相応しい、輝くばかりに観る者を照らすような、健康的な明るさと、可愛らしさを兼ね備えた…淳子さんは伝説的なアイドルでした。

 

そんな淳子さんの楽曲群で何が1番好き? と聞かれると、ファンとしては非常に困るのですが、初期のレコードの中で特にお気に入りなのが、この『ひとり歩き』です。

 

デビューから淳子さんの楽曲は、中村泰士さんや森田公一さんが手掛けられていたのですが、ここにきてはじめて筒美京平さんのプロデュースとなりました。

 

前作『はじめての出来事』が淳子さんの初期の代表曲的な扱いを受けることも多く、隠れがちな印象もあるシングルですが、それまで淳子さんとプロデュース人が築き上げてきた、「健康的かつ爽やかでプラトニックな青春歌謡」というイメージをそのまま継承しながらも、筒美さんらしい耳に残るキャッチ―さと、阿久さんらしい、簡潔ながらも奥行きを持たせるのが絶妙に上手い文筆で表現された失恋のリリックが加味された、初期における秀作だと思います。

 

 

そしてこの曲に関して思い出されるのは、淳子さんが出演された映画、「スプーン一杯の幸せ」。

歌詞中の、「しあわせの重さ計る秤があるならほしいの 今わたしはどんなしあわせなのかしら」というフレーズは、この映画に寄せて書かれたものかもしれません。

 

「スプーン一杯の幸せ」を、私は観たことはないのですがアルバムは持っていて、このLPに挿入されている淳子さんの台詞、「そう、ちょうどスプーンですくえるくらい スプーン一杯の幸せ それが17才の私には ちょうどお似合いだと思うのです」が心に残っています。

 

こういう、素朴ながらも真っすぐで、純真な言葉を口にしても全く違和感のないアイドルが、桜田淳子という方でした。

 

天性のオーラを発しながらも、どこまでも謙虚で、真面目で、いつも一生懸命で…

 

だから、私は前述したように、花の3トリオの中で1番彼女が好きなのです。

 

 

 

 

時に、私も最近、ひとり歩きをする機会が以前より増えました。

 

と言うのも、以前の記事で書いていたかと思いますが、私は現在心療内科に通院しており、そのため休日、長崎市内へ出向くことが増えたのです。

 

コロナの影響、そして元来出不精であることが重なって、長崎へ越してきて2年が過ぎたと言うのに、これまでさほど長崎市内をフィールドワークすることなく過ごしてきたしべりあですが、通院ついでに街をぶらつくようになったことで、最近はだいぶ市内の歩き方に通じるようになってきました。

 

 

ひとり歩きの結果わかったのは、長崎は、とても興味深く、面白い街だということ。

 

この街の地形はとても奇妙で、すり鉢型になっています。

 

平地が狭いのでしょう。

周りをぐるりと囲んだ山の中腹あたりから、裾野へ向かって並ぶ、家々や建物の雑多な群れが、ひどく窮屈そうに並びます。

 

そして、そのいかにも窮屈そうな建物の間を、路面電車がひっきりなしに横断していきます。

 

福岡にいた頃は地下鉄が主な交通手段でしたが、長崎では路面電車が便利です。

分刻みで走っているため、待ち時間を持たずに済むからです。

 

自分の周囲を動きづらそうに走っていく居心地悪そうな自動車たちをよそに、「カンカンカン」と明るい音を響かせながら、悠々と街中を走っていく路面電車に乗り、しべりあは心療内科へ、そして最近フィールドワーク…もとい、グルメ散策を楽しんでいる浜町商店街へ、行ったり来たりしています。

 

 

こちらは、その長崎浜町商店街の写真。

裏路地の風情が、強く心を惹きました。


 

この商店街で見つけた1番の喜びは、なんと言ってもレコード店!


 

コロナになってからは、レコード購入は主にネットを利用していたのですが、やはり、現地であれこれ探し、あれこれ迷ってレコードを買う喜びは格別です。ここでしか得られない興奮があります。

 

 

そして、食いしん坊バンザイなしべりあの、グルメ紀行。

 

主たるアーケード街から少しはずれた場所や、細い裏路地に良いお店が多くて楽しいです。宝探しみたいで。


この、幅の狭い階段を上ると…


素敵な創作料理のお店が!






お値段はお高めでしたが、とにかく美味しかったし、食器のセンスも良く、何より、食後の紅茶をすごく丁寧に入れてくださったところに好感が持てました(そういうお店は残念ながら少ないのです)。

 

 

他にも、こういう昔ながらで素朴なイタリアンのお店もありました。


入口の、いかにもレトロな看板に心惹かれて入ったお店です。

 

二階席でのランチをいただいたのですが、窓辺の風情が、異国めいていて素敵でした。




そしてこちらは、浜町商店街からはずれた場所にあるのですが、しべりあが特に気に入ったお店。

紅茶の専門店、その名も「エイト・フラッグ」です!






内装にまで英国風にこだわったティーサロンで、紅茶の他には手作りのワッフルのみというメニューの潔さに、このお店のこだわりと矜持を感じるような気がします。

 

初めて訪れた日、私はラプサンスーチョンをいただいたのですが、これまで私が口にしてきたどのラプサンスーチョンよりも香り高くて、口にしたとたん、小さな驚きが私を襲いました。


ラプサンスーチョンと言えば、スモーキーなフレーバーが特徴的な紅茶ですが、このお店のラプサンスーチョンは、ひとことで言えば「焚火」。

スモーキーなんて言葉じゃ生ぬるい、文字通り「焚火」。「焚火」と言う他ないほどの、はぜる炎から立ち昇る煙を思わせるほど強く、存在感のある香り。

喉を通って私の身体の中へ、焚火の炎がぽとりと落ちていくような、そんな感覚さえありました。

 

本当に美味しかったです。

 

ワッフルも一緒にいただきましたが、ラプサンスーチョンとの相性も良く、紅茶好きの私としては大満足、いえ、大満足以上のお店でした。

 

 

 

そんなこんなで、「不安障害」「発達障害」などなど、ネガティブな理由で心療内科へ通院し始めたしべりあですが、このように、その通院を不似合いな明るさをもって楽しみ、満喫しております。

 

そもそも、こうしてフィールドワークを通して私の身体全体が、心全体が思い出したのですが、私はひとりで、行ったことのない場所へ行ってぶらぶらするのが大好きなのです。

ひとり旅が好きなのです。

 

孤独故の充足感と、どこまでも続くような解放感。

 

それがどれほど幸福なものなのか。

スプーン一杯じゃ足りない、樽一杯と言っても良いほどのこの幸福。

 

ひとり歩きはどんな薬よりも、今の私に効いているようです。

 

 

 

そんなしべりあですが、今日は懸念としていた「発達障害」について、正確な判断を受けに心療内科へ行ってきます!

 

これまで採血から始まり、たくさんの、様々な検査やテストを受けてきましたが、それらを踏まえて先生から診断が出され、また薬なども処方されるそうで、「旦那さんもご一緒にきてください」と、今回の受診に関しては言われていました。

なので、今日は夫も一緒です。残念ながらひとり歩きではありません(笑)。

 

まあ、たまには「ふたり歩き」を楽しもうと思います。