シングル「カリプソ娘に花束を」2月6日発売にともない、8日連続リリースイベントを敢行したNegicco。
4日前の新宿→名古屋→大阪というハードスケジュールを無事にこなし、今回はその最終日、東京墨田区のオリナスモールにあるタワーレコード錦糸町店での店内イベントだった。
 
この日自分は(ほぼ)初ネギな友人を連れて行った。初ネギ友人はこれまで4人連れて行ったことがある。戦績は1勝3敗。現実はなかなか厳しい。己の人間力も問われる。バカにされ、荒んだ気持ちになったときもあった。
 
今回の友人・高田さん(仮)は、ロックやネオアコ、ハードコア・パンクが好きな人という認識だった。しかし話をしてみると「アイドルも好きですよ。ネギッコは8年前に、東京女子流、Tomato n' Pineとの対バンライブで見たことがあります。曲いいですよね。まあ私がずっと好きなのは女子流、最近はBiSH。今までライブを見た回数が一番多いのはBuono!(ももちが所属したハロプロのグループ)ですけどね」とさらりと話す強者だった。
 
高田さんに今のNegiccoをぜひ見てほしかった。
 
本来であれば、4日前の新宿タワレコでネギッコと接触させ、今回の錦糸町で陥落させようと目論んでいた。しかし残念ながら高田さん、新宿の日はインフルエンザでダウン中。土日をはさみ完治をみて、ついにこの日、新潟の巨星となったNegiccoと8年ぶりに対面することになった。
 
当日、14時の開始に備え、13時前に店に到着。店内はすでにたくさんの人。仮設ステージ前のスペースは、2/3ほどが人で埋まっていた。
 
CD2枚と7インチ盤1枚を購入し、ネギ券3枚を取得。人垣の最後列に並んだ。
約1時間の待ち時間に耐えられるかがまず第一の壁だった。ここでへこたれてしまうと全てが台無しになる。
高田さんに「大丈夫ですか?」と何度か訊き「大丈夫です」という返事を得ていた。
 
開始20分前「トイレに行きたくなりました。大丈夫ですかね?」と訊かれた。やや不安になりつつも「大丈夫です。場所はおさえておきます」と答えた。足のスタンスを広めに取って、場所をキープし待つことにした。
 
残り10分。高田さん、戻ってこない。
 
残り5分。高田さん、戻ってこない。
 
スマホにLineが入っていることに気づいた。
 
「お腹の調子が悪くて、トイレから出られません!」
 
「Oh, Noーーーー! 高田さん!!!」心の叫びを聞いた。
 
しかし体調のこととなると致し方ない。自分もライブ中にダウンしたことが何度もある。でも最近はダウンすることがなくなってきた。それはおそらく、Negiパワーが体内に備わってきたからだと思う。Negiパワーの効用により、強靭な精神と肉体を手に入れ、胃痛・腹痛・トイレに行きたい気持ちなど、まあ気のせいだろうと思えるようになってきた。
高田さんもかつてはキノコパワーをその身に宿していたらしいが、ネギパワーはまだ備わっていない。その存在ももちろん知らない。突然の体調不良はやはり致し方ないのだ。
 
「了解です。では戻って来たら連絡ください」とLineし、心を諦念へと向かわせた。
 
イベント開始1分前「戻ってきたのですが、人がすごくて前へ行けません」という知らせを受けた。
並んでいた場所を離れ、スペース後方に行き、確かに人でいっぱいでとても前へは行けない人垣の最後列にいる高田さんと合流した。
 
「こんな後ろでいいんですか?」と訊かれた。
「まあしょっちゅう見てるから大丈夫です」諦念の極みで答えた。そして「今日は『圧倒的なスタイル』があるんで、肩組んでラインダンスしますよ」と伝えた。
「そ、そ、そんなのあるんですか?! ハードルが高いです…」高田さんは顔をこわばらせた。「圧倒的なスタイル」のことは知らないようだった。
高田さんが地蔵な人という話も聞いていた。関ジャニ∞のライブに年1ほど行き、毎年新しいペンライトを買うものの、だらりと下げた手にいつもペンライトを握りしめたまま、ただ呆然と立ち尽くしているらしい。
そんな地蔵・高田さんにはラインダンスは確かにハードルが高そうだった。
しかし「これ」があれば、もしかしたら奇跡が起きるかもしれない。そう思い、緑色のペンライトを手渡した。それは数日前、「ぼくは他界するかもしれないので…」とSSさん(※)から託し受けたネギライト3本のうちの1本だった。
(※現役続行!この日もいらしてました。)
 
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ナタリーさんより。
右下隅に自分が写り込んでいるという奇跡。
 
 
 
■タワレコ錦糸町店とNegicco
 
14時、タワレコ錦糸町店の渡辺店長がステージに立ち、前説をする。
 
錦糸町店は残念なことにこの日で閉店となる。2月に入ってから、T-Palette Records所属のアイドルたちを呼び、「ありがと、またね。錦糸町!」と銘打たれた閉店惜別インストアイベントが連日行われていた。そのトリのご指名を受けたのがNegiccoだった。
 
Negiccoはここで何度もリリイベを行ってきた。ボクはここでネギッコを見るのは2回目なので肌で感じることはできなかったけど、Negiccoメンバーもファンもこの場所に特別な思いがあることは、ツイートなどから察することができた。渡辺店長もNegiccoには特別な思いがあるようだった。
 
タワレコ錦糸町店(渡辺店長)からはこの日に向け、Negiccoにやってほしい「セトリ妄想」がツイートされていた。
 
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渡辺店長「ジャンプは禁止ですが、今日は最後なんで、苦情は出ないと思います(笑)。『圧倒的なスタイル』をやるかどうか、そこはメンバーにお任せします!」とのことだった。
 
妄想セットリストが果たして現実セットリストになるか、非常に楽しみだった。
 
 
 
■ミニライブ
 
しばらくして3人が登場。「すごい人!」と驚く。ぽんちゃが「今日は5000人ですね!」とご陽気に前ふりしたあと、リハーサルで一曲。「カリプソ娘に花束を」のカップリング曲「本日がスペシャル!」。
茶目っ気たっぷりにリハーサルをこなし、チアフルなコールで盛り上がった。
 
「この曲がリハーサルってことは!」と期待が高まった。新曲のカップリングなので歌われるのは当然。しかし妄想セトリには入っていなかった。
妄想が現実になる可能性が高まった。
 
出囃子「Make Up Prelude」なしで、そのまま本番に入る。
活気づいている客席の熱を受けるように、3人のテンションも最初から高い。
「こんにちネギネギ!」をすっ飛ばすぽんちゃ。突っ込むNao☆かえ。まるで伝統芸能を見ているよう。惜別ムードよりもむしろ、笑顔で錦糸町店に「ありがと、またねしましょー!」というムードに包まれた。
 
注目の1曲目。
 
「トリプル!WONDERLAND」
 
妄想は妄想で終わってしまった。その点は残念!しかしミニライブでこの曲が1曲目のときはハイパーNegiになる可能性が高い。別の期待が高まった。
 
早速「N.E.G.I.C.C.O!」の大きなコール。しかしネギッコ、お互いの立ち位置が定まらなかったのか、なんだかバタバタ、わちゃわちゃしている。「ストッープ!だいじょうぶかー!」とリーダーが曲を止め、やり直し。さらに明るいさよならムードが会場を包む。
 
仕切り直しで「トリプル!WONDERLAND」スタート。
 
落ちサビ後のかえぽ歌唱「めざせ、ワンダーランド」の箇所が、特別な時にしか出ないオンリーワンな気合の入った発声、今回は「錦糸町ラストー!」が響き渡り、場内も沸いた。
 
その後、ノンストップで「サンシャイン日本海」「光のシュプール」「ねぇバーディア」。2014~2015年のシングルリリース激熱期の曲が時系列に歌われたことになる。
 
「この時期のリリイベを体験したかった。錦糸町でも熱いリリイベやってたんだろうなー」と、当時からのファンの方をうらやましく思った。
 
軽くMCが入り、最後の曲はニューシングル「カリプソ娘に花束を」。
 
落ちサビでなおちゃんソロ歌唱。静寂のあと「錦糸町店さん、ありがとうございました!」という言葉に大きな拍手。
そこへ花束を持ったクマさん(ネギッコ事務所社長)がひょっこりと現れた。正装で、いつも以上におしゃれ。同曲MVのラストシーンさながらに粋だった。
 
なおちゃんに花束を渡す。(おそらく口をへの字にして)泣き始めるなおちゃん。「錦糸町でのネギッコ、ありがとう」の花束に再び大きな拍手が送られた。なおちゃんの永遠の小学生な泣きっぷりは相変わらずかわいかった。
 
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ナタリーさんより
 
しかし気がかりなのはクマさんだ。要所を押さえすぎている。密かに心中、こう突っ込んでいた。
「先週、渋谷でも新宿でもお見かけしなかったし、マネージャー業務は完全にゆっきーさん(元タワレコ、現ネギッコ事務所社員)に引き継いだってことかな、なんか寂しいなと思ってました。でも見ましたよ、動画。新宿リリイベの金曜日、バンドをバックに気持ち良さそうにブルース歌ってましたね。ゆっきーさんが入ったからって、そっちに本腰いれようとしてませんかー!」と。
 
……。野暮な突っ込みをしてしまった。来る超高齢化社会に備え、クマさんは僕らに、新しい生き方を提示しているのかもしれない。
専属アイドルのマネージャー業よりむしろ、自分の歌を、ブルースを優先する。そんな生き方もあっていいと思う。
いや、「あっていい」どころではない。素晴らしい生き方じゃないか!
今後の生きる指針として、クマさんから目が離せない。
 
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持ち込み企画ではなく、
ライブハウスのブッキングでの出演だった可能性も大。
 
 
「カリプソ娘に花束を」が終わり、3人はける。
 
しかし今日は「圧倒的なスタイル」をやるのが暗黙の了解。
 
「アンコール、ネギ!」が当然ながら発され、それを受け、3人再登場。
 
歌に入る前に3人がそれぞれ錦糸町店の思い出を語る。
 
まずはかえぽ。「錦糸町店さんは、毎回イベントの度に人が増えていってるのが実感できる場所でした」と丁寧に思い出を話す。
 
続いてぽんちゃ。「錦糸町の思い出といえば、やっぱり一人だった『矛盾、はじめました』のリリイベですねー」と話す。
 
その瞬間、Nao☆かえ、「あの時はすまぬ!」と最敬礼。体調を崩しふたりとも欠席したのがこの場所だった。「いやいや、仕方ないよー」と恐縮するぽんちゃ。しかし最敬礼では気持ちが伝わらないと判断したNao☆かえ、膝を突き、まさかの土下座。おデコを地面にくっつけつけ、「へへー、ぽんちゃ様、お許しを」と請う。
 
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ナタリーさんより
 
隠れ魔性ぽんちゃの本性が現れだす。”いやー、本当言うと、あのときは大変だっのよー。まったく”と斜に構えるそのさまは、魔性な女性がやりがちな、ハイヒールやサングラスを指で回すという、あの謎の行為をエアでやっているようにも見えた。
 
「でもそんなときでもファンの皆さんがたくさん駆けつけて、盛り上げてくれて、マイナスをプラスに変えてくれました。そんなまさにNegiccoを実感できたのが錦糸町店さんでした!ありがとうございました!」とさすが美しくまとめた。
 
なおちゃんもリーダーらしく錦糸町店への感謝の気持ちを述べ、また泣きそうになっていた。
 
そして最後の曲「圧倒的なスタイル」が始まる。隣にいる高田さんに「来ましたよ、圧倒的なスタイル、ラインダンス」と伝えた。高田さんはビクッと身をこわばらせた。
 
1番が終わり、2番。盛り上がる店内。
一方、最後列。やはり地蔵な高田さん。おろした手にネギライトを握りしめたままだ。
 
展開に入り、「みんな歌って!」となおちゃんが声をかける。
 
「周りの声に惑わせても決めるのは君さオーウエーズ」とともに歌った。地蔵・高田さん、鉄のごとくさらに固まる。
 
間奏。
ステージに渡辺店長とスタッフさんが出てきてネギッコと肩を組み、締めを飾るにふさわしく5人でのラインダンスとなった。
 
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ナタリーさんより
 
一方、会場最後列。
自分は、右側にいる高田さんの肩に、左側にいる背の高い男性の胴に腕をもっていき、軽くステップした。背の高い人が隣の場合、その肩に無闇に腕をかけると肩の筋がいかれてしまう。経験で学んだのだが、人はこれを40もしくは50肩と呼ぶのだろうか。
高田さんの右側は、隣の人と距離があり、肩は組んでいないようだった。
 
間奏が終わり、左側の男性とハイタッチした。地蔵・高田さんはハイタッチしてくれない可能性があるので放っておいた。
 
歌は最後のサビへ向かう。ラインダンスのあとの高揚感はやはり良い。そう思っていた時、右側で緑色のライトがちらついた。目をやると、高田さんが腕を胸元にあげ、ネギライトをわずかながら振っていた。
 
やはりネギライトは奇跡を起こした。もしくはラインダンスは奇跡を起こした。
いづれにせよ、感動した。
 
 
 
■特典会
 
前週渋谷タワレコで撮影してもらったチェキがボケボケで、それもまた良き思い出と思うよう自己暗示をかけていた。そんな時、「ボケボケの人は、後日撮り直し対応致します」という神ツイートが運営から届いた。今回はその撮り直しの日。結果ダブルでネギッコと撮影できることになり、ラッキーを感じていた。
 
特典会開始。まずはチェキ撮り直しの人から。
 
すぐに自分の順番が回ってくる。
 
今回は、ぽんちゃに「こうだよ」と指のアロハポーズを教わって、バッチリなショットを撮り収めてもらった。
 
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やはりチェキは晒したくなる
 
3人に話したいことは、ここですべて話してしまおうと決めていた。
 
「今回サインは、初めて来た友達に託します。来週の福岡のライブ、最前で見る予定です!」と告げた。
「おー、来てくれるんですね!」「嬉しい!」「ありがとう!」という言葉を3人からもらい、後ずさりバイバイで退散した。
 
サイン会開始。
 
高田さんにネギ券3枚と7インチのジャケットを渡し、こう言った。
「サインもらって来てください。3人と話して来てください」
「ムリです」
「大丈夫です。3人とも優しいので何の心配もないです」
「ムリです」
「もう3人に、サインは友達に託すと言って来たので、高田さんは行かねばならないのです!」
「なんと!!! 緊張です…」
 
列に並ぶ高田さんを見守った。
 
高田さんの番。
 
サインはメンバーとの滞在時間が最も長い。しかも今回3人の前に置いてあるのはハイテーブルではなく、低めの事務用長机。腰をかがめ、メンバーと目線の高さを同じくしお話ができる最も親近感なスタイルだ。
うらやましい限り!しかし高田さんをネギッコファンとして陥落させるために自ら身を引いたのだろ、俺! 四の五の言うな、俺!
 
腕組みして戦況を眺めた。
 
まずはかえぽ。前もって話を考えておかないと、最難関になるのは必至。
「何か考えておくように」と高田さんに伝えるのを忘れていた。
 
高田さん、かえぽの前でスッと身を落とした。「むむ、やるじゃないか」と感心した。
ボクは初めてのサイン会ではプライドが邪魔し腰をかがめることができず、ただ茫然と立ち尽くす地蔵だった。
 
笑顔でサインを書くかえぽ。それを微動だにせず見つめている高田さん。
「しまった、やはり厳しかったか」と後悔し始めたとき、高田さんが何事かを話しかけ、かえぽが言葉を返したように見えた。
 
こんな話をしたらしい。
 
高田「ネギッコ8年前に見て以来です。その時は女子流とTomato n' Pineの対バンライブでした」
かえ「そうなんですねえ。Tomato n' Pine解散してしまって残念ですよね」
高田「はい、残念です」
かえ「そうですよねえ。今日はありがとうございます」
 
 
なおちゃんの前へ移動。普通に話しているのが見えた。
 
こんな話をしたらしい。
 
なお「目、大きいですねー!」
高田「いえ、そんな! なおちゃん、お顔ちっちゃい」
なお「いえ、そんな! 私、目小さいからうらやましいです~」
高田「いえ、そんな! なおちゃんのほうが目大きいです」
なお「いやいやいや、そんな! 」
高田「いやいやいや、そんな! 」
 
「…。いやいやいや〜 」お互いダチョウ倶楽部と化す。
 
なおちゃんの奇襲口撃に遭い、とまどったらしい。
よくあるパターンだが、お互い謙遜し合うのはレアケースと思われる。
 
 
ぽんちゃの前に移動。普通に話しているのが見えた。
 
こんな話をしたらしい。
 
ぽん「錦糸町店なくなるの、寂しいですよねー。今日はどちらからお越しですか?」
高田「〇〇です」
ぽん「〇〇。あー、〇〇線の駅ですよね。名前しか知らなくてごめんなさい!」
高田「いえ、そんな!」
ぽん「また遊びに来てくださいね。ありがとうございます!」
 
東京ローカルの具体的駅名を言った高田さん、大胆すぎる。
でもぽんちゃの東京カレーマップには、その町のカレー屋さんはまだ載っていなかったようだった。
今度お話しするとき、多分ぽんちゃは「〇〇にお住まいでしたよね?」と訊いてくるだろう。その時はおすすめのカレー屋さんを教えたらいいと思う。
 
高田さんは「緊張したけど、楽しかった。ネギッコ、かわいかった」と言っていた。
 
高田さんがネギッコを本当に気に入ってくれたかどうかは分からない。
女子流が好きだったり、ハロプロが好きだったり、ハードコアパンクだったり、キノコパワーだったり、ガスタンクだったり、高田さんには高田さんの世界がある。
 
でもまた一緒にネギッコ見に行けたらいいなーと思っている。それがボクにとってのハッピーになりつつあるのだから。
 
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でも、サインはあげない