夜回り先生Part2 | 人は財産なり

夜回り先生Part2

可笑しい話しである。口では今日の子供達の惨事を嘆きながら、実際に自分は夜の街に出て、今この瞬間にも危険に晒されている子供達の救済には行かないのだ。

これは一体どういう事か。

専門家であれば、語るだけが仕事ではないはずだ。語るだけでは子供達は救えない。

しかし、そこまで出来ないのだ。熱意はあっても、子供達の死を眼前にしても、結局、自分の身が可愛いのだ。自分の身までも危険に晒せない。自分の命までも削れない。それは極端な話、政治の勉強を熱心にしながら政治家にならないのと同じではないのか。

今この瞬間にも子供達は一人、また一人と死んでいるのだ。

その事実を知っていながら、何も体を動かさない専門家の人達は、何をしているのか。

水谷先生はとっくに余命が過ぎた体を行動している。彼が死んでしまった後、彼を今まで頼りにしていた子供達は一体どうなってしまうのか。結果は見えている。子供達が彼を知った時、彼がもうこの世にいなければ、子供達はどれほど絶望するだろうか。計り知れない。