【研究所の池の脇に植えた記念植樹。

平井理事長(左)、中村英三学長】

 

 

 

【開所式で箱山所長】

 

【講演する占部教授】

 

 

【平井理事長】

 

 

 

 

【淡水生物学研究所】

 

 

 

 長野大学は15日「淡水生物学研究所」とし、開所式を現地で行った。

 8月下旬に取得した上田市小牧の中央水産研究所旧上田庁舎。

 河川施設のある研究所は国内の大学で初、関係者の期待が高まっている。

 

 敷地面積は2万4000㎡余。

 毎秒0・5トンの河川水が取水でき、井戸水も使える。

野外実験飼育施設、80年の歴史でビオトープ的な自然がある水路があり、潤沢な河川水を取り込んで、大規模な半野外実験ができるのは国内唯一。

 広い室内飼育実験施設、無菌室を備えたウェットラボ、次世代シーケンサーなど先端研究機器もある。


 旧上田庁舎は、農林省が上田市から敷地、長野県から試験池などの設備の寄付で、昭和16年に国立水産試験場上田分場として開設した歴史的な経過がある。

環境保全の技術など、さまざまな研究が行われてきたが、一昨年3月に閉庁。

引き続き長野大学が借りて、研究などは継続され、大学改革の理工系学部の新設を踏まえた拠点として、千曲川流域環境・水産研究所準備室(淡水生物学研究所準備室)を設置。

研究業務も進められ、ニホンウナギの研究では、未解明な生態について衛星追跡タグを開発。

 近畿大学とチョウザメ養殖の共同研究をし、将来的にキャビアなどの自己収入を視野にいれる。

フナ類の無性型と有性型の研究など。

東南アジア漁業開発センターとの連携など国際的な研究拠点にもなる。
 

 開所式で長野大の平井利博理事長が「皆さんの期待に応えるべく、地域に貢献し、世界的な拠点にしたい」と語り、経過について前理事長の白井汪芳顧問が行う予定だったが欠席したため、平井理事長が行った。

 

 当初は、国からの譲渡を見込んでいたが、買い取りになり、上田市が買うのでなく、長野大学が買うことになったと報告。

取得額は9500万円。


 来賓の土屋陽一市長は「80年を経て新たなスタート。前理事長の白井さんの熱意があった。全国的にも珍しい研究所で、学生だけでなく、高校との高大連携などさまざまな可能性がある」。
 

 研究所について、箱山洋所長は「教員、事務職員、総勢11人(うち4人外国人)でスタート。千曲川流域など自然を対象にした研究、国際、全国の研究教育のネットワーク拠点、生物学の先端研究や増養殖技術の振興へ活動、設置予定の理工系学部の中核とする。地域の環境保全、産業振興、人材育成などに貢献し、地域の誇りとなる、あって良かったといわれる研究所にしたい」とした。

 

 箱山所長(54)は水研の職員として17年前から小牧で研究、2年半前から長野大に関わり、この4月から大学に移籍した。
 

 記念植樹、東北大学大学院の占部城太郎教授の記念講演も行った。

 占部教授は淡水生物学・陸水学の歴史、日本の環境の特殊性などを解説しながら、淡水生物の保全・活用は世界的な課題で、淡水生物学は気象の変化、治水・利水の面からも重要だとした。

 研究所に対しては、先端的な高度研究、生態系の目で地域や世界が見える人材育成、先端研究を行うことによる地域貢献、地域ブランド、大学ブランドの向上などを期待しているとした。