【渡部さんと白樺樹皮細工、白樺高原のシラカバ】

 

【白樺樹皮細工作り】

 

 

 

 立科町は9月13日まで”白樺高原のシラカバ保全”のための「ガバメントクラウドファンディング」を実施している。

 任意団体「信州白樺クラフト製作所」が主体となり、官民協働で事業を進める。

目標金額は125万円。

 

 蓼科山中腹標高約1500m付近にある白樺高原のシラカバ林保全の循環サイクル構築に向けた取り組み。

林の整備過程で出るシラカバ材で樹皮細工などの加工品を作り、販売利益の一部を林保全に還元する仕組みづくりを目指す。


 現在、高原にはシラカバ林が広がっており、観光などの地域資源となっている。しかし、シラカバの寿命は数十年で、樹木としては短命。また、この地では自然繁殖もしにくいとされ、手を入れなければシラカバ林が衰退する可能性が高い。


 実際に平成初期は高原のシラカバが減っていたという。

町などは平成10年から7年間、白樺湖までの県道沿い16㎞にわたり8万本の植樹を行い、自生と植樹のシラカバが広がる美しい景観をつくった。


 信州白樺クラフト製作所は、立科町の有志らで昨年設立。活動内容は樹皮細工製作やイベント出店、体験会開催など。

設立目的は、白樺高原のシラカバ林を保全し、白樺樹皮細工を地元特産品にするための環境づくりを推進すること。

継続的に林を保全するとともに、地元に新たな手仕事と特産品創出を目指す。


 白樺樹皮細工は、木から剥した樹皮を加工し、手作業で編み込むなどして作る工芸品。

カゴや装飾品などさまざまな用途の品物になる。

 製作には手間がかかるが、水や油に強くしなやかで、長持ちするという。

 北欧などで古来より発展してきたが、現代日本では製作者が少ない。


 同団体代表は、同町在住の渡部ゆかりさん。2014年、白樺高原のホテル「B&Bsora」などを開業した夫の見さんら家族とともに同町に移住。

 その後、地元の魅力であるシラカバについて調べるようになり、保全などに課題があることを知ったという。


 また、建築材としての評価は低いが、樹皮細工、茶、甘味料、着火剤、ヴィヒタなどさまざまな活用方法や価値があることも学んだ。

 価値を生かして課題を解決したいと考え、同団体の活動を始めたという。


 渡部さんは「シラカバはきれいで、みんな好きな木。パイオニアツリーと呼ばれ、ほかの植物が生えていない場所に真っ先に生えるという逞しさも魅力。後世に残したい」と話した。


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 「クラウドファンディング実施サイト」は、トラストバンクの「ふるさとチョイス」。

 プロジェクト名は「後世に残したい。信州白樺高原のシラカバの樹を100年先の未来の子どもたちへ」。

 寄付金の使い道は、間伐など作業費や作業に関わる設備費など。


 11日と来月29日には、白樺樹皮細工について学ぶ「かご編み体験教室」を開催。

要予約、定員6人。

受講料有料。

会場は、信州白樺クラフト製作所。住所は、立科町芦田八ヶ野1026。

 

 問い合わせ(電話)090・8013・3907(渡部さん)。