③年齢
現代のアイドルは、平均年齢がわりと高めだな、という印象を受けます。
二十歳以上が、まだまだバリバリの現役で活躍中。
平成に生きていながら昭和アイドルの方が身近な身としては、少々驚くことであります。
いえ、正確に言えば、昭和アイドルだって、二十歳を超えて活躍する方もたくさんいらっしゃったのですが。
桜田淳子さんしかり、聖子ちゃんしかり、ナンノしかり…
ただ、確実に言えることがあるとすれば、昭和アイドルは、年齢に応じて曲や衣装が変化していた、ということです。
例えば、花の82年組デビューの堀ちえみちゃん。
82年組は昭和アイドルの中でもとりわけデビュー年齢が低く、ちえみちゃんも15歳でのデビューでした。
デビュー曲は『潮風の少女』。
はっぴいえんどの鈴木茂がストリングアレンジを手掛けている佳曲なのですが、衣装も詩の内容もとにかく初々しく、デビューしたてのフレッシュさがひしひしと感じられます。
しかし、二年後。
彼女が17歳の時に出したシングル、『東京Sugar town』では、詩が『潮風の少女』の時から色を変え、「朝のバルコニーから街を見下ろすのいつ」などのフレーズからもわかるように、ぐっと大人っぽくなった世界観が表現されるようになっています。
更に、彼女が二十歳の時に出した、アイドル堀ちえみとしての実質最後のシングル『愛を今信じていたい』では、一人の女としての意思の強さや苦悩までもが感じられると言っても過言ではないでしょう。
このように、昭和のアイドルは、年齢に応じて変化していく存在でありました。
最初は芋っぽかった子も、どんどん綺麗になっていく。
アイドルとしての、そして女性としての成長を見守っていけるのも、ファンの喜びであり、アイドルをプロデュースする側は、アイドルの年齢、個性、魅力、それから事務所の「こんな風に売り出していきたい」という判断諸々を熟慮した上で、楽曲の制作を行っていました。
その時その時の彼女たちに、一番似合う格好を、当時のアイドル達はすることができたのです。
今のアイドルは、グループという形態故に、個人個人に合わせたプロデュースがなかなかできない、というのが難しいところでしょう。
24歳くらいの、もう十分大人と言って良い年齢なのに、10代の少女に一番似合うような恰好をしなくてはならないこともありますし。
今のアイドルでよく、「女優になりたい」という発言をよく聞くのも、そのせいかなぁ、と思います。
年相応の振る舞いや恰好をしたいんじゃないかと。
それぞれの個性に合わせたプロデュースを見ることができた、昭和という時代は、豪華で幸せだったのだなぁと、そう思うのでした。