【龍のように燃え上がる大松明が並ぶ
「百八手」】
【「百八手」
=松本市の丸山祐司さん提供=】
【持ち手】
【松明を池にかざす参加者】
「塩田平ため池まつり」が24日、上田市手塚の舌喰池で行われた。
数多くの大きな松明(たいまつ)を燃やして龍神に雨を願う伝統の雨乞い行事「百八手(ひゃくはって)」を再現した。
主催は上田市日本遺産推進協議会、共催は塩田平のため池を愛する会、塩田平土地改良区、塩田平文化財保護協会。塩田まちづくり協議会が花火大会を行った。
「百八手」は、江戸時代から行われている雨乞い行事で「千駄焚き」とも呼ばれる。
23日に開催する予定だったが、雨で順延した。
舌喰池のフェンスには池を囲むように大松明が等間隔に並べられ、持ち手募集に応募した人々が決められた位置についた。
辺りが暗くなり、遠くに烏帽子岳の輪郭がわずかに見える中、開会あいさつで、塩田平のため池を愛する会の大口義明会長が「2年間、コロナ禍で百八手ができませんでした。3年ぶりに行い、昨年から行っている花火大会と合わせて行う。江戸時代から続く祈りで、ため池の水は命の水であった。今はため池の多面的価値、重要性が見直されている。百八手を行うことで先人の思いを汲んでいただき、心を込めて祈り、単に水を乞うだけでなく、自分の幸せ、地域の幸せ、地域の発展を目指した事業にしたい」。
土屋陽一市長が「この7月に日本遺産の構成文化財に塩田平のため池群も登録された。先人が築いたため池で、多くの皆さんが豊かに生活できる。百八手を盛り上げたい」と、それぞれ語った。
点火前に塩田の神主(代表・工藤みず枝宮司)3人と塩田仏教会から8人がそれぞれ祈祷を行った。
自然に対して生きていくのに必要な雨をもたらしてもらえるようにと「コロナ禍収束の祈りの祈祷」が、水面や独鈷山に響き渡った。
祈祷の炎が松明に点火されると、ほら貝が鳴り響き、それぞれが大松明に点火。
次々に燃え上がる松明の明かりが池を取り囲む中、読経と共に参加者が「アメ フラセタンマイナ」と祈りの言葉を唱えた。
上田市蒼久保の沖島英樹さん(40)と咲野香さんは子どもを連れて参加。
「この行事を偶然知った。子どもに経験させたくて」。
同市塩田の矢沢結香さん(37)は「幼稚園のお母さんから行事のことを聞いた。子どもたちに見せたかった」とそれぞれ応募の動機を話していた。