【今年のあブドウを収穫した織田さん】

 

 

 今年急逝した小諸市糠地区のワイン生産者、藤田正人さん(享年71歳)の”ワイン造り”を、藤田さんの畑で研修していた織田徹さん(62)が引き継いでいる。


 藤田さんは県外で教鞭をとった元高校教員。

2015年、東御市の民間ワインアカデミー「千曲川ワインアカデミー」の1期生としてワイン造りを学んだ。


 2016年から、同市糠地区や井子区の耕作放棄地を開墾した畑で、ワイン用ブドウのピノノワール、シャルドネ、ソーヴィニヨンブランを栽培。

 2019年ドメーヌ・フジタを設立。

 フランスブルゴーニュ地方のワイン造りを目指した。
 

 昨年、秋に自社ワイナリー(ワイン醸造所)が完成し、初めてブドウ作りから醸造まで手掛けたワインが完成した。

しかし、今年、体調を崩し入院し、6月に逝去。

 藤田さんの畑で、収穫ボランティアなどを行っていた池田政之さんは「おおらかで人を引き付ける人。自社醸造ワインが完成し、これからという時だった」と偲んだ。
 

 藤田さんのワイン生産を引き継いだのは、経営コンサルタントを営みながらワイン造りを学んだ織田さん。

昨年度の千曲川ワインアカデミー受講生(7期生)で、同年12月からは藤田さんの畑で研修を受けた。

 その後、入院した藤田さんから、ワイン造りの継承を頼まれ、引き受けた。
 

 現在は、名古屋など県外に複数の拠点があるが、今後は小諸に軸足を移しながらワイン造りに力を注ぐという。

今シーズンは、藤田さんの知人らと約1・1haのブドウ畑で収穫を行った。

自家醸造は見送り、同じく糠地区のワイナリー「テールドシエル」で委託醸造している
 

 織田さんは「何か打ち込めることが欲しいと考えて学んだワイン造り。思いもよらない展開になったが、素晴らしい畑を引き継いだ。何とか維持し、発展させていければ。まずは、藤田さんが目指していたブルゴーニュスタイルを目標としたい」と話している。