合金鋳造、加工・組立を主力とする青木村の㈱キャステク。

1946(昭和21)年創業。

昨年75周年を迎えた。

 本社のほか丸子工場にアルミニウム軽合金の金型製造ラインを備え、辰野町の平成26年に設立した子会社リッポーでは、銑鉄鋳造製造を行う。

  「コロナ禍」と向き合いながら未来に向けて手を打つ増田公男社長。

78歳となった今もなお、陣頭指揮をとり、強い意志を貫く。その原動力を探った。
 

 ―増田社長の理念は?
 「あきらめたらそこでおしまい。いただいた仕事は命がけで着実にやる。他社にない物を造り出すことが一番の喜び」と語る増田社長は、1960(昭和35)年同社へ入社。

2012(平成24)年社長に就任した。
 鋳造一筋62年の増田社長は入社以来、お客様が困っていることに挑戦、出来ないと思うことにも果敢に挑み、可能にしてきた。休みの日にも会社に行き、頑張った。
 こうした仕事に対する増田社長の姿勢と磨き上げた高精度な技術が「キャステクに出せばやってもらえる」と日本を代表する一流企業からの受注が相次ぐこととなり、たゆまぬ努力は数々の表彰が物語っている。
 ▽昭和48年科学技術庁長官賞受賞(鋳物鋳造作業工程の改善)
 ▽平成14年度厚生労働省委託中央職業能力開発協会鋳造(鉄鋼・非鉄金属製造関係分野)高熱熟練技能者認定
 ▽平成21年度長野県卓越技能者表彰受賞 非鉄金属鋳造、信州の名工
 ▽平成22年度厚生労働省卓越技能者表彰受賞 非鉄金属鋳造、現代の名工

 

 ―新たな事業拡大は?
 同社がこれまで培ってきた経験と実績を生かし、様々なアイデアをメーカーに提案している。その一つ、新幹線のモーターのケーシングを鉄からアルミに替え、3分の1の軽量化を実現させる。

現在、メーカーの設計者と打ち合わせが進んでいる。
 また、産業機械ではプレス機が急激に大幅な受注増となった。そして大手トラックメーカーからは新規にトランスミッションの大口受注を受けた。
 これらの仕事量を踏まえ、昨年は新規に木型を内製化する木型製造工場と倉庫のほか従来の3倍以上の能力となる溶解炉を増設した。

 さらに、今年3月には本社工場に従来の3倍半の能力を持つ銑鉄鋳物(FC・FCD)製造工場が完成する。
  「昨年は設備投資の年だったが、今期から増設した設備をフル回転し、増収を図りたい」。

10年を見据えたこれらの設備投資により、今年は今までの1・5倍の仕事量、売上高20億円を目指す。

 

 ―人材育成は?
 従業員は現在100人。

日本人従業員のほかベトナムの優秀なエンジニアを積極的に採用している。

 現在、ベトナム人エンジニア4人が正社員として働いている。

 実習生は6人。

新規7人の雇い入れが決まっているが「コロナ禍」のため現地で待機中。
  「これからは社員の健康に留意し、さらに安全で安心な職場を目指したい」。