これまでNegiccoと他のアーティストさんとの2マンライブは何度か見てきた。自分がNegiccoファンということもあるが、毎回会場はネギファンのほうが多く、ホームな雰囲気で、安心して見ることができていた。

しかし今回は違う。Negiccoを招いてくれた主催バンドが、あまりの猛者たちだったからだ。そのバンドとは、日本が世界に誇る千葉県船橋市非公認キャラクター、ふなっしー率いる『CHARAMEL』。ふなっしーが命名したバンド名『CHARAMEL』は、「CHARACTER」と「METAL」を融合した造語であり、キャラクターとメタルを愛する全ての人々の総称でもある、という。

ふなっしーのことはもちろん知っている。そしてふなっしーが、通常のゆるキャラとはなにかが違うことも一応知っていた。

あれはさかのぼること5年ほど前、あるテレビ番組のコーナーだった。番組の女性出演者がふなっしーの熱狂的ファンであることが話題となり、その日常を密着取材していた。その方のふなっしー愛は尋常ではなく、部屋はふなっしーグッズであふれ、ふなっしーのイベントに通いまくっていた。

ある日のふなっしーが出演するイベントの模様が映された。ふなっしーは、着ぐるみというハンデがあるにもかかわらず全力で「○○なっしー!」と叫びながら、超高速で体を動かしていた。そんなふなっしーを、その女性は「ふなっしー!!!」と泣きながら叫び、応援していた。「ふなっしーは生きる勇気を与えてくれる」という旨のことを仰っていたようにも記憶している。

「ゆるキャラになぜ生きる希望を見出しているのだろうか?」と当時の自分にはまったく理解不能だった。しかしその2年ほどのち、その気持ちが自分にもひどく分かるようになった。Negiccoに出会ってしまったからだ。それまでの僕は生きる屍だった。それがNegiccoと出会ったことにより、生きる人間として蘇生し、今に至るまでの3年半、みなぎるパワー(ネギパワー)を与えられ、生かされ続けている。

ネギヲタにとってはNegicooが、梨友さん(*1)にとってはふなっしーが、伊藤沙莉さんにとってアレッサンドロ(*2)がそうであるように、その対象はみんなの生命維持装置であることは間違いない。
*1 ふなっしーファンの総称。
*2 NHKドラマ『これは経費で落ちません』で、佐々木真夕(伊藤沙莉さん)に「推しにかけるお金は生命維持費」と言わしめたヴィジュアル系バンドのボーカル。

 

 

そんな日本の2大生命維持装置の対バンライブが、5月、ネギッコFCサイトから発表された。その発表は基本ゆるキャラ好きなNegiccoファンの多くに歓喜をもって迎えられた。しかし最近のふなっしーについては、テレビには出なくなったけど、かわりに営業でバンバン儲けているらしいというネットニュースのうすーい情報からしか知らなかった自分には「ふなっしーはバンドもやっているのかー。面白そう。バンドのメンバーもゆるキャラなのかなー?にゃんごすたーがドラムなら最高なのになー」と、ゆるめの第一印象だった。一応確認のため、ふなっしーホームページのライブ詳細を開いてみた。

 

 

最初に目に飛び込んできたのは、ジャンプしているふなっしー。そしてその後ろでドラムセットに鎮座している赤い着ぐるみ、にゃんごすたーだった。その瞬間、このライブは自分がこれまで見たネギッコ対バンライブ史上、最も見たいランキング第1位になった。

 

 

にゃんごすたーの存在を知ったのは2年ほど前だったと思う。ある日、YouTubeで色んなドラマーさんを巡る旅をしていた。そのときに彼に出会ってしまった。そしてそのドラミングを見て、恋に落ちてしまった。にゃんごの中の人は、実はX-JAPANのYOSHIKIさんではないかという噂もあったようだが、この動画を見た時その疑惑は払拭された。

 

 


 

2017年9月に行った夏フェス『夏の魔物』。出演者には「Negicco」「にゃんごすたー」の名前が連ねられていた。生にゃんごのドラムを拝みたかった。しかしあの時にゃんごすたーは、Negiccoと別ステージで、もろかぶりの時間での出演だった。見ることができず残念だったけど、あの夏、にゃんごとの思い出はむりやりシェアできた。

 

フェスで浮かれており、
勝手にツーショして申し訳ありません!
 

 

 

新潟の妖精と、千葉県船橋市の梨の妖精が率いる猛者たちが絡む日を楽しみに待ち望んだ。


■千葉県市川市本八幡

ライブ当日。仕事を15分早退し、電車に揺られ1時間弱、千葉県市川市の本八幡駅に到着した。ここは土地勘がある。10年ほど前まで草野球をやっていて、チームメートのトシちゃんが住んでいたからだ。草野球の試合はいつも日曜の朝7時ぐらいから、江戸川の市川側の河川敷で行われていた。自宅からは遠く、朝起きる自信もなかったので、本八幡の実家住まいのトシちゃん宅に、土曜の晩からよく泊めてもらっていたのだ。

今回ライブが行われる市川市文化会館は、地図を見ると、トシちゃん宅に向かうまさにその方角だった。野球のチームメイトは皆家族を持ち始め、チームはいつの間にか自然消滅し、ここへ来る機会はなくなっていた。トシちゃんにも3年ほど会っていない。人づてに聞いた話だと、最近彼はどうも調子が良くないらしい。どうしているだろうかなど考えながら、会場へ向かう道を歩いていった……、が思いのほか遠い。こっちの方角で大丈夫なのだろうかとやや不安になり始めた。こういうときは緑色のグッズを所持しているミドル男子を見つけ、そのあとをつければよい。なのだが今日はそれらしき人が見つからない。しかし数名、黄色いアクセサリーを身につけている女性が見えた。今日はあの人たちについていけば間違いない。次第に増える黄色いアクセサリーの女性たち。その流れに従ってしばらく歩いていくと、本日の会場、市川市文化会館に無事辿りついた。


■NASSYI FES. Presents CHARAMETAL BAND CHARAMEL Ghoul City TOUR 2019

開演5分前。チケットの表記に従い、2階席中央の2列目の席についた。周囲を見ると、梨友さんとネギヲタさんの割合は5:5ぐらいに見えた。

客電が落ち、荘厳かつおどろおどろしいSEが鳴り始めた。悪の儀式の始まりなのか。1階の客席がペンライトで鮮やかに彩られはじめた。黄色が圧倒的に多かったが、紫・赤・緑も一定の割合で存在している。緑といっても普段自分がよく見るネギ状のものではなく、幅広めだった。

 

 

 

2階のお客さんは座ったままだが、1階は総立ちとなる。そしてステージ下手側から、黄、紫、赤、緑とそれぞれ色が違う、丸みを帯びた4つのシルエットが現れた。

その瞬間、「きゃーーー、ふなっしー!!!」「にゃんごー!!!」「アックマさまー!!!」「ふなちゃーん!!!」「カパル!!!」「ふなっしー!!!」「にゃんごー!!!」「ぎゃー、ふなっしーーーーーー、ふなっしーーーーーー!!!」と、昨今の自分が聞いたことがない、女性たちのまさに黄色い歓声が沸きあがった。そのボリュームは、ふだん聞き慣れている「なおちゃーん!」「ぽんちゃー!」「かえぽー!」という声援の10倍ぐらいはあった。

2階席だけを見て、ネギ梨ファンの割合は5:5と思い込んでいたが、1階は99%、CHARAMELの女性ファンたちで埋め尽くされていたのだ!CHARAMELファンの皆様にとっては当たり前の景色なのだろうけど、ネギッコファンの自分には、すみません!まったくの想定外で度肝抜かれた。

「きゃー、ふなっしー!!!」「にゃんごー!!!」「アックマ!!!」「ふなちゃーん!!!」「カパル!!!」「ふなっしー!!!」「にゃんごー!!!」「ぎゃー、ふなっしーーーーーー!!!」と黄色い歓声が続くなか、白手袋の河童(カパル)がマイナー調のベースラインをゴリゴリと刻み始めた。

ギターとドラムがそこへ加わり、ハードロック調の曲からライブ開始。ボーカルふなっしー、永ちゃんリスペクトなのだろうか、白いマイクスタンドを振り回しながら、音の弾丸となった演奏に歌をかぶせる。デス声?! いや、なっしー声?! いづれにせよ、そのハイテンションな歌と演奏に周囲のネギヲタさんともども驚愕し、我々、座っていたが腰を抜かした。デスなAメロ・Bメロが終わり、サビへ。一転してポップなアニメソング調になり、ほんわかと和む。それまでふなっしーの声がハイトーンすぎて何を歌っているのかさっぱり分からなかったが、サビになって友情の大切さを歌っていることがようやく分かった。

自分もペンライト(ネギライト)を灯し、ボタンを何回か押して黄色にして一緒に振った。曲はJポップマナーに従い、落ちサビへと展開。いつものように手を前に捧げケチャスタイルを取ろうとしたが、1階席のライトはそれまでと同じように左右に振られるまままだった。ケチャという文化はアイドル界特有で、メタル界には存在しないことを学んだ。

1曲目が終わり、ふなっしーMCタイム。このとき私は気がついた。ふなっしーの口と、白いマイクスタンドの距離がめちゃくちゃ離れていることに。つまり白いマイクスタンドはただの飾りもしく張りぼてだったのだ!

「歌は口パクで、演奏はカラオケなのか?!」と一瞬疑惑がよぎった。しかしそんな疑心は無粋の極み。ふなっしーの声は魂こもりまくりだし、ふなっしーがMCをする間、その両サイド、アックマ(G)とカパル(B)は入念にチューニングを実行。ミュージシャンとしてキチンとしてる。ふなっしーの中の人はおそらくヘッドセットを使っているのだろう。「マイクの位置が遠いとPAさんに怒られたなっしー!イリュージョンの具合を調整しないといけないなっしー!」と後ほど言っていた。

「○○なっしー!」「○○なっしー!」と、ふなっしーのハイトーンMCに会場は爆笑に包まれていた。自分も爆笑だったが、実際のところは語尾の「なっしー!」以外は初心者ゆえ、八割方聞き取り不能だった。

ステージ上手側よりメンバー紹介となる。1階席が一斉に紫色のペンライトで埋めつくされ、「アックマさまー!!!」という黄色い声が飛ぶ。
 

アックマ(北海道)→地球暦2008年6月6日にアックマ星から地球にやってきた宇宙熊。双子の妹『コアックマ』と共に北海道に住みついている。趣味はサケ。日本酒をこよなく愛する日本酒評論家として同人誌を出版している。昭和アイドルソングからデスメタルまで幅広く音楽を愛する孤高のギタリスト。(HPより)

 

 

続いて、ステージ中央後方にスポットが当てられた。位置はふなっしーの背後になるが、ふなっしーがほぼ動きっぱなしなので、その姿はずっと見えていた。1階席が一斉に赤いペンライトで埋めつくされ、「にゃんごー!!!」という黄色い声援が飛ぶ。

 

にゃんごすたー(青森県黒石市) 青森県黒石市出身ドラマー。現在白猫に戻る為、HOLLYWOODを目指して世界中を冒険中。(HPより)

 

 

続いて、ステージ下手側にスポットが当てられる。1階席が一斉に緑色のペンライトで埋めつくされ、自分「ここはネギ現場か!」と一瞬錯覚したが、声援は「かぱるー!!!」という黄色いそれだった。
 

カパル(埼玉県志木市)→ (公財)志木市文化スポーツ振興公社公式マスコットキャラクター。H12年、志木市民会館スタッフ達の雑談中のラクガキから誕生。偶然、一番エライ人の目に留まり公式に。公募により名前が決まるも、その後、すぐにお蔵入り。そのまま約10年放置されるも、ひょんなことから脚光を浴び、三次元化ほとんどPRをしないのに、なぜかH29年、志木市広報大使に任命された。2018年11月ゆるキャラRグランプリ2018「ご当地部門」グランプリ受賞。(HPより)

 

 


そして黄色い声援がひときわ高くなり、黄色のライトで会場は埋めつくさた。「ふなっしーだなっしー!」と、センターのふなっしーが自己紹介する。
 

ふなっしー(千葉県船橋市) 2000年に1度だけ現れる奇跡の梨の妖精。千葉県船橋市非公認キャラクター。虚言癖あり。(HPより)



「今日はここ市川市でライブだなっしー!市川市は、ふなっしーの地元、船橋市のお隣だなっしー!梨もたくさん取れるし、良いところだなっしー。でも船橋や市川以外にも、千葉には良い所が、ぎょうさんあるで(^_^ゞ」

そんなふなっしーの「千葉には良い所ぎょうさんあるで」な思いをつめこんだという2曲目が始まる。演奏は、1曲目よりさらにハードで、スラッシュメタルの様相を呈す。ふなっしーのボーカルがそれにかぶさり、さらにハードさ増す。ハイトーンなデスなっしー声。なにを言ってるかやはりさっぱり分からない。しかし今回は、後ろのスクリーンに歌詞が流れるという優しい作りになっていた。

歌詞は英語だった。「なるほど、日本語じゃなかったんだ。判別不能なわけだ」と納得したが、この曲はさらに優しい作りで日本語のルビがふられていた。


 

曲名『チバニクル』
 
"She's told me urn king get her man. Now come yell!
 (志津 富浦 君ヶ浜 中山)
 
Is me she's my hammer. she could rage to the new man
 (泉 舞浜 宿連寺 津田沼)"

 

 


「津田沼」という自分にも馴染みのある文字列が流れたとき、「そっか、ふなっしーは千葉の地名をひたすら叫んでいるんだ!」と気づいた。

津田沼。同地出身のバイト仲間だった田中くんを思い出した。田中くんは数十年前、お菓子メーカー『ブルボン』に就職が決まり、その本社がある新潟に行っていってしまった。「縁もゆかりもない新潟になぜ俺は行かねばならないのだろう」と大学4年生だった彼は肩を落としながら言っていた。大人になることの厳しさ、その理不尽さに無情を感じたが、今となっては彼が羨ましい限りだ。田中くん、ネギッコのお膝元で元気にしているのだろうか。

 

 

"千葉 船橋 千葉に狂う 我孫子市 本八幡 ~~"

 


サビに入り、ふなっしーは「千葉」と「船橋」を明確に発声していた。サビの一節に「本八幡」の文字が見えたとき、またトシちゃんのことを思い出した。彼は、野球仲間・バンド仲間であると同時に、モテ男だった。

10年ほど前だった。彼に「どうやったらトシちゃんみたいにモテるの?」と訊いたことがある。彼は左腕を誇らしげに掲げ、「エクスプローラー(ロレックス)つけたら確実にモテるよ」とその秘策を伝授してくれた。それを聞き僕は、エクスプローラーではないけれど、けっこう良い時計を48回ローンで買った。しかししばらく経ってもちっともモテなかった。

「時計買ったけどちっともモテねーよ。なんで?」と彼に訊いた。
「んー、これエクスプローラーじゃないよね」
「そうだけど、俺はこれがいいなと思って買った」
「なるほど。やっぱエクスプローラーじゃないとダメなんだよ。キムタクもつけてるしね」

彼は、日本を代表するモテ男の教えに従順だった。素直な気持ちを持つことの大切さを学んだ。そんなトシちゃんは、モテ男らしく若い女の子つかまえて、3年ほど前に結婚した。その結婚式が彼に会った最後だった。人づての情報だと、その後彼はツインズを授かったものの、嫁さんに離縁され、シングルマンになってしまったらしい。詳細は不明だが、「女は魔物だ。最近夜になると謎のじんましんが出る」とうつろに語っていたという。いつのまにか僕と同じ婚姻ステータスになってしまった本八幡住みのトシちゃん。元気にしているだろうか。

CHARAMELの2曲目『チバニクル』はスラッシュメタルでヘッドバンキングなのに、かつての友人たちをフラッシュバックさせてくれる素晴らしい曲だった。

 

曲が終わり、ふなっしーが「ありがとなっしー!」など言っているうしろで、「チンチキチンチキ、チキチキチンチキ、ツツツツチツツツ」とドラムの金物が鳴り始めた。

「うおぉ!にゃんごがなんかやり始めたなっしー!ではドラムソロの時間だなっしー!」

2曲を終えた時点でフロントの3体は早くもステージを去り、ドラムスにゃんごすたーだけがステージに残された。にゃんごすたー、巧みな手さばきで金物を刻む。シングル、ダブル、パラディドル、トリプルパラディドル、パラディドル・ディドルなど多彩な技を繰り出したのち、カウベル一発打ち、「コン!」で会場をずっこけさせる。

その後立ち上がって、イスを叩いたり、床を叩いたり、スティックを投げ捨てて、肉球でドラムを叩いたり、小太鼓を持ってステージ前方に出てきて祭囃子でお客さんと掛け合ったりして、最後、ドラムセットでのクライマックス。「ドドタドドドタドドドタドドドタドドドタド、ドルルルタルルルドルルルタルルルドルルルタルルルドルルルタルルル」とバスドラム鬼連打を決める。そして地面に崩れ落ち、客席の「にゃんごー!」「にゃんごー!」という悲痛な叫びが響くなか、這いつくばりながら舞台袖へ消えていった。

にゃんごすたーはやっぱYOSHIKIさんなんじゃないの?と再疑惑を抱かせたシーンだった。


誰もいなくなった舞台。スクリーンにふなっしーが映し出された。

「はーい!我々は大人の事情のため、長時間の演奏はできないなっしーな。でも今日は対バンゲストをお呼びしてるなっしー!新潟のアイドル、ネギッコさんだなっしー!ネギッコさんとは何度か共演させてもらったことがあって、新潟の競馬場で一緒にラインダンスをしたこともあるなっしーな!ではネギッコさん、よろしくお願いしなっしー!」

『Never Ending Story』のイントロがなり、Negicco3人が登場。今までの善悪の判断がつかない混沌とした世界が一変し、会場はふわーっとやわらか、爽やかな空気に包まれた。そして1階席一面が緑色のライトで埋めつくされた。

大きなホールでネギッコライブを上から見るのは初めてだ。こんな景色を見るのも初めてだ。一面のネギ畑。とても美しくて感動した!CHARAMELファンの皆さん、なんて優しい人たちなんだろう!やさーCー!

2曲目『愛、かましたいの』を歌い終わり、ぽんちゃの「みなさーん、こんばんネギネギ!」でMC開始。

客席「こんばんネギネギ!」

ぽん「こんばんナシナシ!」

客席「こんばんナシナシ!」

2階はもちろん1階席からも大きな「こんばん葱梨」のお返事。またも感動した!

Nao☆ちゃん「出てきたときにペンライトが緑色になって、皆さん、やさーCー!ふなっしーもCHARAMELのみんなも優しいから、お客さんにもその輪が広がってるんだなと思いました!私はふなっしーランドに入り浸っており、レアグッズゲットに燃えているので、ふなっしーランドで私を見かけたら、偶然ナシナシ!とお声かけください^^」とお話した。

そして新曲『夢・Dreamer』とスーパー名曲『さよならMusic』を繰り出す。『さよならMusic』が、初見の梨友さんたちの、心の琴線に響いてくれていたらいいなと思った。

4曲を歌ったところで、ふなっしーが登場して、ネギッコとトーク。「ネギッコさんは結成16周年ということですごいなっしーな。ふなっしーはまだ8年目だからぺーぺーなっしー。ネギッコ姉さんと呼ばせてもらうなっしー!」「いえいえ、そんな!ふなっしーの優しさとか、私たちのほうが学ばせてもらうことが多いです」「いえいえ、そんなことなっしーよ。ではそろそろメンバーを呼ぶなっしーなので、ネギッコさん、はけてください。ありがとなっしー!」。CHARAMELメンバーが登場して、ネギッコ「ありがとなっしー!」と舞台を去る。


CHARAMELのエモい演奏再開。まずは陽気なロックンロールナンバー『ぶぎ ぶぎ ふなっしー♪』。歌いこなしは相変わらずハイテンション。同曲終了。歌い終わったふなっしーは「はぁはぁ…」と明らかに肩で息をし、しばらく言葉を発することができなかった。客席から「がんばれ、ふなっしー!」「ふなちゃーん、がんばってー!」と全力の応援の声が叫ばれる。つねに全力のふなっしー。そんなふなっしーを全力で応援する梨友さんとの絆にまた感動を覚えた。大声援のおかげなのだろう、約20秒後、ふなっしーはパワーを回復させ、ふつうにMCを始めた。

「我々、キャラクターは、ビニールに包まれてみんなのところへやってきます!……またこの口上が始まったと思ってるなっしー^^? うほほ」と笑みを浮かべる。おなじみの決まり文句らしい。「続けるなっしー。そして我々は……、我々は!! 引っ越しとともに、またビニールに入れられて捨てられてゆきます。」キャラクターとして生まれた宿命をそう語る。そして始まった曲『ビニール』。ミドルテンポで、泣きのギターがたまらない。これはもしかしたら泣ける曲かもしれない。ふなっしーが歌い始めた。

声は、これまでと全く変わらないハイトーン・シャウト。感傷をみじんも感じさせないようでいながらしかし、徐々にその切ない世界観に引き込まれ、最後は涙がこぼれそうになった。

 

 

『ビニール』は超名曲だった。


そんな感じで約2時間、ステージは、爆笑・ファンシー・ハードコア・ネギかわいい・ネギ爽やか・感動のループが続いたのだった。

 

 

 

ライブ中盤以降は、以下のようなシーンが心に残っている。

・もうおひと方のゲスト、サンプラザ中野くん登場。サンプラザ中野くんは小学校のころ市川に住んでいたということで、「故郷へ錦を飾ることができたなっしー」と話す。また、以前真夏の野外での梨フェスで共演したときの思い出を語り合い、「あの日は猛暑だったなっしーな」「熱中症で倒れそうになったなっしー。お客さんも大変だったし、我々には地獄だったし、夏の野外フェスなんて、誰の得にもならないのでもう二度とやらないなっしー!」と宣言。そしてサンプラザ中野くんプロデュースの『アルクナシ』をデュエットした。


・ネギッコが登場して、クロストーク。「5年前、新潟の競馬場にふなっしーに来てもらったときの入場者数は過去最高で、その記録はいまだに破られてないんですよ!」「それはすごいなっしー!あのときはラインダンス一緒にやって楽しかったなっしー!また新潟に行きたいなっしー!」「うん、ぜひ来てもらいたいです!『なっしーフェス』とともに世界の二大フェスと言われている『ネギフェス』にお招きしたいです。そのときはネギッコがふなっしーを、お・も・て・な・し。おもて梨しまーす!」「ヒャッハー!梨汁ブシャー!」

Nao☆ちゃんギャグにふなっしーがクラッシュする瞬間を、見た。


・Negicco、歌の時間。『雫の輪』『トリプル!WONDERLAND』『ねぇバーディア』を歌ったのち、CHARAMELのメンバーを招いて『圧倒的なスタイル』。間奏に入り、客席とともに恒例のラインダンスを決める。自分、本日はお隣が女性の梨友さんではなく、男性ネギヲタさんだったので、肩を組んでいいのか悩む必要がなくホッとする。


・CHARAMEL本編最後の曲は『CHARAMEL』。お子さま向けの愉快なマーチのイントロから一転、邪悪なスラッシュメタルへと展開するジェットコースター感あふれるド迫力ソング。曲間のほんのわずかなブレイクで、瞬時に腕をクロスさせXポーズを決めるにゃんごすたーがスーパーかっこよかった。

・アンコール。まずは、人生いつでも再出発できるんだというメッセージが込められた『梨スタート(リスタート)』という曲。ふなっしーの優しさをひしひしと感じ、涙がこぼれそうになった。

・最後は『ふな ふな ふなっしー♪』という曲。ネギッコを迎え入れて、一緒に歌い踊る。「ひゃっはー!」と一緒にジャンプするネギッコの3人は、そのまんま妖精のようだった。そしてふなっしーの歌に、「自分の信じる道を突き進めばいい、それでいいなっしー」と励ましてもらい、また涙がこぼれそうになった。

 

ダンスご指導の女性の声にぽんちゃみを感じる

 


ライブ終了。NegiccoとCHARAMELメンバーが客席をバックにして、みんなで記念撮影。ネギッコが「さよならなっしー」したあとに、CHARAMELメンバーの撮影許可タイムとなった。

 

 

 


最後はふなっしーの「感謝 感激 梨汁プッシャー!」という言葉で締められた。

今日は2階席だったのでネギッコの3人と目が合うことはなかったけど、不思議なことにふなっしーとにゃんごすたーとはずっと目が合っていた気がする。うれしかった。

 

そして本当に素晴らしいライブだった。CHARAMELメンバーとNegiccoに「楽しい時間と、元気をくれてありがとう。生命を維持してくれてありがとう」と感謝の気持ちでいっぱいだった。ステージを去るメンバーに僕は叫びたかった。「ふなっしー、にゃんごー、ねぎっこー、ありがとう!」と叫びたかった。でもそこまで自分を解放することができなかったことが今回の唯一の後悔だった。


スクリーンにエンドロールが流れはじめた。客席の誰ひとり席を立たない。CHARAMELのメンバーたちがはしゃぐMVをすべての人が目に焼き付けていた。

客電がつき、終演のアナウンス。皆が席を立ち出口へと向かい始めた。僕も席を立ち、会場を出て、駅の方角へ向かう人の流れについていった。おひとりの女性が多かった。楽しい時間は終わり、日常へと帰ってゆく。その表情をちらりと見てみると、皆さん、ほぼ無表情だった。でも心の中はホクホクなのだろう。それは僕も同じだった。いつもはネギッコからだけ貰っているホクホクを、今日はふなっしーたちからも貰うことができて、ダブルでホクホクだった。

ありがとう、ネギッコ。ありがとう、ふなっしー。

もやすみ……
 
???