Wワタナベと言えば問答無用で「渡辺満里奈・渡辺美奈代」の二名のことであった、昭和のアイドル黄金期(ちなみに、令和4年の現代においては、「Wワタナベ」と言うと櫻坂(欅坂)46の渡辺梨加・渡邉理沙のことを思い浮かべるドルオタも少なくないそうです。渡辺姓のアイドル自体、そもそも時代を問わず多いですからね…)。

 

「ピンク・レディーはケイとミー、どちら派?」「Winkはどっちが好き?」など、アイドルオタクであれば当然盛り上がるであろうこの話題。

当然おニャン子のWワタナベに関しても、同じような議論が当時ファンの間では起こっていたのではないでしょうか。

 

 

しかし、盛り上がるには違いないだろうけれど、間違いなく不毛でもあるのがこのテの議論。

 

何故なら、(少なくとも私は)答えなんて永遠に出せないからです!

どちらも比べるのがおこがましいくらい、それぞれに魅力的だからです!!

 

 

いや、おニャン子ソロデビュー組では断トツで満里奈ちゃんが好きだと自負していたしべりあですが、「やっぱ満里奈が1番だよな」と思いつつ、なんとなく美奈代ちゃんの『TOO ADULT』を再び見返したらその徹底したアイドルぶりに魅了されずにはいられないし。

 

かと言って、「やはり、美奈代はおニャン子のトップ・オブ・ザ・アイドル!」とほぼ確信に近い想いを胸に動画を漁って満里奈ちゃんの『深呼吸して』を観てしまえば、「満里奈は日本一可愛い女の子」と認識を新たにさせられるし。

 

そしてついでにゆうゆの『天使のボディーガード』を観て、「ゆうゆの笑顔は世界一ィィィ!!(ジョジョネタ)」と叫ぶまでが、おニャン子オタクのルーティンです。

 

 

優劣をつけるなんて無理な2人、それがおニャン子クラブのWワタナベこと、渡辺満里奈と渡辺美奈代なのです。

 

しかし、優劣をつけるなんて愚の骨頂ではありますが、それでもこの両者を比較することによって、2人の魅力がより浮き彫りになることもあるかと思います。

 

今回は、満里奈と美奈代、両者の違い、そして共通点を見ていきつつ、改めてその魅力に迫りたいと思います!

 

 

 

オーガニックアイドル、渡辺満里奈

 

このブログでも何度か言及していますが、渡辺満里奈は私にとって、極めて「オーガニック」なアイドルです。

 

渡辺満里奈においては、アイドル特有のぶりっ子や、媚びたりする素振りはありません。

声質も、ほぼ地声のノンビブラート歌唱で、とにかくナチュラル。

彼女がアイドルとして活動した80年代後期のバブリーメイク・衣装にも染まらず、「渡辺満里奈」という1人の少女は不必要に飾られることがなかった。「渡辺満里奈」という1人の少女のままで、ステージに立ち続けた。

 

何の添加物も装飾もない、ただただ素のままの姿でステージに立つけれど、その素のままの姿が1番可愛らしい。

そんな「オーガニック」なアイドルが、渡辺満里奈という人です。

 

 

「オーガニック」故か、満里奈ちゃんは他のアイドルにはない、画面越しに直に感じられる瑞々しさがありました。

あと、これは主観でしかありませんが、凄く素直そうで、ある種の品の良さを感じる人でもありました。

何と言うか、「両親からたっぷり愛情を注いで育ててもらった女の子」…そういう設定がしっくりくるような、多幸感や率直さ、爽やかな明るさを満里奈ちゃんには感じるのです。

セーラー服よりブレザーが似合う、ご両親のことも「パパとママ」と呼んでいそう…そういう妄想がしっくりきてしまうような、当時の他のアイドルにはない雰囲気。

 

彼女のプロデュースを手掛けたエピック・ソニーが同じ印象を満里奈から感じたのかどうかは当然定かではありませんが、満里奈ちゃんのアイドル時代のブランディングは、楽曲を聴いてもレコードのジャケ写を見ても、この「幸福でちょっと育ちの良い少女」像をイメージとして固定していたと言っても良いでしょう。

 

1stアルバム『MARINA』のリード曲である『ホリデー・ビジター』の歌詞を見ればその方向性が明らかです。


※『ホリデー・ビジター』


 

「はじめてテキストを見ながら焼いた愛情のこもったケーキ」を作るヒロイン像が、まさしく本人のイメージにドンピシャ。

「パパとママのように素敵なカップル」のあたりからも、非常に和やかで幸福感に満ちた、まるでアメリカのホームドラマのような家族像、そしてその中心にいるヒロイン…もとい満里奈ちゃんが連想できます。

 

1thアルバムのリード曲というポジションにこの曲が据えられているというのは、やはり渡辺満里奈というアイドルのイメージとして、この『ホリデー・ビジター』の少女像がエピック側にはあったと考えても良いのではないでしょうか。

 

更に、この『ホリデー・ビジター』やその後のプロデュースを見ていくと、渡辺満里奈というアイドルにはもうひとつ特筆すべき特徴があったことがうかがえます。

 

それは、満里奈特有の「異国の雰囲気」です。

 

繰り返し言いますが、満里奈はなんとなく、「セーラー服よりブレザー」、「お父さん・お母さん呼びよりもパパ・ママ呼び」が似合う、ある種の洗練がありました。

飾り気や派手さはないのですが、かと言って芋クサかったり田舎クサかったりすることは絶対にない。

この洗練故に、後の渋谷系にも上手く迎合できたと思っているのですが…

 

同じくおニャン子クラブであった「河合その子=フランス」とはまた別種の異国情緒。それが渡辺満里奈にはあったと思います。

 

この『もう夢からさめないで』のPVなどを観ると、その特徴が明らかです。

このPVの満里奈ちゃんはもう死ぬほど可愛らしいので、絶対に全人類が見るべき。


 

こんなに、ヨーロッパの民家や草原が似合う女の子、他にいます?

男の子と花冠を取り合ってはしゃぐ無邪気さ、その後に見せるはにかみ。

白い日傘をくるりと回してちょっと照れたような、少女らしい喜びの表情。

自転車で古い町並みを駆けて行く光景の爽やかさ。

かと思えば、急に静かな目をして遠くを見つめたり。

 

もう一度言う。全人類がこの満里奈ちゃんを観るべき。心が豊かになる。

 

このPVの満里奈ちゃんからはもはや、「若草物語」とか「秘密の花園」に出てくる女の子、みたいな趣さえ感じます。

そう、英米の児童文学に登場する主人公のような趣が、満里奈ちゃんにはあるんですよ!

オタクの妄想でしかありませんが、オズの魔法使いのドロシーとかめちゃくちゃ似合いそう。カンザスの陽ざしでちょっと色褪せたブルーのギンガムのドレスを着て、両腕でトトを抱っこして、おさげという出で立ちで、案山子とブリキの木こりと臆病ライオンと一緒にエメラルドの都を歩いてほしい。似合わないはずがない。

 

 

…すみません、満里奈へのあまりの愛故に(あとこれを書いているのが遅い時間ということもあってか)めちゃくちゃキモいオタクの妄想をぶちまけてしまいました。

 

いずれにせよ、上記のような特徴…つまり、「飾らなさ、無添加」、そして英米児童文学の主人公のような「純朴さ、幸福感」、先輩河合その子ちゃんとはまた別種の「洗練と異国情緒」が、個人的に思う満里奈の魅力です。

 

では、対するWワタナベの片割れ、渡辺美奈代ちゃんはどうでしょうか?

 

 

 

ロリータROSE、渡辺美奈代

 

『ロリータROSE』というのは、美奈代ちゃんの5thアルバムに収録された楽曲名ですが、渡辺美奈代というアイドルを語るに、実にぴったりな言葉だと、個人的には思っています。

 

華奢な体格からは幼さ、少女性を感じますが、同時に薔薇のように匂いたつようなコケットを感じさせるアイドル。

「ミニスカート」という少女性を体現したかのような衣装を身にまといながら、「見えそうで見えない」ギリギリの危うさでチャーミングを振りまくアイドル。

芯の太さを感じながらも、甘さをふんだんに含んだ声質で歌うアイドル。

 

それが渡辺美奈代です。

 

そして、渡辺美奈代という人間は私にとって、本当に「骨の髄までアイドル」だと感じさせる稀有な存在でもあります(他にそう思える存在は、松田聖子と岩井小百合だけ)。

 

満里奈ちゃんとの最たる違いはおそらくここで、満里奈が等身大の少女の姿でステージに立っていたのに対し、美奈代ちゃんはアイドルとして最大限に自分を飾ってステージに立っていた。

 

アイドルとしての武器…ウインク、ぶりっ子、ちょっとした媚態、それらを駆使してアイドルとして「カワイイ」を体現し、ドキドキや、幸福感をステージから届け続けているのが、渡辺美奈代なのです。

 

満里奈ちゃんがオーガニックだとするならば、美奈代ちゃんは粉砂糖をたっぷりかけた、甘い甘いケーキと喩えることもできるでしょうか。

 

しかし、満里奈ちゃんにとって、満里奈のその「飾らなさ」が美点だったからと言って、美奈代ちゃんのその「ぶりっ子」や「アイドルとして自分を飾る努力」が、美奈代ちゃんにとっての欠点になる、というわけではありません。

 

むしろ、満里奈ちゃんとは正反対の性質ですが、「アイドルとして最大限に自分を飾る」という点こそ、私が思う美奈代ちゃんの最たる美点なのです。

 

隙を見せない、いつ見ても可愛い。「主食はショートケーキです」と言われて「そうなんですね」と素直に頷けてしまうような神秘性。鉄壁と言って良いほどの隙の無さ。

こういう、アイドルとしての「王道」をたゆまず貫き続ける美奈代ちゃんの姿に、私はいつも感動させられます。

 

キャリアの途中でアーティスト路線へ走ったり、ヤンキー臭が漏れ出したり、はたまた「実はアイドルやりたくなかった」的な暴露まで飛び出してくるアイドルもいる中、一貫して「アイドル」としての自分に誇りを持ち、アイドルを楽しみ、アイドルであることを貫き続ける美奈代ちゃんという存在は、ファンにとって、いつまでも輝き続ける一等星なのです。

 

 

それから、美奈代ちゃんには「甘さ」と同時に、「芯の強さ」と言うか、アイドルとしての胆力の強さが感じられ、そこも魅力だと思っています。

 

この胆力故に、アイドルとしてブレずに長年やってこれてるのだろうな、と。

 

 

それは彼女の、おニャン子卒業後におけるアイドルとしての成長、現在のご活躍の様子などを見れば明らかです。

 

レコードの売り上げは芳しくなかったとしても、おニャン子時代から続いていたゴッキープロデュースを離れ、ムーンライダースと絡み始めたあたりから、美奈代ちゃんの歌手としての技量や表現の幅はぐんと広がりました。

ケルト的なフォークロアを感じさせる『Winterスプリング、Summerフォール』も素晴らしいし、マイク一本の前で堂々と歌う『ちょっとFallin’love』、声にアイドル的なキュートさだけでなく力強さと太さを存分に感じさせる『恋愛紅一点』あたりを、おニャン子時代の楽曲群と比べるとその成長ぶりが見てとれると思います(もともとおニャン子時代から下手ではなく、むしろメンバーの中では歌えている方でしたが)。

 

※『Winterスプリング、Summerフォール』


 

※『ちょっとFallin’love』


 

※『恋愛紅一点』


また、ご自身のYou Tubeチャンネルなどで公開されている現在のアイドルとしての、そして主婦としてのご活躍の様子などを見ていても、「この方は一本、すごく強い芯を持っていらっしゃる方なんだ」と、感じずにはいられません。




まず、動画内での美奈代ちゃんのたたずまい。

 

エプロンや洋服の選び方、ヘアセットやメイクの仕方、それら一つ一つどれをとっても美奈代ちゃんが持つ、「カワイイ」の美学が徹底されていて、やっぱり相変わらず一部の隙も無くアイドルなのです。

 

そして、なにより主婦としてのその技量の凄さ!

 

自分も主婦のはしくれですが、だからこそ美奈代ちゃんの家庭内での働きぶりの素晴らしさがわかります。

 

料理の技術、盛り付けのセンスだけではありません。

キッチンを含め部屋中綺麗にいつも整頓されていて、特にキッチンの清潔感へのこだわりはもはや芸術の域。

 

家の中を清潔に保つために、細かなルーティンをきちんとこなされていましたが、一見些事にしか見受けられないひとつひとつの行程を守り、ずっと続けていくというのは本当にもの凄い労力を要する事で、無論、強い意志の力があってこそできるものです。

 

アイドルとしても、主婦としても「芯の強さ」、「美学」を貫く美奈代ちゃんを、私は心から尊敬しています。

 

 

 

 

以上が、「Wワタナベ」ご両名に対する私の愛の叫び…

アイドルとしての特徴をまとめたものでございました。

 

 

ナチュラル&オーガニックの満里奈ちゃんと、どこまでも「アイドル(偶像)」を貫く美奈代ちゃん。

どちらが良い、どちらが悪いということは、当然のことながらありません。

本当にお二人とも、アイドルとして、そして女性として、人として素晴らしい、どこまでも輝くような個性を発揮されていて、だからこそ、今も昔も愛される存在であるのだと思います。

 

 

ただ、アイドルとしての方向性と言うか、フィールドの違いが明確にあったお二人でしたから、おニャン子クラブに在籍していた間、ともにトップクラスの人気を持ち、同じ「渡辺」という苗字を持つという共通項もあったにも関わらず、お二人の「デュエット」は一度も実現していません。

 

満里奈ちゃんと美奈代ちゃんを含めたユニットは存在しましたが、必ず両者の間に誰か誰かしらのメンバーがいて、このお二人のバランスをとってユニットとして成立させていました。

 

たとえば、間にお富さんを置いた『避暑地の森の天使たち』、間にゆうゆを置いた『星のバレリーナ』、『真赤なミニスカート』などがそうです。

これらのユニット曲はどれもファン人気曲でもあります。

 

※『避暑地の森の天使たち』


 

※『真赤なミニスカート』


 

 

渡辺満里奈ちゃんと渡辺美奈代ちゃんに共通点があるとすると、それはアイドルとしての、そして人としての「変わらなさ」だと思います。

 

渡辺満里奈ちゃんも、最終的に歌手としては大瀧詠一にプロデュースしてもらうまでに至りましたが、その成長の過程はごく自然で、本当に、『ホリデー・ビジター』のヒロインだった少女がそのまま大人になったのだと、何の躊躇いもなく受け入れてしまえるのです。

 

美奈代ちゃんに関しては前述した通りで、本当に生涯「アイドル」を、美奈代ちゃんの持つ「美学」を貫いていかれるのでしょう。

 

 

人は誰しも、肉体的にも精神的にも老いていくものです。

そして、そのプロセスにおいて必ず「変化」というものを経験する。

 

しかし、どれだけ外見や、精神的な領域の一部分が変化したとしても。

どれだけ時が経とうと変わらないもの…聖子ちゃんの歌にもあったように、「時の流れが傷つけても傷つかない」ものこそが、その人が持つ魅力であり、最良の部分であり、他人を惹きつけるものになるのではないでしょうか。

 

「Wワタナベ」を見ていて、私はそう感じました。

 

 

最後になりますが、今後も、お二人のご健康と幸せ、そして今後のご活躍を応援しています!

 

おニャン子クラブは永遠です‼