国のない男/カート・ヴォネガット | 音楽・読書記録

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辺境ロックが特に好きです。

全くもって個人的な記録です。

図書館より借りる。



新製品といえば、コンピューターもそうだ。こいつのおかけで、人間は成長できなくなってしまった。ビル・ゲイツはこう言っている。「あなたのコンピューターの成長を暖かく見守ってやって欲しい。」しかし、成長しなければならないのは人間なのだ。ばかなコンピューターなどほおっておけばいい。人間の成長というのは奇跡だ。この世に生まれて、仕事をしつつ成長する。


「何事でも人々からして欲しいと望むことは、人々にもその通りにせよ。」これをキリストの言葉と思っている人は多い。というのも、キリストが言いそうな言葉だからだ。しかし、実はこれは中国の思想家、孔子の言葉なのだ。


マイケル・ムーアの「華氏911」は、レイ・ブラッドベリのSFの傑作「華氏451」のもじりだ。華氏451度というのは、紙が燃え出す温度。本は紙でできている。


ピッバーグ出身の若者、ジョーがやって来て、不安そうにこう言った。「ぼくたち、大丈夫ですよね」

「若者よ、この地球にようこそ」わたしは答えた。「夏は暑く、冬は寒い。地球は丸く、水も人間も豊富だ。ジョー、ここでの寿命はたかだか百年くらいじゃないか。わたしが知っている決まりはたったひとつだ。ジョー、人にやさしくしろ」


ユーモアは、人生がいかにひどいものになりうるかということを忘れさせ、人を守ってくれる。しかしあまりにも疲れてしまい、ひどい知らせばかりだと、ユーモアがもはやきかなくなる。マーク・トウェインは、人生はまったくひどいものだと思いながらも、それをジョークやなんかで押さえ込んでいたのたが、ついにはそれもできなくなってしまった。


唯一わたしがやりたかったのは、人々に笑いという救いを与えることだ。ユーモアには人の心を楽にする力がある。アスピリンのようなものだ。百年後、人類がまだ笑っていたら、わたしはきっとうれしいと思う。


そう、この地球はいまやひどい状態だ。しかしそれはいまに始まったことではなく、ずっと昔からそうだったのだ。「古きよき時代」など、一度たりともあったためしがない。同じような日々を重ねてきただけだ。だから、私は自分の孫にこう言うことにしている。「年寄りに聞こう、なんて思うなよ。おまえとちっとも変わらないんだから」

ばかな年寄りがいる。わしが経験したような大きな災難を経験しないうちは、人は大人になれない、なんてのたまうやつらだ。

わたしは第二次世界大戦から戻ってきたとき、ダンおじさんに背中をたたかれて、こう言われた。「おまえもこれでようやく男になったな」わたしはおじさんを殺した。実際に殺したわけじゃないが、殺したいと、たしかに思った。


グラフィック・アーティストのソール・スタインバーグ

「ソール、君は才能があるのかい?」

「答えはノーだ。しかしどんな芸術においても、いちばん大切なのは、芸術家が自分の限界といかに戦ったかとということなんだ」


父が言った。

「迷ったときは、一か八かの勝負に出ろ」


アーティストのシド・ソロモンに尋ねたことがある。

いい絵と悪い絵の見分け方を聞いてみたのだ。すると驚くほど納得のいく答えが返ってきた。「百万枚、絵を見るんだな。そうすりゃ、間違えることはないよ」

わたしはこの言葉を娘のエディスに伝えてやった。娘はプロの絵描きだ。すると娘もまったく同感だったらしく、こう言ってきた。」ローラースケートでルーブルをぐるぐるまわって、『○、×、×、○、×、○』とか言ってみたいわ」

このアイデア、どうだろう?