今回は福永恵規ちゃんについてレビュー。
「恵規」と書いて「さとみ」と読みます。珍しいですよね。私は初見では読めませんでした。

会員番号11番の初期メンで、最初の頃はフロントもつとめていた恵規ちゃん。

つり目がちの瞳と小麦色の肌が特徴的な美人さんて、どちらかと言えば芋っぽいルックスの子が多かった初期おニャン子クラブにおいては洗練された雰囲気がありました。




ヴォーカリストとしてもとても魅力的で、癖がなく甘さと透明感が共存した爽やかな歌声は、初期シングル曲やアルバム曲で大活躍。後ほど詳しく書いていきますが、この声の魅力あってかプロデュースする作曲陣にはかなり恵まれていました。



恵規ちゃんのおニャン子クラブ加入のきっかけとなったのはオールナイトフジの女子高生スペシャル。
国生さんとともにこの番組に出演されたのですが、そこでプロデューサーの目に留まり、おニャン子クラブのオーディションを受ける事になったのです。

国生さんもそうですが、この時既に一般企業への内定が決まっていたらしく、これを断ってアイドルの端くれになろうというのは、かなり勇気のいる決断だったろうと思います。

彼女は国生さんと仲の良い、いわゆる「国生派」でしたが、新田派との軋轢は主にこういう経緯から生まれています。
国生さんも福永さんも、退路を絶って芸能界へ飛び込んできたわけで、ある程度の覚悟をもってのおニャン子クラブ入りだったわけです。
特に国生さんは単身で鹿児島から東京に出てきているわけですから、おニャン子入りにかけた想いは並大抵のものではなかったことでしょう。
芸能界志向が強くなるのは必然と言えます。

一方新田ちゃんをはじめとする、いわゆる「新田派」のメンバーはそれほど芸能界での成功を重視しているわけでなく、どちらかと言えばアルバイト感覚でおニャン子クラブへ参入した子達でした。
勿論、安易な気持ちでアイドルをやっていたわけではないはずですが、国生さんなどからすると腹立たしく感じる面も多々あったのでしょう。
特に、新田ちゃんの方が先にソロデビューしてからは尚更だったと思います。



さて、恵規ちゃんも国生さんと同じような経緯でおニャン子クラブ入りを果たしたわけですが、彼女の場合、ソロデビューはかなり後になってからでした。

86年5月にソロデビューシングル『風のInvitation』が発売されましたが、同年9月におニャン子クラブを卒業。

レコードのリリース数も、『風のInvitation』含め4枚しかありません。

しかし、なんだかんだで1番楽曲に恵まれていたのは恵規ちゃんだったのでは、と思う今日この頃。

何せ、シングルではおニャン子で唯一竹内まりやから曲を提供されており、大瀧詠一の弟子とも呼べる伊藤銀次からも作曲してもらっているのですから。
アルバム曲では小室哲哉さんや大村雅朗さんも作曲者として名を連ねています。

以下からは、彼女のヴォーカルの魅力にスポットを当てながら、シングル曲をレビューしていきます!


・『風のInvitation』


記念すべきデビュー曲。
作曲はおニャン子の名曲メイカー、『じゃあね』や『真っ赤な自転車』を作曲された高橋研さん。
この曲は打ち込みのサウンドがうるさいくらいに鳴り響いているのですが、恵規ちゃんの爽やかなヴォーカルがこのサウンドの上に乗ると、不思議とうるさく聴こえなくなるんです。
振り付けをこなす所作がいつもぎこちなくて、そういうところが好きでした。



『ハートのIgnition


デビュー曲からガラッと雰囲気を変えたセカンドシングル。
伊藤銀次作曲で編曲が大村雅朗。豪華だなぁ。
デビュー曲も好きだったし、彼女の声色的に『風のInvitation』路線が正解かと思いきや、この曲もバッチリ似合っていて驚かされました。
この曲を歌っている恵規ちゃん、メイクもぐんと大人っぽくなって、すごく綺麗なんですよね。
こういうのを見ると、中山美穂の楽曲とか似合いそうだなと思います。



『僕達のRUNAWAY』


後藤次利作曲。
おニャン子ソロ組はほとんどみんな1度はゴッキー曲を通過しますね。
デビュー曲の路線を踏襲した感じ。
セミロングになっていた髪型も、この頃またショートカットに戻っていました。
私としては恵規ちゃん、セミロング派なんですがファンの皆さんはどうでしょうか。



『心もJUMPして!夏のイントロ』


竹内まりや提供曲にしてラストシングル。
不思議なことに、あんまり「まりやさんの曲!」って感じがしないんですよね。
良い意味ですっかり恵規ちゃんの色になっていると言うか。
おニャン子の新会員番号の唄でも「夏が大好き」と歌っていましたし、恵規ちゃんは夏のイメージがあります。




ここまでレビューしてきましたが、実際のところ、恵規ちゃんはアイドルとしてはあまり大成はしませんでした。

ソロデビューも遅かったし、活動期間も短すぎました。

ルックスも声も、この上なくアイドルやタレント向きだったと思うのですが、何故でしょうか。

個人的な見解でしかありませんが、恵規ちゃんのその性格故だったのかな、と思っています。

夕ニャンやコンサートでの言動や所作を見ているとわかりますが、すごく温和な方なんですよね。

国生さんのようにガンガン自分を出していくタイプではなく、どちらかと言えば控えめでさえありました。

ルックスはいかにもタレントという感じなのに、中身が良い意味で普通の女の子なところがあって、あまり芸能界に向いていなかったのかもしれません。
そんなところも、恵規ちゃんの魅力なのですが。


現在はキョンキョンの個人事務所の取締役をされているそうです。
芸能界復帰はもうないのかもしれませんが、ファンとしては今の恵規ちゃんを見てみたいですね。