【講演する樋口さん(左)と堂本さん】

 

 

【多彩な顔ぶれで行った

パネルディスカッション】

 

 評論家の樋口恵子さん(90)と元千葉県知事の堂本暁子さん(89)の”卒寿を祝う講演会”がこのほど、上田市の鹿教湯温泉交流センターで開かれた。

 

 「鹿教湯温泉が気に入り、8年前から鹿教湯通いを続けている」という堂本さんが「卒寿の節目に人の役に立つ講演会を開きたい」と友人の樋口さんらに声をかけた。

 女性活躍実行委員会(斎藤育子委員長)が主催し、県内外の約80人が訪れた。
 

 「日本のあり方を変えた女性たち」をテーマに樋口さんと堂本さん、元法務省矯正局長の名執雅子さん、NPO法人性差医療情報ネットワーク理事長の天野惠子さん、元長野県副知事の中島恵理さんがリレートーク。
 パネルディスカッションには、81歳でアプリを開発したプログラマーの若宮正子さん(87)とスポーツドクターの小松裕さんも加わった。


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 樋口さんは講演で「わたしは女性の地位が低く生きにくい社会に生まれたと思うが、皆さんはあきらめないでほしい。50年を単位で見ると女性の地位もだいぶ変わっている。わたしたちは歴史の中で取るに足りない存在であるにも関わらず、歴史の流れをどちらかに持っていく一声を上げることはできる。歴史を作る一員だという覚悟で発言していきたい」。
 「わたしはものを言いながら死んでいきたい。わたしたちの年代は夢を描いては消え、願ってはつぶされて失望を繰り返してきたが、あきらめない力をお互いに身につけ合いながら生きていきたい。女性が生き生きできる社会は男性も生き生きできる社会。あきらめずに一緒にやっていこうではありませんか」と呼びかけた。

 

 堂本さんは鹿教湯温泉での暮らしぶりを写真で紹介。

 ロシアによるウクライナ侵攻や安倍元首相の襲撃事件に触れ「国内外が不穏な情勢で、傍観しているわけにはいかない。自分ごととして受け止めるべきで、どう改善していくかを考えていく時にきている。(7月10日の)参院選で当選した女性議員はまだ全体の3分の1程度。意志決定の場に女性が半数はいないと本当の意味でバランスのとれた社会にはならない。女性だけでなく障がい者や若者、高齢者など多様な人が増えることが大事だ」。
 「県議会や市議会、会社の役員会、地域の集まりなどに、理想としては女性が50%いる方がいい。多様な人がいることによって意志決定のあり方が変わっていくのではないか」と述べた。


 小諸市御牧ヶ原から訪れた小林満州子さん(89)は「樋口さんや堂本さんと同じ1932年生まれで同じ時代を生きてきた。これまで目標を持って生きていたから今のわたしがある。努力を続けて100歳を目指したい」と話していた。