【企画展「小山敬三と小諸のまち展」】

 

【特別展示されている富岡鉄斎の

「同爨永昌」】

 

 小諸市の小山敬三美術館は11月27日まで、企画展「小山敬三と小諸のまち展」を同館で開いている。

 また、関連作品として8月31日まで、明治大正時代の画家、富岡鉄斎の名品「同爨永昌」を特別展示している。
 

 企画展では、洋画家・小山敬三(1897─1987)の芸術を生んだ小諸のまちと経済、困難に立ち向かった明治の先人たちの気骨を紹介。
 

 小諸は江戸時代には城下町や北国街道の物流拠点として栄え、明治時代以降は製糸産業によって発展。

敬三の生家は江戸時代中期から味噌や醤油の醸造を営む大きな商家だった。

敬三の父、久左衛門は、明治の新しい時代での地域の生き残りのため、リスクの高かった製糸業に家運をかけて取り組んだ。

 また、文豪島崎藤村が教鞭を執った私塾「小諸義塾」も支援している。
 

 敬三は、日本の伝統文化を受け継いできた小諸のまちに生まれ、豊かな教養を身につけることができた。

 また、その経済力に支えられて一流の環境で存分に芸術を磨いた。

恵まれた環境に甘んじることなく、研鑽を怠らず画業を大成させている。
 

◇  ◇
 

 富岡鉄斎は(1836─1924)は、「最後の文人画家」といわれる近代日本画の巨匠。

 久左衛門は21歳で京都に遊学し、叔父の紹介で鉄斎と知り合い、心服したという。
 「同爨永昌」は、軸装の紙本彩色。1896年の作品で、鉄斎が久左衛門に贈ったもの。

画題は、一家が同じ釜の飯を食べ仲睦まじく暮らすという意味。

中国の故事に倣った題材であるが、絵の中に養蚕の様子が登場することから、小山家を念頭に描かれたとも考えられる。
 小山家では、正月に飾るなどして大切にしたという。敬三は、子どもの頃から家にあった鉄斎の作品に親しみ、影響を受けたという。

 

 同館の中嶋慶八郎学芸員は「鉄斎の数多くの作品の中でも名品で、かつて県外で展示されたことがあった。今回、短期間お借りし特別に展示することとなった」と話した。
 

 会期中は無休。

 開館時間は午前9時から午後5時。

 9月25日までは小山敬三記念館(アトリエ)が毎日、会館している。
 問い合わせ(電話)0267・22・3428(同美術館)