【題材となった日記の一部】
【小諸で開いた古文書解読講習会】
東信史学会はこのほど、今年度の小諸の古文書解読講習会「狩りに行く殿様 小諸本町塩川家日記より」を小諸市内で開いた。
小諸市古文書調査室の市川包雄室長を講師に招き、殿様の狩りをテーマに実施。
題材とした古文書は、本町問屋兼帯庄屋塩川家の1848年(弘化5年・嘉永元年)の日記。
小諸牧野家9代当主・小諸藩主の牧野康哉公による狩りの記事を抜粋し、その様子を読み解いた。
この年、牧野公は5月に参府し、それまでに何度も狩りに出た記録が残る。
塩野や菱野などで、シカ狩り、ウサギ狩り、イノシシ狩りを行っていたようだ。
天候や体調による延期も複数あった。
出発の時間は早朝。2月23日の菱野でのシカ狩りは、暁七つ半(午前5時)頃に出城し、遠見も出している。
役人は見送る決まりがあったようだが、23日は本町から見送りがないトラブルがあった。
六つ時(午前6時)の出城と心得ていたという弁明の記載があり、次の日には年寄が代官や月番奉行に謝罪している。
3月1日の日記には「尚以刻限無遅滞様可申付候」と、代官所から釘をさされたとみられる記載もある。
帰りは遅く、2月9日の塩野の狩りでは夜四つ半(午後11時)頃に大手(追手)を通行、同23日の狩りでは宵五つ半(午後9時)に帰城と記されている。
役人は、高張提灯を出して出迎えていた。
殿様の狩りに参加を望む領民もいたとみられ、4月19日のイノシシ狩りでは、若者などが勢子として参加してもよいというお触れが出ている。
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同会の古文書解読講習会は小諸、更埴、佐久・南佐久の3会場で毎年度開催しており、43回目。
過去2年間は「新型コロナウイルス感染症」の影響で中止していた。