【オリジナルの真空管アンプを製作した

三井さん】

 

【自作品が並ぶ「オーディオルーム」。

左は妻の春子さん】

 

 

 

【見つかった寺子屋時代の教科書】

 

【収集した数多くの真空管】

 

 

【昔ながらのラジオなどを展示】

 

 

【1階玄関土間から見上げた吹き抜け。

壁にはステンドグラス】

 

 

【母屋外観】

 

 

 上田市真田町傍陽の三井秀雄さん(66)は、築160年の古民家の母屋をリノベーションし、「真空管ラジオギャラリー」を開いた。

 収集した多数の真空管アンプやラジオも展示している。
 

 約110㎡の母屋は、安政5年(1858)に築造された養蚕農家の趣を残して大規模改装し、昨年6月に完成した。

太い梁や柱を生かした室内は、古民家の趣を残しつつ断熱化、耐震化、バリアフリー化で居住性能を向上させ、現代的な住まいに生まれ変わった。
 

 その1階に開いた「真空管ラジオギャラリー」では、米国製や日本製のラジオ約50台を展示。

戦前から戦後にかけて製造された希少な真空管もずらりと並べた。

 

 また、隣室には、真空管オーディオを試聴できる「オーディオルーム」を設置。

自身で設計、配線、加工したアンプ16台を展示した。

67種類の真空管を差し替え、音色を聴き比べられる特殊な「万能真空管アンプ」もある。
 

 幼少期から電子機器に興味を抱き、市内企業を定年退職後、念願だった真空管アンプの製作にのめり込んだ。

 

 収集した真空管は2400本。

米国のラジオ雑誌を定期購読し、今では市場に滅多に出回らない物も数多く集めることができたという。
 

 自作したアンプは、所属する「信州自作オーディオ同好会」で発表し、大きな反響を呼んだ。

今後の目標は、宝物となっているウェスタン・エレクトリック(米国、1881―1995年)製の業務用真空管を用いてアンプを製作すること。 

 「和音のような音のひずみが心地よい。まるで生き物が歌っているかのよう」と三井さん。

 好きなフォークソングを聞くのも楽しみのひとつだという。
 

◇  ◇ 
 

 今回のリノベーションでは、母屋が明治初期に寺子屋として使われた歴史があり、教科書、古文書、古地図資料や伝統的な和釘も見つかっている。

 三井さんは、補修や改築で自然風化を防ぎ「将来にバトンをつなぎたい」と希望。

 

 今後は、子世帯の宿泊施設として使用するほか、オーディオや真空管に関心のある人、趣味サークルが集う場としても活用していきたいという。


 リノベーションした住まい、ラジオギャラリーの見学を受け入れている。

 場所は、真田中学校近く「荒井」交差点から県道35号を北へ4・6㎞先「三井酒造」看板右折すぐ。

 

 見学日は木曜午前または土曜。

 無料。

 電話にて時間予約。

 問い合わせ(電話)0268・75・3520