前回の続きから。
 
『教科書を超えた技術経営』編著:伊丹敬之
 
 
・要約⑤「技術者自身があるべき姿とは?」―先天的なコミュニケーション能力
企業が自社で技術マーケティングに精通した人材を発見・育成する上で、必須とされる能力はコミュニケーション能力である。このコミュニケーション能力には先天的に高いレベルを持っていればいるほど人材としての価値は高い(ここにきて身も蓋もない...)。
 
ただ、コミュニケーション能力を高める、もしくは高い人材だと示すためには『ロゴス(知識・論理)、パトス(熱意)、エトス(信頼関係)』の要素が必要であり、これらの要素が広く、深くあればあるほど良い。
 
知識・論理の要素として、自身が所属する事業領域・部署での知識や情報を知っているのはもちろん、前回記載したような顧客(場合によっては社内で仕事を進めるうえで関わる他部門の人間も顧客に当たる)が扱う分野の技術やビジネスに関する知識を持たなければならない。『自分はここまで知っていればいい』という線引きを勝手にせず、関わった仕事・業務・事業・市場に積極的に入り込む姿勢が望まれる。特にここでは、単なる技術ではなく、それを用いてどのような価値を市場に提供しているのか=ビジネス面の知識も同等に必要になっている。
例えばスマートフォンメーカーを顧客とするとき、その先にいる通信事業者や利用者の動向・世界的な主流や旬を知っているかどうかでは提供できるモノやディスカッションの質も変わるのは明白である。
 
熱意の要素として、上述の知識・論理だけのいわゆる頭でっかちでは顧客と社内の間での円滑なコミュニケーションや顧客の無理難題への対応力/折衝力はついてこない。
(書籍には書いていない内容だけど、そういえば今の職場の前任で部長クラスに就いていた方は周りから陰で『ロジモン(ロジカルモンスター:理屈おばけ)』と言われていた。今でいうロジハラ?)
 
信頼関係の要素として、熱意にも通じる部分になるが顧客・社内の間でただのメッセンジャーになるようではどちらからも信頼を置かれることは難しい。一方の要求に振り回されるのではなく、両者の矢面に立ちながらも自分発信の協議・交渉・提案をしていくことで関係性を造っていかなくてはいけない。
 
これらの要素を高めていくためには、「上司や管理者に頼ることができず、しかしその立場で行うような判断を自分がしなければならない場」に臨んでいく姿勢を持つ & 企業が育成対象を意図的に放り込むことが必要になる。
 
この経験によって、技術だけでなく技術を「活かす」ことを体験し過酷な環境から多くを自分の力にすることができる。
 
 
 
今回3回に分けて要約し、しかも最後は間隔があいてしまったのにそれなりに自分の中では整理できたような気がする。また何か読んだらやってみます。