人形。

人形のような存在だった。


笑うことも、泣くことも、怒ることもなく、
無表情でいて、
一日中、一言も発せず、

例え動揺したとしても、無反応で、何の動きも見せなかった。
置いてある人形と何も変わらず、ただ黙って座っていた。


大袈裟だと思う人もいるかもしれないけど、本当に私はそうだった。


それでも大人になって、
頑張って自分を変えて、
やっと、笑うことを覚えた。

楽しい時も、楽しくない時も、笑うことにした。

私は、心の底から笑っているように見えるみたいで、
「明るい」と言われるようになった。

自分の本当の気持ちと、上辺だけの性格のあまりの違いに、憤りを感じていた。





今でもどうやって生きたらいいのか分からない。

何を思って生きたら、一般的な人のようになるのか。

本当は、「普通」なんてないのかもしれないけど、私はずっと憧れている。

「普通」になるのが一番難しいんだってことを私は知っている。