「熟練の技能で他社の追随をゆるさない信頼のものづくり」―。
金属加工や機械製造で独自の技術研究や開発を行う小諸市加増の㈱大栄製作所は、各種ロールや省力機械などの設計製作を手がける。
なかでもサクションロールが好調だ。
塩川秀忠社長(56)に今後の抱負などを聞いた。
─サクションロールとは?
テレビやスマートフォンの液晶フィルムなど高機能なフィルムの製造・塗工の印刷工程で使われる搬送装置。
塗工面に触れずに搬送でき、フィルムを傷つけずに済む。リチウムイオン電池にもフィルムは使われており、脱炭素・EV化の流れでサクションロールの需要も高まっている。
製造しているのは、全国でも数社、県内はうちだけ。
加工の技能や品質に自信がある。
─新型コロナの影響や見通しは?
「新型コロナ」の影響を受け、売り上げは落ち込み、2019年下期から業績は横ばいだった。
しかし、昨年11月から受注が増え始め、2月から納入が始まるなど忙しくなってきている。
半年先まで仕事が入っている状況。
受注が急増、2022年度はコロナ前の年商10億を目標に回復していく見通し。
─今後の展望や課題は?
世界的な脱炭素化への流れをつかみ、今後需要が増えるだろう全個体電池といった新技術に対してアンテナを張り、それに対応する技術開発にも挑戦していきたい。
─新年の抱負は?
今年で創立50周年を迎える。
次の50年を見据え、新年に3つのビジョンを掲げた。
全員の力で大栄製作所を地域一番の企業にする「働きやすい・働きがいがある会社No・1」「お客様からの信頼No・1(信頼=品質、納期)」「地域貢献No・1」。
─地域への思い?
地域への寄付や貢献は先代からの教え。
地域づくりにやりがいを感じながら、小諸市代表教育委員や小諸商工会議所副会頭、こもろ観光局副理事長、佐久法人会筆頭副会長など約30の公職に就かせてもらっている。
人のお役に立てるのがうれしい。
商議所副会頭として昨年は、共同宅配事業「こもろいーつ。」やキッチンカーイベントを仕掛け、秋のこもろ市民まつりも企画し大変好評だった。
小諸がいいまち、自慢できるまちにしたい。
体を動かしながら、にぎやかしていけるというのは幸せなことと思っている。
─SDGsの取り組み?
昨年、県SDGs推進企業登録。
主に、住み続けられるまちづくりに力を入れ、災害時に地域住民への避難施設の提供。
また、温暖化対策として組立工場の「太陽光発電システム」によるCO2排出量削減、工場内全照明のLED化などにも取り組んでいる。
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【会社概要】
創立1972年9月。
資本金1000万円、従業員数60人。
小諸市本社、福岡県に九州工場を構える。