東京都の「劇団TRASHMASTERS(トラッシュマスターズ)」が上田市の劇場「犀の角」で、6月18日から20日まで、作品「黄色い叫び」を上演する。
 同市での上演は初めて。

 同作品は「台風の水害」に苦しむ地域のストーリー。
「第46回 紀伊國屋演劇賞個人賞」「第19回 讀賣演劇大賞優秀演出家賞」を受賞した作品「黄色い叫び」に、加筆修正をおこなった同劇団名義の初公演企画。

 作品内容は、ある町の台風による水害に苦しむ地方の公民館が舞台。
その日も台風は勢力を保ったまま接近していた。
そこには青年団のメンバーが、祭りの開催について協議するために集められていた。
祭りの開催から、災害対策、人命の格差まで話は及び、会議は紛糾する。
やがて会議は終わり、解散したのだが、付近で土砂崩れが発生し公民館は停電、町の中心からも孤立する。
そこに、土砂崩れに巻き込まれた青年団員が運び込まれてくるというもの。
上演時間は、2時間30分。
 

 同劇団によると上田市で、作品上演を企画したきっかけは、令和元年の台風19号により同市の千曲川の堤防が決壊、浸水するほどの被害にあったこと。
 作品は、東日本大震災直後に他の劇団に向けて書き下ろされた。2011年の初演から、何度も上演されてきた。
 その作品を、再演するにあたり台風19号被害による「水害発生時」の上田市の状況などの加筆修正を行い、同市民に身近な話題として届ける。
 さらに「新型コロナウイルスの流行に対する、国の感染対策、経済対策はとても満足なものだとは言えない。さらには政策理念たる『自助、共助、公助』の名の下に、多くの人々が切り捨てられようとしている。あの大震災を経て、我々が学んだものは一体何だったのか、生きていく為には、何が必要なのか。もう一度、地方地域、都心に住む観客の双方に、考えるきっかけが生まれること」を願っている。
 
 また、東京や地域に住む若い観客層に、地域社会と都市社会における格差について「命の格差とは」「真の平等とは」を、深く考えてもらうきっかけづくりを提供したいという。

 同劇団は今回の上演で「何をするべき」で「何を選択すべきか」の方向を示し”自ら考え、行動する若い住民”が、東京だけでなく地方においても増加していくことが「将来的な地域振興」につながると考えている。
 
◆上演時間など詳細は、以下の同劇団ホームページを参照。