【衛星タグを装着した銀ウナギ】
上田市小牧の長野大学淡水生物学研究所はこのほど、浜名湖沖で”ニホンウナギの産卵回遊の追跡調査”のための標識放流を行った。
絶滅が危惧されているニホンウナギの資源保全に寄与する取り組みとして期待される。
ニホンウナギは、2013年に環境省などが絶滅危惧種に指定。近年の漁獲量減少は、国際的な問題となっている。
こうした背景をもとに昨年12月9日、国際水産資源変動メカニズム等解析事業(水産庁)として、同研究所のグループ(箱山洋教授、ユニットリーダー)が実施した。
浜名湖で漁獲した体重1㎏ほどの銀ウナギの5尾に、標識となる衛星タグを装着して放流。
衛星を利用してデータを収集するシステム「アルゴス」を通じ、水温や水深環境による行動記録や、産卵回遊経路の部分的な観測に成功した。
将来的には親ウナギの生息場の特定につなげたい考え。
浜名湖にやって来るニホンウナギは、日本から約3000㎞離れたマリアナ海溝付近でふ化。
半年かけてシラスウナギとなって、日本に遡上する。
オスは5年、メスは10年ほどで成長すると、体全体が黒ずみ、金属のような光沢を放つ銀ウナギとなる。
銀ウナギは、秋から初冬に川を下り、再びマリアナ海溝付近へと向かい、産卵して一生を終えるとされる。
ウナギ養殖発祥の地の浜名湖では、ニホンウナギの資源回復を目的に毎年、数千匹の親ウナギを放流する事業を継続している。
今回の調査は、その放流の効果を確かめる基礎資料になるものと期待されている。