からの続きです。
お金よりも大切なものがある…
そんなことを言う奴はお金に困ったことない奴。
私は金持ちを志してからずっとそう思っていた。
「金は命より重い」
そんな何かの映画で聞いた言葉を座右の銘にして身を粉にして働いた。
みんなの反対を押しきり実家を出て知らない町に出てきて退路を断ってるので今更あとには引けない。
しかし自分の地元のナンバーの車がガソスタに来る度に悲しくなった。
その車に俺も乗せて家族や友達のもとへ連れてってほしいと。。
しかし、当時尊敬してた成功者が
「成功するには家族よりも仕事を優先して親の死に目にも会えず
万が一会社が倒産したときには自分の命を金に変えてでも責任を果たさなければならない、、それが成功を目指す執着と覚悟」
と言っていた。
その覚悟を持つために日々葛藤していたが
震災を経験して俺にはその覚悟がない。。
そう自覚した。
たかが金ごときで心を振り回されて
全てを犠牲にして仮に金持ちになれたとして
その何が幸せなのだろう?
自分を育ててきてくれた親、そして兄弟、かけがえのない友達…
それこそが大切でお互いを思いやることが幸せなのではないだろうか?
仕事を通じて知りあった投資で生計を経てていた人は震災に便乗して投資で儲けていた。
そして私にも投資を勧めてきた。
この周りが不幸で自粛ムードのときに自分だけ
儲けることに罪悪感はないのだろうか?
その人は
「ビッグウェーブが来てるのにその波を眺めてるだけのサーファーはいないだろ?
今は儲けの波が来てる。。その波に乗らないと… 台風の日に海に行かないサーファーは本物じゃねえぜ」
と言ってきた。
意味が分からなかった。
俺にはそこまでできない。
震災後、3月末のガソリンスタンドはすっかり落ち着き平常通り営業していた。
私は来月から遠くのガソリンスタンドに異動が決まっている。
お客様も従業員も私の異動を惜しんでくれて激励してくれたが俺はモチベーションが下がっていた。
そんな俺を見て異動前日同じお店で働いてる彼女が俺を海に連れ出した。
初めて彼女が運転する車の助手席に乗って海に行った。
洋々と無限に広がる海…
それは津波でかけがえのないものを一瞬にして壊したなんて想像も出来ないくらい穏やかだった。
1年前の世間知らずだった俺はこの海のように自分の可能性がどこまでも続いていて根拠もない自信も果てしなくあって希望に満ち溢れていたはず。
それが今となっては世間の荒波にのまれて溺れかけている…
そんな落ち込んでる俺に「諦めないで頑張るんでしょ?私は頑張るよ。だから…」
彼女は俺に途中まで言いかけ潮風に靡く髪を結わえてごまかし沈黙した。
彼女の明るかった髪の毛は白く冴え返った太陽光に照らされても明るくならないほど漆黒に染められていた。
店長から明るい髪色を注意されても直さなかったのに黒く染めたのだ。
彼女もまた4月から社会人として新しい道を歩もうとしてるのである。
その揺るがない決心と彼女の表情にさっきの続きを聞かなくてもこれが別れになると悟った。
「送ってく、最後ガソリン入れてこうか、」
そう彼女に言って自宅近くの別会社のセルフスタンドまで送ってもらい彼女の車に給油した。
「レギュラー満タン入りましたー」「キャップロックOK!」
「ありがとうございまーす」
俺は人目をはばからず店長のマネで大声を出しふざけた。
彼女は笑顔だった。
彼女のそれは社会に出ても誰からも愛される凛りしい笑顔だった。
その後はガソリンスタンドに就職してから一番長く車を見送った。
テールレンズが点になって真っ暗になった後もしばらくその場に立ち尽くしていた。
こうして金持ち父さんを読んで大卒でガソリンスタンドに就職した結果1年目は終わった、、
そして4月から新しいお店に異動になるのですがこの2年目こそが1年目の比にならないくらいの地獄だったのです(笑)