【上流から燈籠を流す青年部メンバー。

奥が戻り橋】

 

 

【六角形をした紙製の燈籠】

 

 

 小諸商工会議所青年部(大西響会長、48人)は1日と16日、「小諸八朔燈籠(はっさくとうろう)流し」を同市甲、千曲川の戻り橋上流で行った。

 灯籠流しは、280年前の大洪水「戌(いぬ)の満水」を語り継ぐもの。

 橋の上には幻想的な風景をひと目見ようと100人ほどが集まり、水面を漂うやさしい光を思い思いに見つめていた。

 

 戌の満水は、寛保2(1742)年に千曲川流域で発生した大洪水。

旧暦8月1日の被害が特に大きく、犠牲者供養のため1日に墓参りする風習が残る。
 

 青年部で8年前に制作した「小諸かるた」に「伝え継ぐ 戌の満水 墓参り」がある。

 絵札には燈籠流しが描かれており、青年部の村松丈徳さん(44)は「きれいな絵で、その光景を再現したいと思った」と話す。

 10年前まで市民有志でつくる「灯遊会」が13回にわたり「千曲川灯ろう流し」を同所で行っていた。

 

 村松さんは「昭和40年代まで佐久や小諸の千曲川流域で、送り盆の16日に燈籠を流す風習があったことも地域の人から聞いた。燈籠流しのある千曲川の情景を小諸で復活したい」と企画した。
 

 青年部は、環境に配慮した水溶性の紙燈籠1000基を用意。

1日と16日に500基ずつ戻り橋上流の岸辺から燈籠を流した。
 

 16日は、川の水量が少なかったせいか風に戻されるなどして漂い、メンバーは川に入って流れのあるところから流すなど工夫。

日が沈むと風も変わり、燈籠は流れに乗って川を下っていった。
 

 橋の上には浴衣を着た子どもや親子らが今か今かと待ち、燈籠が流れてくると「きれいだね」「近くに来た」「あっ消えた」。

涼やかな風が吹き、瞬いては消えていく燈籠に「夏もそろそろ終わりかな」と話していた。
 

 橋で会場整理をした櫻井浩多さん(37)は「橋までうまく流れてくるかドキドキしたが、幻想的な風景を観てもらえて良かった」。

 

 村松さんは「故郷の原風景となるよう続けていきたい。小諸に戻ってきたり、興味を持ってもらうきっかけになれば」と話した。