【講演する蓮池さん】

 

 

【記念講演会に集まった参加者】

 

 

 上田市のまるこ春秋学園は17日、50回記念講演会として丸子文化会館で、北朝鮮による拉致被害者の蓮池薫さんによる「拉致の真相と解決への道」を開いた。

 

 まるこ春秋学園は、昭和48年開講。

市内60歳以上を対象に、生涯学習で一般教養や歴史、音楽などのコースを選び、楽しみながら仲間と交流の場になっている。


 記念講演会の開会で小林博文・丸子公民館長は「節目の50年目を迎えた。健康で自ら学び、地域参加、社会貢献を目指す―を目標として、今年も130人が毎月参加している。新型コロナが国際情勢にも影響を与え、私たちの生活も大きく変わっている状況下だが、生涯学習を続けながら自分を磨くことは、人生を充実させる大切なことで、変わることではないと信じている」とあいさつ。
 

 蓮池さんは新潟県柏崎市生まれ。

中央大学3年在学中に、柏崎の海岸から後に妻となる女性と北朝鮮に拉致され、24年間北朝鮮での生活を余儀なくされた。

帰国後、中央大学に復学し、現在は新潟産業大学准教授。
 

 講演で蓮池さんは「この10月15日で帰国20年、残念ながら先に帰国した5名、その家族が帰国しただけで、多くの方の帰国がなされていない。非常に残念でもどかしい。しかし諦めるわけにはいかない」と語った。
 

 ◆北朝鮮が外国人を拉致した理由として、北朝鮮国外でスパイ・工作員活動の強化のためで

 ▽工作員の教育係り

 ▽拉致した人になり代わる「背乗り」

 ▽拉致した人を外国人工作員にする―の3点をあげた。

 そして、それぞれ拉致が明らかになる失敗した事件を解説した。
 

 帰国できた背景として、北朝鮮国内の経済建て直しのため、日本から戦後の清算で1兆円程度が得られるとの推測から、国交回復の必要があったとし、そのため日本側が要求する拉致被害者の帰国の交渉過程を説明。

拉致被害者が死亡したとする北朝鮮側の説明の矛盾点なども語った。
 

 拉致問題が20年動いていないことについて、北朝鮮が日本との関係改善から、核兵器の保有で米国と対峙するようになったと、情勢が変化したことをあげた。

 「日本の立場は、早く核問題が進めば、拉致問題解決のチャンスがある―という考えは、とんでもないこと。横田めぐみさんのお母さん、有本恵子さんのお父さんに、米朝の核合意で待ってほしいと言える話しではない」。

 「日本政府が主導的に動かなければならない。北朝鮮は、ちょっとしたことで危機に陥る可能性があるため、日本が手を差し伸べる可能性をつくり、そのために拉致被害者を帰す必要があるというメッセージを送らなければならない」と語った。

拉致被害者の家族が存命のうちに行うことを強調した。