【発掘調査の際にはぎ取った
地層が展示されている館内】
【縄文人の黒耀石採掘の様子を投影する
プロジェクションマッピング】
【黒耀石鉱山展示室「星くそ館」】
長和町は19日、黒耀石鉱山展示室「星くそ館」の竣工記念式典を国史跡「星糞峠黒曜石原産地遺跡」内にある同館前で開いた。
同館は20日から一般公開されている。
長和町は、霧ケ峰高原を中心に広がる本州最大規模の黒耀石原産地の一角にある。
この遺跡には、縄文人が黒耀石の採掘を行った痕跡である多数の窪み(採掘址)が残っており、当時大規模な採掘活動が行われていたことが分かっている。
同館は、採掘の痕跡と初めて学術的に証明された窪み「第1号採掘址」の直上に建設された。
館内に、第1号採掘址発掘調査時にはぎ取った本物の地層を、トレンチ(発掘溝)内を再現するかたちで展示している。
展示した地層の大きさは、通路両脇は長さ約20m、高さは最大で5m以上。
この規模の本物の地層が展示される施設は世界でも類を見ないという。
加えて、地層を反転せずに展示する高度な技術が使われている。
また、解説用プロジェクションマッピングを導入。
展示地層上の発掘ラインにあわせて、動きのある絵図や文章を投影し、縄文人の採掘の様子や地層に残る痕跡などを分かりやすく説明している。
建物外観は、自然と調和するデザイン。
外装には、表面の錆により厳しい環境に耐えることができる耐候性鋼が使われている。
同館整備は町の第2期史跡整備事業として実施。
平成27年「第2期 星糞峠黒曜石原産地遺跡整備委員会」から計画が提案された。
平成28年には第一号採掘址の3次発掘調査が始まり、並行して同館整備事業が進行。
調査の進捗状況にあわせて、地層のはぎ取りや測量などが行われた。
建物の建設工事は令和元年に開始。
昨年、公募により黒耀石の別名「星糞」を使った名称「星くそ館」が決まった。
◇ ◇
竣工式では、大竹幸恵文化財担当課長が施設内を案内。
大竹課長は、約30年にわたりこの遺跡の調査を行っており、縄文人による採掘の様子や、発掘調査の経緯などを含めて説明した。
羽田健一郎町長は式典あいさつで「世界的水準を誇るクオリティの高い展示館。この展示館を新たな柱として文化財のさらなる保存と有効活用に一層の努力を重ねる」と話した。
星くそ館は、入館無料(要受け付け)。
開館時間は、5月から11月(8月は毎日開館)。
開館時間は、午前9時から午後4時。
場所は、黒耀石展示・体験施設「黒耀石体験ミュージアム」から徒歩30分程度。
(電話)0268・41・8050(黒耀石体験ミュージアム)