読んだ本についての振り返り。
 
『教科書を超えた技術経営』編著:伊丹敬之
 
 
・読み始めたきっかけ
少し前に流行ったMOT(management of technology)という言葉を知り、『経営・マーケティングに技術者の立場で入っていくにはどんなことができるのか?』ということに興味を持ったので購入。
 
・要約①:商品開発・マーケティング分野で横行する『ウソ』
近年、商品開発・マーケティング分野でいわゆる技術的革新=イノベーションが起こりにくい、または出なくなっている。
イノベーションが起こるまでには主に以下3つのステップが積み重なることが必要であるが、それぞれに『ウソ』が紛れている。このウソは一般的には常識的に正しい、とされていることに紛れているため、イノベーションを起こそうとするうえで見落としがちになる。
 
3つのステップ
①筋のいい技術を育てる
→技術力を高める・育てるため、より効率的・効果的に進めようと考えたとき、定量的な指標を設定しその数値が向上しているかを『管理』するという行動がしばしば行われる(=ステージゲートシステム)。
 
この行動自体は間違いではないが、指標を決めてしまうことでその指標が向上しているかどうか、が管理する側・される側どちらにとっても最重要事項になってしまい、お互いに進捗度合を同じ認識で確認できるように行う「見える化」が「見る化」になってしまうことがある。
 
お互いに進捗していることで安心を与えたい・得たいために
>不都合な(しかし指標とは違う領域なので明示しなくても嘘ではない)事実の後出し
>事実の捻じ曲げ
>過度に楽観的な表現
などの現象が起きる。これらは実際、技術力の向上・育成が本当に進んでいるのかを見えなくしてしまう。
 
②市場への出口を作る
→商品・サービスを受け取る顧客=ターゲットを設定し、顧客のニーズ(=マーケットイン)をとらえ、どのように商品・サービスに反映するか絞り込んでいく、という行動自体は正しい。
 
しかし、すでに世の中に出ている商品や評価指標をベンチマークにすることを盲目的に進めてしまうと、
>過去に作られた評価指標の中でしか比べられない(新しい評価軸を探したり、設定したりしなくなる)
>商品・サービスに反映するものの優先順位が、「今までにない新しい◎のもの」よりも「ほかの商品・サービスで課題になっている△のものを○にしたもの」に偏ってしまい、今までの延長線上でしか開発をしなくなる。←突出したいいところ◎よりも、×や△が少ないことを重視してしまう。
などの現象が起きる。
 
これらの弊害として、『競合他社でもすぐに真似できる商品・サービスが乱発され、団栗の背比べ・価格競争に陥ってしまう』『開発者が新しい視点・観点で調査・評価・開発をする発想をなくしてしまう』という不具合が生じる。
 
③社会を動かす←文書の中では割愛
 
まずは現状起きている問題を書いてみた。次では『じゃあ技術者が商品開発・マーケティングの領域にどうかかわったらいいのか?どうやってイノベーションを起こしていくのか?』を整理します。