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千葉県出身。共立薬科大学(現慶應大学薬学部)を卒業後、順天堂大学付属病院薬局勤務を経て結婚。
夫は、小諸市の甘利医院の院長。
長男は甘利医院わだの院長。長男、長女夫妻5人全員が医師として活躍している。長女は、のぞみグループの医師として患者の医療サポートに当たり、母親である代表を支えている。
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小諸市の薬剤師で、介護・医療・日帰り温泉施設を運営する「のぞみグループ」の代表を務める甘利庸子さん。
専業主婦として子育て中の1990年、東京の大学病院の健康診断で末期がんと宣告された。
そこで初めて自分自身を見つめ直すことになった。
「残された命があるならば今までやりたかった、人の命と向き合ってみたい。そして自身の生きた証を残したい」という想いに駆られた。
がんは、何年間も検査の結果、誤診と判明したが、この宣告がきっかけで、この後の人生を変えることになった。
◆薬局事業展開
死に直面することで「今日できることは今日やろう」と思うようになった。そして1993年、自分の貯金を元手に東御市和に10坪ほどの薬局「のぞみ薬局」を開業。これを機に薬局事業を展開することになった。
以後、薬局は8店舗にも広がったが、薬剤師の人手不足で2010年に1店舗を閉鎖、他店も存続を考えて事業全体を大手企業に譲渡した。
一方、千葉県に住んでいた甘利代表の母親に認知症が出始め、病状は日増しに進んでいった。母の介護に役立つかもしれないと、当時始まったばかりのケアマネージャー試験を受け、合格した。
◆介護事業展開
「ケアマネージャー」の資格を取得したことで、小諸市からケアプランを作る居宅介護支援事業所開設の打診を受けた。
自身で介護事業を手がけようなどと考えていなかったが、1999年「シルバーケアのぞみ」を開設。
これを契機に介護事業へと進んでいくことになった。
2006年「社会福祉法人のぞみ福祉会」を設立。
2009年には閉鎖の危機だった佐久市の厚生年金健康福祉センター「ウエルサンピア佐久」を買い取り、総合施設にリニューアルし「ウェルハウスのぞみサンピア佐久」を開設。
2011年、浦安にあるホテルのエステサロンオープン。
次々に施設を開設するなど現在7施設、14事業所を有する。
高齢化が進む日本に欠かせない、外国人の介護人材。
その育成と活用のため2013年、タイのバンコクに東南アジア初の日本式介護学校を開設した。
2017年には介護職の技能実習生が認められ、18年、日本初の介護技能実習生19人がインドネシアから来日、のぞみグループの研修施設での研修が始まった。
同グループで2カ月の研修を終えた「技能実習生」は、全国の介護施設などの受け入れ先で高い評価を得た。
さらに、最初の1期生から16期生まで、211人を超える介護職を育ててきた実績が全国で注目された。
◆第2の人生に感謝
「がんの宣告を受けて始まった第二の人生、奇跡とも思っている。その時の流れで介護施設や訪問介護事業所を開所してきたが、計画性はなくいつも必要にかられてやってきた。人ってなにがあるかわからないから一時の後悔もできない。だから今やらなくちゃと常に時間に追われてきた。介護の道に進んで来年30周年。今でも始めた時のことは忘れない。大事にしなくちゃ、いつも楽しいし、幸せだし、感謝している」。