【里曳きで御柱に乗り木製の山家の剣を掲げる東方さん。かけ声とともに一斉に曳く参加者】

 

 

【山家神社境内の諏訪社前に力を合わせて立つ御柱】

 

 

 

 

 

 「かりがねの心を一つに」―。

上田市真田町長の山家神社で18日、初の御柱祭があった。

 多くの地域住民らが参加した里曳きでは「すてでっけー(途方もなく大きな)かりがねをー」のかけ声で「オイサー」と力を合わせて境内の諏訪社まで約200m曳行。

勇壮に御柱が立つと大きな拍手が沸き起こった。

 

 「新たに挑戦する姿を見せて、子どもらに故郷の可能性を見せたい」と住民有志や山家神社の押森慎宮司(38)でつくる「ALL真田魂(さなだましい)」が企画。

 独自のかけ声は、真田氏ゆかりの「雁金」に思いを乗せ、助け合いながらより大きな力となって目的地を目指す願いを込めた。


 拝殿前で出発式を行い、押森宮司を先頭に御幣や太鼓、魂旗を掲げたALL真田魂や殺陣サークル眞メンバーらが行列した。

 上田市消防団第三分団が「木やり歌」を披露。

山家雅楽会や上田市消防団長分団ラッパ隊、上田消防団音楽隊の演奏が盛り上げた。
 

 御柱は、上田市武石の子檀嶺(こまゆみね)神社から古い御柱を譲り受け、約4mの御柱に仕立て曳行した。

ALL真田魂の魂長、東方誠さん(43)は「有志6人から始まり、多くの皆さんの力で実現した。子どもたちにも喜んでもらえてよかった」。

友だちと一緒に御柱を曳いた上田市の長小学校2年の小山結鈴さん(8)は「楽しかった。息を合わせて引っ張った。お父さんが太鼓でかっこよかった」と笑顔。
 

 山家神社総代会長の松尾重則さん(72)は「若い人たちが活躍して真田を盛り上げてくれてうれしい」と話した。

 見届けた子檀嶺神社の清住禰宜(40)は「御柱を通して真田と武石、上田の南北のつながりがもてた。ありがたい」と話していた。
 

 この日は、諏訪大社上社大総代の笠原透さんも駆けつけた。

押森宮司は、平成18年から26年まで諏訪大社上社に奉職していた際に笠原さんと親交があった。

 

 平成22年には御柱祭も経験し「初めは近づきがたいと思っていたが、いざ御柱に入ったら自然とかけ声が出ていて一体となっていた。地域愛があるのは御柱があるから」と感じ「真田でもできないか」と念願だった。


 「笠原大総代が来てくれて『良くやった、御柱をやるなんて驚いた。これは歴史の始まりだから』と激励をもらいうれしかった」と押森宮司。

 「つながりを大事に、地域をあげて喜び合う、祭りの本質に近づけた」と話していた。