【上田広域山城連絡協議会の総会。

あいさつする田原会長】

 

 

 

 上田広域にある山城の連携で山城ファンの増加や、整備を目指す「上田広域山城連絡協議会」はこのほど、関係者による総会を上田市役所で開いた。

 

 同協議会は、一昨年に行った第27回「全国山城サミット上田・坂城大会」、昨年の「全国山城サミット上田・坂城大会+東御アフター大会」などによる盛り上がりから、昨年7月に関係団体により発足。

 

 今回の総会では、役員選出や規約を定め、山城に関わる未加盟の団体に加盟を呼びかけることを確認した。

 オブザーバーとして、上田市教育委員会、東御市教育委員会、坂城町教育委員会も参加。
 

 役員には、発足会代表で葛尾城跡保存会顧問の田原茂樹さん(坂城町)が会長。

副会長に太郎山山系を楽しくつくる会会長の早川潤さん(上田市)。

会計に祢津地域づくりの会の篠原博文さん(東御市)。

監事に和合城跡保存会の長谷川修さん(坂城町)と砥石伊の会の河合治夫さん(上田市)を選出した。
 

★協議会としての事業は

 ・山城の整備のために整備内容や手法などの情報交換・共有を行うこと

 ・遺構が損なわれないように保存を図ること

 ・講演会などの研修

 ・加盟団体の相互交流ーなど。

 

 活動方針として、荒廃防止に役立つように山城の魅力発信や、地域の子どもたちにも教材として役立ててもらえるような取り組み―などを行う予定。
 

 田原会長は「山城サミットで終わりとしないで、広く上田広域にある山城を保存している皆さんと連携し、山城ファンを増やし、地域の文化遺産として後世に残していきたい」と話していた。

 

 

【講演を行う菅平高原実験所の

田中健太准教授】


 総会後に、筑波大学山岳科学センター菅平高原実験所の田中健太准教授が「文化遺産は自然遺産~山城の自然の歴史的価値~」と題して講演した。


 田中准教授は、上田市横尾に在住し、周辺の山城に希少な植物が多いことが気になっていたという。

多くの山城を調査し、山城にある植物種数や草原性希少種数が、新しい草原や森林よりかなり多いことを数値で示し「山城の自然には、歴史的に高い価値があることが分かってきた。戦国時代から草原として管理されている。周辺の皆さんが何代もの間、手を入れてきたことで、豊かでかけがいのない自然が残っている」と語った。
 

 同様の状態が、ため池の土手や歴史のあるスキー場にも見られるとした。

また、寿命の長い多年草が多いことから、地下茎が土を支えるため、森林に匹敵するような防災機能も持つと推測している。
 

 希少種などを未来に残すため、横尾の尾引城での活動を紹介。

年数回の草刈りでは花を刈らないようにし、雑木などを含めてしっかり刈るのは12月の第1週に行う。

遊歩道の脇にも配慮し、道に倒れ込んで歩きにくい場合は高さ30㎝で刈っているという。